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"世界の野球"「プリジデンシャルカップ」

2015年11月26日

 2015年9月10〜12日、イラン、インド、イラクの野球代表チームがイランのテヘランに集結し、国際大会が行われた。イランが成人とユースの2チームを出場させ、合計4チームで争われた。大会は、インドが全勝優勝を果たし、イランが2位、3位イランユース、そしてイラクはまたも最下位に終わった。

 今大会の注目は、2月に行われた西アジアカップでイランに負けたインドがどんな戦いをするかであった。インドは、新しいコーチを着任させ、この大会に向けて10日間の国内合宿を行い、前回の雪辱を晴らすため「打倒イラン」に燃えていた。一方のイランは、西アジアカップの余韻から5ヶ月、全選手が仕事しているため、チームとしてまとまった練習は出来なかった。そんな状況の中で行われた試合は、インドがイランを10対11で下し、事実上の決勝戦を制した。

 結果的にイランは実力を証明できなかった様に見えるが、イラン側の思惑は少し違っていた。イラン野球連盟の最大の目的は「2017年の西アジアカップ」を自国で開催することであり、今大会の目標はホスト国としての能力を国際野球に示す事であった。よって、イラン代表の勝利は二の次だったのだ。
 西アジア大会は、これまで毎回パキスタンで行われてきており、見方を変えれば「パキスタンなしに成り立たない西アジア野球」でもあった。しかし、近年パキスタン野球の大会主催国としてのずさんさが露骨に現れ、各国の不満は高まっていた。イラン野球連盟の会長は、そんな西アジアの野球情勢を見逃していなかった。また、イラン国内におけるユース世代の実戦は、年に一回しかなく、ユースチームを構成して国際大会に参加する事は、今後の国内野球普及に大きな意味が含まれていた。ユース世代が夢を持ち、野球への興味関心を示し、そして希望を持つ事が今後のイラン野球の財産となるのだ。

 今大会、インドは、イランへリベンジを果たし、インド野球の力を証明した。イランとしては、国際大会をマネジメントする能力があることを国際野球へ証明した。未だに各国の実力差が明確な西アジアであるが、各国がそれぞれの特徴を活かし、確実に前進している。5年後、10年後、西アジアの野球は世界へどのようなメッセージを送っているか、目が離せない。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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