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侍ジャパン強化試合 対戦国紹介~メキシコ野球の実情と実力~

2016年11月8日

文・写真提供=阿佐智

 メキシコのプロ野球の歴史を振り返ると、温暖な気候もあり、複数のリーグが国内各地で季節を問わず展開されていたことがわかるが、現在もその状況は変わらない。
 現在メキシコには、トップリーグと言えるものが2つある。夏季に行われるメキシカンリーグと、冬季に行われるいわゆるウィンターリーグであるメキシカンパシフィックリーグがそれだ。

 前回紹介したように、メキシカンリーグはメジャー傘下のマイナーリーグとして3Aに位置づけられているが、リーグの各球団はメジャー球団と選手育成契約を結んではおらず、リーグじたいも独立して運営されている。このリーグは、その傘下にアカデミーを持ち、ファームリーグとして、春から初夏にかけては2A級の、秋から初冬にかけてはルーキー級のリーグ戦を北部のヌエボレオン州で実施している。今回のU23ワールドカップに際しては、ルーキー級のチームが各国代表の練習試合の相手をしていた。
 アカデミーでのリーグ戦は、興行を目的としたものではないが、このファームリーグに加え、太平洋岸北部、ソノラ州周辺で夏季に行われる北メキシコリーグ(リガ・ノルテ・デ・メヒコ)とは選手育成契約を結び、アメリカと同じようなマイナーリーグが展開されている。さらには、メキシコシティ周辺とユカタン半島では冬季に若手中心のリーグ戦が実施されている。

 メキシカンパシフィックリーグは、メキシカンリーグが行うこれら2つのウィンターリーグとは別の組織によって行われるもうひとつのトップリーグと言っていい存在である。このリーグの優勝チームは、中南米カリブ地域のトップ・ウィンターリーグの決勝シリーズであるカリビアン・シリーズ(セリエ・デル・カリブ)にも出場している。このシリーズでもかつては強豪ドミニカ共和国の後塵を拝することが多かったが、近年は優勝することも多く、ウィンターリーグの最高峰に位置づけられるようになってきている。  このリーグとは別に、大西洋岸でもベラクルス・ウィンターリーグ(リガ・ベラクルシアナ・インビエルナル)が行われ、このリーグの優勝チームは、パナマ、コロンビア、ニカラグアの各ウィンターリーグの勝者とラテンアメリカシリーズ(セリエ・ラテンアメリカーノ)を争う。
 このように、ほぼ年を通して国内のどこかでプロ野球が行われるのがこの国の野球の特徴と言える。しかし、これだけ裾野の広いプロ野球組織をもちながら、隣国アメリカでプレーする選手の数は他のラテンアメリカ諸国と比べて多くはない。それは、国内トップリーグであるメキシカンリーグからメジャーリーグへの選手の移籍には、メジャー側がメキシカンリーグ側の選手契約を買い取る必要があり、そのため、スカウトの目もその必要がないドミニカやベネズエラの選手に行きがちになるからである。

 では、いったいメキシコのプロ野球のレベルはどの程度なのだろう。現在夏季リーグのメキシカンリーグにはマイナーリーグの統括組織であるナショナルアソシエーションから3Aのランキングがなされているが、このリーグの各球団はメジャー球団と選手育成契約を結んではおらず、独自に選手をスカウトし、育成している。現地でプレーするアメリカプロ野球経験者に聞いてみると、おおむね「2A以上3A未満」という答えが返ってくる。各チームのロースターをみても、メジャーや3Aまで上り詰めた選手は決して多くはなく、むしろアメリカでは2Aもしくは1Aどまりだったという選手が多い。
 また特徴的なのは、極端な打高投低の傾向だ。例年打撃ランキングの半数近く打者が3割を超え、年によっては8割方が3割打者ということもある。4割越えの首位打者も決して珍しくない。リーグの1シーズンの最高記録は、各チームあたりのの試合数がまだ22だった1937年のまだ.476というものだが、チーム当たりの試合数が100を越えるようになってからも、132試合制の1986年にカンザスシティ・ロイヤルズなどでプレーした元メジャーリーガー、ウィリー・アイケンスが.454を記録している。また、メジャーで首位打者を獲り、日本でも千葉ロッテで活躍したフリオ・フランコは、2001年のシーズンをメキシコシティ・ティグレス(タイガース)で送り、.437でタイトルを手にしている。

 レベルの点では、メキシカンリーグよりウィンターリーグであるメキシカン・パシフィック・リーグの方が高いだろう。この国の夏の野球シーズンは9月半ばで終了。選手はこのあとひと月ほどのオフを送ると、太平洋岸にあるこのウィンターリーグの「一軍」を目指す。しかし、メキシカンリーグが16球団あるのに対して、メキシカン・パシフィック・リーグは8球団制。必然的にこのリーグでプレーできるのは各チームの主力クラスとなり、ここからこぼれ落ちたものは、他のウィンターリーグでプレーすることになる。メキシカン・パシフィック・リーグには、夏季リーグの主力に加えて、アメリカでプレーしていた選手も合流する。さすがに近年は、ケガのリスクもあってメジャーの主力クラスはフルシーズンプレーすることはないが、メジャー球団のスカウトにアピールすべく、フリーエージェントとなった選手や昇格を目指す3Aクラスの選手などがこのリーグに集まってくるので、必然的にプレーレベルは高くなる。
 カリビアンシリーズにおいても、メキシコは年々存在感を増している。4年前からキューバも参加するようになったこの大会は、補強選手が認められ、事実上ナショナルチームどうしの争いとなっている。ここ4年で3度の優勝を誇るメキシコは、今やラテンアメリカの強豪といっていいだろう。メンバーをみれば、今回の来日チームもこの大会に出場するリーグ優勝チームと同等の実力をもつと思われる。

 今回のメキシコ代表のメンバーをみてみると、昨年のプレミア12と大きく違うことがわかる。前回は国内野球諸連盟間の対立もあり、メキシカンリーグでプレーするメキシコ生まれの選手はほとんど参加せず、メンバーのほとんどは独立リーグでプレーするアメリカ生まれの二重国籍者でしめられていた。それに比べ、今回はアメリカ生まれは6人しかおらず、それもメンバーの大半はメキシカンリーグでプレーしている、ある意味「生粋の」メキシコチームとなっている。チームに帯同するだけで試合には出場しないアドリアン・ゴンザレス(ドジャース)を含むメジャーリーガーは5人(現時点で25人枠に入っている者は4人)だが、おそらく来年の本番にはロベルト・オスーナ(ブルージェイズ)、ホルヘ・デラロサ(ロッキーズ)などの主力が合流することだろう。ただ、打線に関しては、アメリカでプレーする選手にも目立った者はおらず、今回のメンバーがほぼそのまま本番のメンバーになるのではないだろうか。その意味では、一昨年メキシカンリーグで41本塁打を打ち打点との二冠を手にし、今シーズン東北楽天に所属したジャフェット・アマダー(ヤペテ・アマドール)が打線の中核となるだろう。また、今回来日するメキシカンリーガーにも、今シーズン捕手をつとめながら、.383首位打者に輝き、ホームラン21本、94打点でMVPに輝いたシーザー(セサル)・タピア(プエブラ・ペリーコス)、打率.335、ホームラン15本を記録した強打の若手ショートストップ、エステバン・キロス(キンタナロー・ティグレス)らのバッティングもWBCを占う試金石となると考えられる。

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