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"世界の野球"日本人指導者の挑戦 香港野球代表「フィリピン野球 瞬間的な集中力」

2017年8月9日

文・写真=色川冬馬

 海外強化合宿3日目、早朝の便でグアムからフィリピンに移動してきた香港代表団を待ち受けていたのは、フィリピンの大学チャンピオン「アテネオ大学」だった。身体の大きい選手は少ないが、スピードとパワーがあり、威勢が良いチームだった。私は、今の香港代表団に必要な「戦う集団の空気」をアテネオ大学から感じていた。

 今回のフィリピン強化合宿は、お互いの野球協会にとって良いタイミングだった。香港野球としては中国の全運会に向けた最後の強化試合として、フィリピン野球としては香港代表との3連戦後に10月のアジア選手権に向けたトライアウトが予定されていた。また、フィリピン野球協会には、フィリピンのスポーツ業界において、敏腕と言われるチトさんという方が事務局長へ着任したタイミングでもあった。
 チト事務局長は、フィリピン野球の世代交代も視野に入れ、今年の10月に行われるアジア選手権へ向けて大学生など若い世代を中心に形成したいと話していた。私たち香港代表団にとっても、アジア選手権を視野に入れた上で、フィリピンの野球を学ぶには最高の機会だった。

 この日、アテネオ大学の先発投手は、フィリピンの大学野球ナンバーワンと言われる投手がマウンドに上がった。130キロ中盤のストレートと緩いカーブを操り、マウンド上で自分をコントロールしようとする彼のマウンドさばきは将来性を感じるものがあった。打撃陣も、クリーンアップは力強く「瞬間的な集中力」は、ベンチから試合を見届けている私でさえ驚異を感じた。試合は、アテネオ大学が先制し、香港代表も粘り強く戦ったが、最終的に4-10で敗退した。序盤から主導権を握ったアテネオ大学が、香港代表を寄せつけることなく試合を終えた。香港代表としては、自分たちのヒットで作ったチャンスを、得点へ繋げられない歯がゆい攻撃が続き、結果的に力の差を感じた試合になった。

 フィリピン野球の「瞬間的な集中力」は、私が現役時代に見てきたアメリカ野球をどこか彷彿させてくれる。先ほどまでベンチで「陽気」に遊んでいた選手が、打席に入った瞬間に「別人」へと変わる。先ほどまで、冗談を言い合い、言葉遊びしていた内野手が内野ゴロを捕球する瞬間「別人」に変わる。こんなフィリピン選手の野球に向き合う姿をみて、どこかアメリカ野球の「瞬間的な集中力」と重なるものがあった。

 私は、子供の頃から「全員野球」を教えられ、「全員で攻めて、全員で守る」という野球が当たり前だと思っていた。皆な、一緒に同じ方向を向いていなければ違和感さえ感じるほどだった。しかし、アメリカでは各選手が自立しており、それぞれが同じ目標に向けて自分なりのアプローチをする。プレイに対する瞬間的な集中力がズバ抜けている選手もいれば、日本人のように終始寡黙に試合に集中する選手もいる。スポーツの現場に関わらず、他者との違いを認め合える環境はアメリカ野球の素晴らしさなのだろう。こういった技術やポテンシャルが高いだけではない強みを持っているのがフィリピン野球ではないだろうか。初めてフィリピンの大学生年代と対決をしたが、改めて今後も私たちの驚異になる要注意な国だと痛感した試合だった。

著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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映画「あの日、侍がいたグラウンド」

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