"世界の野球" 南の楽園フィジーのHAPPYベースボール通信 第5回「U12フィジー野球代表 世界大会へ出発」 | ジャパン | 世界の野球 | 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト

野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト

メニュー

日本語 English

世界の野球

"世界の野球" 南の楽園フィジーのHAPPYベースボール通信 第5回「U12フィジー野球代表 世界大会へ出発」

2019年7月25日

文=大嶋賢人

Bula vinaka
フィジー野球隊員の大嶋です。

前回のコラムでもお伝えした通り、U12の世界大会・WBSC U12 Baseball World Cupに出場させて頂く事になりました。

「世界大会」は私にとっても初めての事ですが、フィジー野球の歴史にとってもビッグイベントです。そんな歴史的瞬間に立ち会える事をとても誇りに思います。
またこれまでにフィジー野球を支えてくださった現地のサポーターや歴代の野球隊員の先輩方、遠く日本から野球道具や支援物資を提供してくださる皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。日頃よりFiji Baseball and Softball Associationを応援して頂き有難う御座います。皆様の心温まる応援メッセージを何とか子どもたちに伝わるようにさせて頂いています。

弊協会(会長)によるクラウドファンディングに支援してくださった皆様にも重ねて御礼申し上げます。お陰様で若き16人の選手を連れて世界に挑戦が出来ます。

この経験が彼らのこれからの未来に、そしてフィジー野球の発展に大きく寄与すると信じております。

先日、壮行会を開き選手一人一人にユニフォームを(会長から)手渡しました。
名前を呼ばれる度に自然と拍手が生まれ、それを受け取る彼らの表情は自信に満ち溢れた誇り高き戦士のようでした。

約3ヶ月に渡りお世話になった相棒(グローブ)達に感謝しオイルで磨きました。色付きのグローブに黒のワックスを塗ってしまったり、楽しくなってバットにまでワックスをつけたり初めてのグローブ手入れもハプニングの連続でした。

バットの貸し出しを行い自宅での自主練習も行いました(選手は道具を持っておらず練習の際に貸し出している)。バットを貸した翌日に手にマメを作ってくる選手もいれば、学校に持って行って怒られる選手もいて、まさに『十人十色』の彼らとの毎日は最高に楽しくて最高に不安です。

空港で出発の際には多くの家族が4時間以上かけて見送りに来てくれました。「健闘を祈る」と握手を求めるお父さんや、心配するお母さん、「言うことを聞かなかったら厳しく注意してください」と頼まれたりと父兄のスタイルも様々。一人だけ「あなたも楽しめると良いわね」と言って下さるお祖母様がいました。「選手達が楽しめるように全力でサポートします」と答えましたが、20年も野球をやっている人間が出場国の指導者としてW杯に携われる事がどれだけ嬉しいか。楽しめない訳がありません(彼らに負けないよう、全力で楽しんで来ます)。

出発の直前には家族と写真を撮ってハグをして頰にキスをして、という海外ドラマのようなシーンが見られました(今では当たり前になっていますが2年前は驚きました)。

「親元から2週間も離れ、海外で戦ってくる」と言う事もあり、いつも以上に熱い抱擁を見ることが出来ました。我が子を抱き寄せて耳元で別れの言葉を伝え、天を見上げて神に祈るその姿は目頭を熱くさせるものがありました。選手達が親元で見せる表情は、普段グラウンドで我々に見せるそれとは大きく異なり、12歳になる少年達にとって「家族」という存在がいかに大きいかを改めて実感させられます。

と書いたものの、今これを書いている横で興奮しきった選手は機内のゲームで盛り上がりすぎて怒られています。私の経験上、大会が始まるまでは興奮の連続で眠れない選手達ですが、初戦を終えて状況が飲み込めた後は急に家族が恋しくなり別の意味で眠れない選手も出てくるでしょう。

実際に現地へ行くとランキング1位の日本代表やアメリカ代表と言った各大陸を勝ち抜いた強豪国との対戦が待ち受けています。ワイルドカードエントリーの我々フィジー代表は挑戦者と言う姿勢で挑み一つでも多くの事を学び持ち帰りたいと思います。そもそも自分達以外の野球選手と対戦した経験が無い彼らは、我々が教えてきた「野球」しか知りません。自分達とは異なるタイプの野球や、同世代の選手の高い水準のプレーを見て何を思い、何を吸収するのか。

自国では中進国(途上国ではない)と言う自負とプライドを持つ彼らですが、世界の大きさや「野球」と言う規模の大きなスポーツ(の世界)を目にして驚く事の連続でしょう。そこから多くを学び、それを後輩に伝えることが今回選ばれた選手たちの使命でもあります。
そしてそれをサポートする(しながら一緒に学ぶ)事が私の使命です。

誇り高きフィジーの選手達ですが、世界の強者達を前にどんな反応を示すかが楽しみです。相手に委縮して自信を無くすのか、強者を相手に燃え上がるのか、家族を想って涙を流すか、家族の応援を力に変えるのか。これから2週間で変化する彼らの表情や精神、リアルなフィジー代表の選手達の姿をお伝えして行きます。

約3ヶ月前から始まった代表チームの練習では守備練習を基本に始めました。今回のU12フィジーの代表チームの特徴は守備をメインに取り組んできました。難しい事はせずに確実にアウトを取り守備から勢いを作るチームです。攻撃ではバットを強く振る事を常に意識しています。チャンスが有れば次の塁を狙う超積極的走塁も魅力の一つです。
もともと走るのが大好きな彼らは練習でヘトヘトになった後もリレーをしたがるほど走るのが大好きです。小さなチャンスを見つけて得点した際の喜びっぷりにも注目してください。

ボールを全力で追いかけ、「打てると思ったら」全力でバットを振り回す。エラーやヒットに全力で一喜一憂すると言った原始的な野球。原点に戻った、いわゆる少年野球の形です。

https://u12bwc.wbsc.org/en/2019/news

最後に、フィジーのスポーツでW杯に出場するのはラグビー、ネットボールに次いで3競技目です。フィジーの国技とも言えるラグビーより野球のマーケットが大きいと気付いた時、彼らは何を思うのか。この2週間で多くを吸収した後に、帰国し成長した彼らが野球を選ぶのかラグビーを選ぶのか、はたまた別の道なのか。(実際に同僚(30代男性)は20歳で野球に出会いその魅力を後輩達に伝えるために今日まで働いている)彼らの中から私や同僚の後継者になる人材が現れる事を願って止みません。

NO SWING NO HIT!!!!!

南の楽園フィジーのHAPPYベースボール通信
著者プロフィール

大嶋賢人
1994年8月8日生
都内の教育大学を卒業後2017年8月よりFiji Baseball & Softball Associationに青年海外協力隊の野球隊員として配属。ナショナルチームの指導や巡回型普及活動を行っている。「年間300日雨が降る」と言われる首都スバ市で”NO SWING-NO HIT!”をモットーに現地の子どもと白球を追っている。好きな言葉は「出来なくて当たり前、出来たら男前」。

世界の野球
U-15デジタルチャレンジ2024
侍ジャパン公式オンラインショップ

PARTNERS

DIAMOND PARTNERS

  • 日本通運
  • MUFG

OFFICIAL TITLE PARTNER

  • ラグザス株式会社

OFFICIAL PARTNERS

  • JTB
  • KONAMI
  • 興和株式会社
  • 花王 SUCCESS
  • JAPAN AIRLINES
  • DOCTORAIR
  • 檸檬堂

SUPPORTING PARTNERS

  • LAWSONticket
  • UNIQLO
  • mizuno