3月6日、7日に京セラドーム大阪で開催される「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本 vs 欧州代表」で、2024年の初陣を戦う井端弘和監督率いる侍ジャパントップチーム。今回はその対戦相手となる欧州代表の背景や注目選手を紹介する。
2015年の前回対戦は1勝1敗と健闘した欧州代表
初見の相手に苦戦した過去
2015年にも侍ジャパンの強化試合の対戦相手としてチームが編成された欧州代表。当時は実力が懐疑的に見られている部分もあったが、1勝1敗と健闘。延長戦までもつれた2017年のWBC・オランダ戦や、記憶に新しい昨年のWBC・チェコ戦など、欧州野球の実力や存在感の高まりを感じる機会が近年の世界大会では増えてきている。
それゆえに今回の対戦も、侍ジャパンにとって純粋な強化の場としても貴重な試合となってきそうだ。
前述のオランダ戦では、普段NPBで対戦していた選手が多かった先発のリック・バンデンハーク(当時ソフトバンク)からは3イニングで5点を奪い攻略した一方で、その後に投入された6人の投手からは、なかなか思うように得点が奪えず。今回も代表に選ばれているオランダのトム・デブロックなどオランダやドイツの国内リーグ、米独立リーグ、マイナーリーグに属している投手たちに苦戦を強いられた。
今回の欧州代表も多様なルーツを持つ欧州国籍を持った投手の集まりであり、所属リーグを含めバラエティ豊かな布陣となっている。WBCで分析に使われていたようなトラッキング系のデータも少ないと思われる。シーズンの個人成績に表れないような「初見の多彩な海外投手への対応力」を測る場としては、これ以上ない試合と言っていいだろう。
昨年のWBC本戦でも好投したチェコのマルティン・シュナイダー
投打の注目選手
ここからは注目選手を紹介していきたい。
まず投手では、ドイツで生まれ育った投手としては初となるMLB傘下の3Aまで昇格した経験を持ちドイツのエースを務めるマルクス・ゾルバッハや、本職は消防士ながらWBCの予選・本戦ともに好投したチェコのマルティン・シュナイダーなどが挙げられる。その他の投手陣も、タイプが多彩な上に、どの投手も短いイニングで登板することが予想され、打ち崩すのが簡単ではない力量を持っている。
野手は長打力のある選手が多く、ツボに入った時に強い打球を飛ばせる選手が揃っている。昨年のWBC・中国戦で9回に劇的な逆転3ランを放ったマルティン・ムジークや佐々木朗希(ロッテ)から二塁打を放ったマレク・フルプ、チェコで生まれ育った選手としては初めて3Aまで昇格したマルティン・チェルベンカといったチェコの長距離打者が名を連ねている。
だが、最も豊富な実績を持っている野手はイタリア育ちの選手としては初のメジャーリーガーとなったアレックス・リディだ。WBCにも3大会連続で出場するなど、今回投手コーチとして来日するアレサンドロ・マエストリ(元オリックス)と共に、イタリアをけん引してきた存在だ。
2015年の試合では来日した欧州代表のモチベーションの高さが試合の節々に感じられたが、それは今回の試合でも同様だと思われる。まだまだ国際的に実力が低くみられがちな欧州野球の看板を背負い、数万人の観衆の前でWBC王者と戦う試合は、単なる調整や親善の場としては捉えていないだろう。
そういった背景を持った難敵に対し、侍ジャパンがどのように戦うのかが、このシリーズ最大の見どころとなりそうだ。
打線をけん引するイタリアのアレックス・リディ