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小中学生の指導者を対象とした、侍ジャパン野球指導者スキルアップ講習会が12日、沖縄県宜野座村の宜野座ドームと公民館にて行われた。
午前の部では、小中学生を中心とした野球指導の医科学的な知識や体作りの方法、食事や栄養学などの座学を渡邊幹彦氏(日本野球機構医事委員/シドニー・アテネ五輪及びWBC日本代表チームドクター)と、青山晴子氏(株式会社明治 スポーツ栄養アドバイザー/2015侍ジャパンU-12,15,18担当)が分かりやすく講習。渡邊氏は、
「確立された同じ練習法は指導者にとっては楽。だけど子供はそれぞれ成長の度合いが違う」と指摘。
「理論を知っている指導者だからこそ、子供たちが楽しいと思う練習のメニューを作ることが腕の見せ所であり、その一つの案として複数のポジションを守らせることも大事です。それが肘のケガの予防にも繋がっていきます」と講演。スポーツ栄養アドバイザーの 青山氏からは、
「どんなにいい車でもガソリンが入っていないと走らない。そのガソリンが栄養素です」と分かりやすい例えが出しながら、 「ヤル気がない選手だな、スタミナ無いなと選手に対して思う前に、きちんとした食事をされているかのチェックをすれば、鉄分が少ないことからくるものなのだなと分かることも多々あります」と指導者に向けて語り、参会者たちは講師たちの話をノートに取る姿が目立つなど、有意義な座学の時間となった。

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
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午後の実技指導の部では、弘田澄男氏(2006WBC日本代表外野守備走塁コーチ)が、ランナーの際のシャッフルリードや戻り方を丁寧に指導。
「盗塁する時に、これまで自分が見抜いてきた投手のクセにはこのようなものがある」と語り、自らの動作で示してくれた。また、篠塚和典氏(2009WBC日本代表打撃コーチ)は、キャッチボールでの子供たちに対する指導法を伝授。中々、足を一歩前に出してキャッチできない小学生たちに対しては、口で言うだけでなく指導陣自らが一緒にやって見せることが重要とし、それでも、「子供たちが身に付けるまでには1年から3年かかるかもしれない。指導は我慢比べです」と説いた。
その後、鹿取義隆氏(侍ジャパンテクニカルディレクター・トップチーム投手コーチ)が、投手のコントロールを良くする方法や、大久保秀昭氏(アトランタ五輪代表・現慶応義塾大学野球部監督)が捕手のキャッチングのコツなどを述べ伝え、内野担当の篠塚氏と外野担当の弘田氏を合わせた4箇所に別れて熱演。講師たちの教えに、真剣な表情で聞き入る参加指導者たちの姿が見られた。
最後に、プロ18年間の通算打率が3割を超える篠塚氏が打撃を指導。軸足の角度を保つことと、体を開かずピッチャーに向かっていく姿勢、そして両太ももを開かず締めることの重要性を説いた。トスバッティングに参加した学童チームの子供たちも、篠塚氏の一言でバッティングが変わるなど、参加者たちにとっても実りのある講習会となった。
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
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最後に4氏を代表して大久保氏が、
「今日覚えたことを子供たちに伝えて、沖縄の野球界が発展していくことを願っています」と挨拶。今回、沖縄での開催は初となった侍ジャパン 野球指導者スキルアップ講習会。
次回は2016年1月23日に山形にて開催される。