9月3日に宮崎で開幕する「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場する侍ジャパンU-18代表が9月2日、メーン会場であるKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で公式練習を行った。2時間の最終調整の後は、永田裕治監督と中川卓也主将が宮崎市内のホテルで開かれた公式記者会見に出席して、大会への意気込みを述べている。
なお、出場予定だったパキスタンはチーム事情により不参加となり、7カ国・地域でアジアNO.1を争うこととなった。一次リーグのB組でパキスタンと対戦予定だったチーム(チャイニーズ・タイペイ、中国、インドネシア)は不戦勝。また、5位以下の二次リーグは、3チームによる総当たりで順位を決定する。
大会実行委員長である八田英二氏(日本高野連会長)は今大会の開催意義として「次世代を担う選手たちのアジア地域における競技力の向上と(競技人口の)拡大」と語った後に、「(2020年の)東京オリンピックの成功、と正式競技としての存続が、すべての球界関係者の願いです。野球の魅力を発信する機会になるような大会にしたい」と、グローバルな視点からの野球の普及・発展を強調した。
この言葉を受けた永田裕治監督も「1球のボールを通じて、フレンドシップを図ることが大事。『選手権』ですから順位も決まりますが、一生懸命戦う中での友好関係を築いていきたい」と、1週間の大会期間中、野球だけではなく、国際交流の場としたいと語っている。
一次リーグで日本と対戦するスリランカの監督は「ここにいる6チームに敬意を払って、世界を平和にできるように、友好的な関係を作っていきたい」と語った。相手をリスペクトして、ゲームを展開するのは、スポーツマンとしての大前提である。日本チームも国際大会におけるマナーとルールを東京合宿期間中から何度も確認し、共有し合ってきた。
「アンリトン・ルール」。大会規約には記載されていないが、相手を侮辱する行為は、マナーの部分から固く禁じられている。点差が広がった場面での盗塁、過剰なガッツポーズなどがこのケースに当てはまるが、破れば故意死球などの報復を受けるという不文律だ。金足農・吉田輝星は今夏の甲子園、そして31日の宮崎県高校選抜との壮行試合でもマウンド上で、自身のルーティーンとしているポーズを披露してきた。この行為も受け取る側によって誤解をしかねないという解釈の下で「自粛」となった。あくまで正々堂々と、フェアプレー精神に則って戦いを挑んでいくのである。
公式記者会見に話を戻す。金メダル争いが予想される韓国の監督は「プロではなく、高校生が集まってきたチームなので規律、礼儀を厳しくやってきた」と語ると、代表選手は「アジア競技大会で金メダルを獲得。先輩たちに続けるように、士気を高めて取り組んでいく」と意気込んだ。インドネシアで開催されたアジア競技大会決勝(9月1日)で、韓国は日本を3対0で破りアジア王座を奪取している。
過去11大会で優勝経験のあるは日本、韓国に加え、B組のチャイニーズ・タイペイ。今回も「3強」による優勝争いが予想される中で、主将・中川は決意表明をしている。
「前回大会で日本は優勝。これまでに連覇はないので、このチャンスを生かして、必ず、アジアNO.1を取りにいきます」。その上でのポイントをこう述べている。
「各チームの中心選手の集まりですから、責任と自覚はある。あとはいかにして、共通認識を持って戦えるか」。中川は大阪桐蔭でも主将を務め、今夏の甲子園では史上初となる2度目の春夏連覇を遂げている。同校野球部の部訓でもある「一球同心」を貫く。永田監督が語っていたように、一つのボールに集中し、全員が同じ目標に向かって突き進む。侍ジャパンにおける全世代のキーワードでもある「結束」を高めて、大会本番へ挑むのだ。
明日の一次ラウンド初戦の相手は香港。選手の間では、一次ラウンド、スーパーラウンド、決勝を通じて「6戦全勝」が合言葉となっているようだが、永田監督は口元を引き締めた。「一戦必勝。一つずつです」。目の前の戦いに全力を注ぐことを固く誓った。
第12回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2018年9月3日~9月10日
グループA
9月3日(月)18:00 日本 26 - 0 香港
9月4日(火)18:00 スリランカ 0 - 15 日本
9月5日(水)18:00 日本 1 - 3 韓国
スーパーラウンド
9月7日(金)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
9月8日(土)18:00 日本 (中止) 中国
3位決定戦
9月10日(月)13:00 日本 14 - 1 中国
開催地
日本(宮崎)
出場する国と地域
グループA
日本、香港、韓国、スリランカ
グループB
中国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、インドネシア