7月24日、東京オリンピックの野球競技開幕を28日に控えた野球日本代表が、楽天生命パーク宮城で『ENEOS侍ジャパン強化試合』として楽天と対戦した。
山本が貫禄ある好投
オリンピック代表チームを結成してから初となる実戦の先発を任されたのは山本由伸(オリックス)。先頭の小深田大翔に安打こそ許すが、続くオコエ瑠偉から三振を奪うなど後続の打者を抑え、甲斐拓也(ソフトバンク)も盗塁を刺して、幸先の良いスタートを切る。
すると、その裏に今季7勝を既に挙げている早川隆久から四球と2安打で無死満塁のチャンスを作ると、4番・鈴木誠也(広島)が粘って押し出しの四球を選ぶと、続く浅村栄斗(楽天)がライト前に運び追加点。さらに一死後に近藤健介(日本ハム)が犠飛を打って、この回3点を挙げた。
山本は2回、三者凡退に抑えて降板。「初回にヒット打たれましたが、色々な球種を試すことができて、2イニング目はしっかり抑えられました」と手応えを掴んだ。
3回からは森下暢仁(広島)が登板し、下位打線を難なく三者凡退に抑える。4回にはオコエの二塁打と自身の暴投、茂木栄五郎の犠飛で1点を失ったが、「1点取られましたけど、しっかりと投げられました。ボールの違いは思ったより気にならなかったです」と、森下も手応えを掴んだようだ。
5回から登板した青柳晃洋(阪神)は、先頭のディクソンにライナー性の当たりを打たれ、これを中堅手の近藤がやや一歩目の目測を誤って頭を越される二塁打となった。後続の打者は落ち着いて抑えるも内野ゴロの間に1失点。さらに6回には小深田の三塁打と村林一輝のタイムリーで同点に追いつかれた。
7回から登板した千賀滉大(ソフトバンク)は先頭のディクソンに安打を許すも後続は抑えて無失点。しかし8回は山﨑剛の安打と2四球で満塁のピンチを迎えると、ディクソンに勝ち越しとなる2点タイムリーを打たれるなど、2イニングを投げて4安打2失点と、オリンピックに向けて課題を残した。
また、打線も初回以降は安打こそ出るが繋がらず無得点に終わり、3対5で敗れた。
右脇腹の違和感により別メニュー調整が続き、この日も出場が無かった柳田悠岐(ソフトバンク)について稲葉篤紀監督は「1イニングの守備を考えております」と25日の強化試合での起用を示唆。この日も終盤での代走起用は考えていたようで、打撃はぶっつけ本番になるかもしれないが順調に回復しているようだ。
25日は巨人と18時から楽天生命パーク宮城で『ENEOS侍ジャパン強化試合』の巨人戦を行う。両チームの予告先発は田中将大(楽天)と直江大輔と発表されている。
試合の模様はJ SPORTS、J SPORTSオンデマンド、DAZNで生中継されるほか、おぎやはぎさん・上原浩治さんが出演する「みんなでオンライン観戦」のチケットも各プレイガイドで好評販売中だ。
監督・選手コメント
稲葉篤紀監督
「この2試合は結果というよりも選手が良い調整をしたりとか、いろんな課題を見つけながらやっていく2試合です。(近藤の打球処理を含め)いろんなことが起こってくれて良かったと思います。明日は明日でまたしっかりと戦っていきたいです」
山本由伸(オリックス)
「いろんなパターンの配球を試しました。もっともっとボールに慣れる必要がありますし、変化球の感覚とコンディションを調整していきたいです。暑さや12時開始については、投げてみてそこまで気になりませんでした」
甲斐拓也(ソフトバンク)
「試合をやったことでいろいろなものが見えてきましたし、課題を持ってやることができました。もっともっと良くなっていけると思います。持てる力を出し切って金メダルを獲得したいです」
千賀滉大(ソフトバンク)
「良くも悪くも現状は把握できて、その中で今の僕の生かし方はあると思いました。試合後はマウンドの傾斜を使って、フォームを確かめたかったので40球ほど投げました。体については不安が無く順調ですね」