12月2日、野球日本代表「侍ジャパン」トップチーム新監督の就任発表記者会見が都内で行われた。新監督に就任したのは今季まで10年間にわたり北海道日本ハムファイターズで監督を務めた栗山英樹氏。就任要請を受けた際の思いや重責を担う決意を語った。
また合わせて、新監督の初陣となる2022年3月5日、6日にチャイニーズ・タイペイと対戦する「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2022」(東京ドーム)の開催も発表された。
会見ではまず斉藤惇氏(日本プロフェッショナル野球組織コミッショナー)が、栗山氏の新監督就任にあたり「2023年3月予定の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)での世界一奪還に向けて、その手腕を発揮していただけることと大いに期待しております」と挨拶。
また、指揮や采配といったこと以外でも「プロ・アマの共同事業である侍ジャパンの顔として、栗山監督には、日本の野球界のみならず、スポーツ界を牽引してくれることと信じております」と期待をかけた。
次に井原敦氏(日本野球協議会侍ジャパン強化委員会委員長)が選考経緯を説明した。
新監督に求める要件として「NPBチーム監督経験もしくは日本代表経験のいずれかがあること」「全国的な発信力があること」「アマチュア野球界を含む野球界全体および、侍ジャパン事業全体への理解があること」の3点を掲げ、侍ジャパン強化委員会内部に立ち上げた分科会で3度にわたる議論を重ねたという。
その中で2023年WBCまでの強化試合や活動期間が多く取れないため「NPBでの監督経験や、短期決戦での経験が豊富な人物がよいのではないか」という意見が強く出され、日本ハムの監督として10年の経験がありリーグ優勝2回、日本一1回の経験を持つ栗山新監督に白羽の矢が立った。
栗山監督はこの要請に「想像もしていなかったので驚きました」と振り返る。キャスター時代は2000年シドニー大会以降のすべてのオリンピックの試合と過去のWBCの日本戦すべてを現地で取材し、各監督とも言葉を交わした。それだけに命を削るような思いや姿勢にも触れ、監督の就任にあたっては強い責任感を持つ。
「これまで野球界の皆さんが作ってくれた大切なものを継承しながら、すべての野球人が結束して日本野球は何たるものかということを示せるようにやっていきます」
また、求める選手像については「対応力を持った力のある選手」と話すとともに、今後の日本野球界への思いを持った選手たちと戦いたいと力を込めた。
「日本の野球は、ここからが次の世代に向けて、とても重要だと感じています。子供が少なくなっていく中で、野球の楽しさを知ってもらうためにという責任感を持ってくれる選手たちが集まって、魂を持って戦えるよう、選手にお願いをしながら、チームを作っていきたいと思います」
そして「10年間の監督生活の中で、本当の思いはやはり勝たないと伝わらないことがあると経験してきているので、勝ちきることで選手たちの素晴らしさや日本野球の凄さを伝えられるよう全力を尽くしていきます」と、世界一奪還への思いを力強く語った。
野球界発展のために並々ならぬ決意を持った栗山新監督のもと、侍ジャパンは新たなスタートを切った。