11月6日、「侍ジャパンシリーズ2022」の巨人戦が東京ドームで行われ、前日に日本ハムから3本塁打を放って勝利した侍ジャパンは、この日も一発攻勢で8対4と勝利し連勝を飾った。
試合中盤までは巨人ペースで進んだ。
2回、侍ジャパン先発の與座海人(西武)は中田翔とウォーカーに連打を浴びると、続く大城卓三はファーストゴロに打ち取り、前日に続いて一塁手を務める牧秀悟(DeNA)が華麗にさばいて二塁に転送。併殺が完成かと思われたが遊撃手・中野拓夢(阪神)の送球をファーストベースカバーに入った與座が落球。この間に二塁走者の中田が生還し先制を許した。
打線は3回まで巨人先発・井上温大の140キロ台後半の力強いストレートを中心とした投球に牧の1安打のみに抑えられていたが、4回からマウンドに上がった赤星優志に対して、四球や牧のレフト前安打からチャンスを作る。ここで5番・山田哲人(ヤクルト)のショートゴロの間に1点を返し同点に追いついた。
だが、その裏に與座が再び巨人打線に捕まる。丸佳浩、中田に連打を浴びると、ウォーカーにレフトスタンドへ飛び込む3ラン本塁打を許して勝ち越された。
この嫌な流れを変えたのが5回から登板した宮城大弥(オリックス)だ。「緊張しました。自分の仕事をすることで精一杯でした」と振り返りながらも2イニングを1安打1四球、無失点にまとめた。WBC使用球については「難しさもあるので慣れていきたいです」としながらも役割を果たした。
すると打線は7回、この回からマウンドに上がった大江竜聖に対し相手失策からチャンスを作ると佐藤輝明(阪神)がライト前にタイムリーを放って1点を返す。
そして8回、この回からマウンドに上がった京本眞に対して、牧が四球を選ぶと、2試合続けて4番に座った村上宗隆(ヤクルト)が打った瞬間に本塁打と分かる豪快な打球を右中間上段スタンドまで飛ばして同点。村上の2試合連続本塁打で場内のボルテージが最高潮に達すると、さらに代わった堀岡隼人から山田哲人(ヤクルト)がレフトスタンドへ連続本塁打を放って一気に逆転に成功した。勢いはこの後も止まらず西川龍馬(広島)の三塁打と甲斐拓也(ソフトバンク)のセンター前タイムリーで1点を追加した。
ダメ押しは9回。塩見泰隆(ヤクルト)が鍬原拓也からレフトスタンドにソロ本塁打、村上が2打席連続となるソロ本塁打を、今度は逆方向のレフトスタンドへ放ってリードを4点に広げた。
救援投手陣は7回を湯浅京己(阪神)、8回と9回を山﨑颯一郎(オリックス)が1人の走者も出さずに抑え、試合終了。試合終盤には途中出場の遊撃手・源田壮亮(西武)が好守備を何度も見せるなど、各選手たちが持ち味を存分に発揮し、チケット完売となった4万人を超える観衆を沸かせた。
その後はWBCを想定して、無死二塁から始まるタイブレークを練習。表の攻撃で侍ジャパンは西川がタイムリーを放ち代走・周東佑京(ソフトバンク)が生還。さらに代打・森友哉(西武)と近藤健介(日本ハム)のタイムリーで4点を挙げた。その裏は伊藤大海(日本ハム)が2点こそ失うも後続を冷静に抑えてタイブレークを締めた。
こうして東京ドームでの2試合とタイブレーク練習を終えた侍ジャパンは北海道へ移動し、9日・10日はオーストラリア代表と札幌ドームでナイターを行う予定となっている。
監督・選手コメント
栗山英樹監督
「チームでもっと良い流れが作れるようにしないといけない反省材料が出ましたが、今日は選手たちがよくやってくれました。哲人は疲れているのは分かっているけれど“どうしても来て欲しい”というのが僕の全ての思いです。無死二塁からのタイブレークは難しいなと今日感じたので、意思統一ができるようにやっていきたいです。オーストラリアはWBCでも同じグループなので、しっかり勝ち切りたいです」
山田哲人(ヤクルト)
「(勝ち越し本塁打)しっかり自分のスイングができて捉えることができて角度もつけることができました。(唯一のWBC経験者)特に意識はしていないですが、たくさんの人とコミュニケーションが取れています。栗山監督の熱い思いに応えたいという気持ちなので、隙のないプレーをして、活躍して、勝利に貢献していきたいです」
村上宗隆(ヤクルト)
「(8回の本塁打)初球からいいスイングができました。(9回の本塁打)打ったのはフォーク。イメージ通りにうまく押し込んで打つことができました」
西川龍馬(広島)
「(8回の三塁打)やや詰まっていましたが、いい角度で打球が上がってくれました。チームが勝ち越したので、その流れを止めずに繋ぐことができてよかったです」
與座海人(西武)
「独特の緊張感と凄いメンバーの中で投げさせてもらえて良い経験になりました。最後悔しい形になりましたが、一球一球しっかり投げられました。WBC使用球については、試合に入るとあまり気にせず投げることができました」
湯浅京己(阪神)
「ビハインドだったのでチームに流れを持ってこられるよう、しっかり3人で抑えようと頑張りました。WBC使用球には慣れてきましたが、もう少し感覚よく投げられるようになりたいです」
山﨑颯一郎(オリックス)
「侍ジャパンで初登板でしたが、しっかり抑えられてよかったです。日本シリーズから期間が短く、ぶっつけ本番でしたが、なんとか調整できました」