9月9日、侍ジャパンU-18代表が出場している「第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(9月10日まで)のスーパーラウンド最終戦となる第3戦が台湾の天母野球場で行われた。前日までの試合結果で、ともに決勝進出を決めていたチャイニーズ・タイペイとの「前哨戦」と言える試合だったが2対5で敗れ、スーパーラウンド2位で決勝へ進むこととなった。
大事な先制点はしっかり掴んだ。3番の緒方漣(横浜)が四球を選ぶと、前日に続き4番に起用された武田陸玖(山形中央)が逆方向の相手左翼手の頭を越える打球を放って緒方が生還した。
ところが、その裏に先発の髙橋煌稀(仙台育英)が先頭打者から2者続けて四球を出すと、その後は右翼手・知花慎之助(沖縄尚学)の落球や髙橋の暴投、林佳緯のタイムリーで3点を失った。馬淵史郎監督は「先制の後の先頭に四球は、野手の流れも悪くしてしまいます」と苦言を呈した。
2回からマウンドに上がった森煌誠(徳島商)も2回と3回に犠飛で、それぞれ1点を失いリードを広げられた。
反撃したいところだったが、相手先発右腕・曾偉喆のスリークォーターから投じられるキレの良い球に打線が繋がらず、2回から5回を無得点に抑えられる。6回に代わった王彥恩から緒方の内野安打と盗塁でチャンスを作ると、今大会初スタメンの髙中一樹(聖光学院)がセンター前に弾き返し、緒方が俊足を飛ばして生還し2点目を挙げた。
だが反撃はここまで。安田虎汰郎(日大三)が2イニングで3安打を打たれながらもシンカーを武器に4三振を奪って無失点で凌ぐなど収穫もあったが、2対5で試合を終えた。
馬淵監督は試合前後で「負けていい勝負はありません」と繰り返した一方で、「このアウェイの雰囲気を経験できたのは大きい。明日勝てるかどうかが大事になります」と前向きに捉え、「こちらにも意地がありますから」と闘志を燃やした。
その上で決勝戦の先発投手に前田悠伍(大阪桐蔭)を指名。「チームが勝てる投球をしてもらいたいです」と期待を込めた。また、前田も「こちらはリベンジするだけ。チャレンジャーの方が気持ちは作りやすいですし、甲子園の方が凄いので相手の応援も気になりません」と強気に頼もしく抱負を語った。
決勝戦は日本時間9月10日19時から試合開始予定。完全アウェイの中で雪辱を果たし、初めての栄冠を掴み取ることはできるのか。運命の一戦はまもなくだ。
選手コメント
髙橋煌稀(仙台育英)
「調子は良かったのですが、球場の雰囲気など含め思ったボールがいきませんでした。力みが四球に繋がってしまいました。相手打線はストレートに振り負けない印象を持ちました」
武田陸玖(山形中央)
「先制打の場面は追い込まれていたので、なんとかボールについていこうと来た球を思いきり振りました。相手は、甘く入ったら外野まで飛ばす力を感じましたが、弱点や隙はあると思うので、今日の経験を生かしていきたいです。世界一を目標にやってきたので勝つことだけを考えて戦います」
緒方漣(横浜)
「自分が塁に出ることで相手にプレッシャーをかけることができると思いますし、大事なところでの一本も意識していきたいです。アウェイの空気を感じられたことは収穫ですし、世界一を掴みきりたいです。横浜高校での最後の試合は悔しい思い出で終わっているので、侍ジャパンではサポートしてくださっている関係者の皆さん含めて、全員で喜びを分かち合いたいです」
第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2023年8月31日~9月10日
オープニングラウンド
9月1日(金)19:30 日本 10 - 0 スペイン
9月2日(土)19:30 日本 7 - 0 パナマ
9月3日(日)17:35 アメリカ 3 - 4 日本
9月4日(月)21:00 ベネズエラ 0 - 10 日本
9月5日(火)19:30 日本 0 - 1 オランダ
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)15:30 日本 7 - 1 韓国
9月8日(金)11:30 日本 10 - 0 プエルトリコ
9月9日(土)19:00 チャイニーズ・タイペイ 5 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
決勝
9月10日(日)19:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
開催地
台湾
出場する国と地域
グループA
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、韓国、オーストラリア、プエルトリコ、チェコ
グループB
日本、アメリカ、ベネズエラ、オランダ、パナマ、スペイン