3月6日、「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本 vs 欧州代表」が京セラドーム大阪で始まり、侍ジャパントップチームは欧州代表と対戦し5対0の快勝を収めた。
試合前には1月1日に発生した能登半島地震の復興支援に関連する活動が複数行われた。まず17時半の開場時からの約10分間に、侍ジャパンの井端弘和監督や村上宗隆(ヤクルト)ら17名や欧州代表の選手らが募金をしてくれたファンにハイタッチ。指揮官やスター選手を前にファンは次々と集まった(7日の第2戦でも実施予定)。
グラウンド上では、メンバー発表後に1分間の黙祷が捧げられ、始球式は徳野由子さん(石川県輪島市)と扇瑠花さん(七尾市)のバッテリーが務めた。この始球式は、『RAXUS こどもたちの夢応援プロジェクト』の呼びかけにより実現し、ラグザス株式会社の「“子供たちに夢を”だけではなく能登の復興に向けた場として提供したい」という思いから、今回の2人が選ばれた。大観衆の前で緊張はあったはずだが、見事なノーバウンド投球でスタンドから大きな拍手が送られた。
試合は平良海馬(西武)とトム・デブロック(オランダ)両右腕の先発で始まった。
1回表、平良は四球こそ出したものの無安打に抑える。するとその裏、WBC2大会連続出場中と経験豊富なデブロックを相手に打線が繋がる。先頭の塩見泰隆(ヤクルト)がレフト前安打で出塁すると、3番の近藤健介(ソフトバンク)がレフト頭上を越える二塁打で1死二、三塁とチャンスを拡大。ここで打席には、井端弘和監督に早くから4番起用を明言されていた村上。2ストライクと追い込まれながらもデブロックの151キロのストレートをライト前に弾き返して先制に成功した。さらに6番の紅林弘太郎(オリックス)が127キロのスライダーに泳がされながらもライト前に運んで2点目を挙げた。
平良は、2回には先頭から連打を浴びるが、二塁手・小園海斗(広島)と遊撃手・源田壮亮(西武)の流れるような連係による併殺打で2死とすると、続く打者も打ち取り無失点にまとめた。
投手陣はその後も宮城大弥(オリックス)と森下暢仁(広島)が無失点で繋ぐと、5回裏には欧州代表3番手のダルトン・フォンシャマン(ドイツ)から近藤がライトへ二塁打を放って2点を追加した。
6回には前の回に代走で出場しホームを踏んでいた西川史礁(青山学院大)。相手投手は代わったばかりのサイドスロー右腕フランクリン・ファンフルプ(オランダ)だったが、初球142キロのストレートを迷いなく振り抜くと、打球は三塁線を破るタイムリー二塁打に。さらに8回には左腕・ルイス・ルゴ(イタリア)からレフト前安打を放ち2打数2安打。これには井端監督も「初球から振れて、ファウルにならずに飛んでいくのは並の大学生ではないですね」と手放しで称賛した。
投げては6回以降も山下舜平大(オリックス)が最速159キロの豪速球を投じてスタンドを沸かせるなどし、根本悠楓(日本ハム)や栗林良吏(広島)も無失点で繋ぎ完封リレー。5対0で侍ジャパンが快勝した。
2024年の初陣を飾った侍ジャパンは、7日も19時から京セラドーム大阪で欧州代表と戦う。先発投手は金丸夢斗(関西大)。西川の一打にも刺激を受けたであろう大学ナンバーワン左腕は「緊張はありますが、雰囲気を楽しみたいです」と頼もしく、快投に期待したい。
監督・選手コメント
井端弘和監督
「非常にホッとしています。良い形で初回に点が取れて試合を進めやすくなりました。1点が欲しい場面で4番がきっちり仕事をしてくれましたし、ずっと外角を攻められていた中で内角の球を上手く捌いてさすがだと思いました。投手陣も上手く調整してくれました。(7日先発の金丸について)力があるので今までやってきたことをマウンドで出せば良いと思います。大学生ですが、プロの投手と同じく安心して見ます」
村上宗隆(ヤクルト)
「前に飛ばしてなんとか先制をと思っていたので、初戦の大事な場面で打つことができて良かったです。(WBC以来の侍ジャパンのユニホームで)良い緊張感の中で戦うことができました。(西川について)積極的にスイングを仕掛けることができますし、こういう舞台で結果を残す難しさも知っているので、凄いなと思います」
西川史礁(青山学院大)
「緊張はしたのですが(打席の前に)代走、守備機会とあったので緊張がほぐれました。どんな球でも甘い球は初球から行こうと思っていたので上手く振り抜くことができました。初球からフルスイングできることが自分の持ち味だと思っているので、それができました」
紅林弘太郎(オリックス)
「良い打者の後ろに置いていただいたので期待に応えられるよう頑張りました。繋ぐという意識で打席に立ちました。プレミア12を目標にしているので良いアピールを続けていきたいです」
山下舜平大(オリックス)
「楽しかったです。(今年の)実戦は2回目なので色々な課題がありましたが、これからに繋がるのではと思います。たくさんの方に見られている中で自分の力が出せました」
平良海馬(西武)
「自分としてはまずまずのピッチングでした。相手のスイングも強くて良いバッターだなと思いました。点を取られなくて良かったです」
宮城大弥(オリックス)
「感覚は良かったです。自分のバランスや感覚といったキャンプで大事にしていたところをしっかり出そうとイメージしました」
マルコ・マッツィエーリ監督(イタリア)
「防戦となる場面が多かったですが、誇りを持って選手たちを見ていました。抑えの栗林投手からも安打を打ちましたし、最後まで戦い抜きました。ゆっくり休養して明日に備えたいです」
ダニエル・ヒメネス(スペイン)
「日本で初めてプレーできたことを誇りに思います。良い投手から2安打を打つことができ嬉しいです」