9月2日から香港で開催される「第1回 BFA女子野球アジアカップ」に向け、侍ジャパン女子代表は8月11日、高知県室戸市で2日間の強化合宿をスタートさせた。
前日に高知入りしたチームはこの日、午前9時から室戸マリン球場で行われた歓迎セレモニーで、吉井温愛主将(履正社高3年)があいさつ。「黒潮にもまれて育った魚をいただいてパワーをつけ、9月のアジアカップに向けて勢いをつける合宿にしたいと思います」と地元の特産を盛り込んだコメントにより、それまで緊張ぎみだった選手20名にも笑顔が広がる。
侍ジャパン女子代表・橘田恵監督いわく、今回の合宿テーマは「前回(7月6・7日)の大阪合宿はチームの初顔合わせでもあったため、選手同士のコミュニケーションを深めて士気を高めることが大きな目的だったので、この合宿ではサインプレーや守備の基本など、チームとしての確認ごとをきっちりこなしたい」。
よって選手たちは侍ジャパンの縦じまユニフォームに袖を通しキャッチボール、トスバッティング、バント練習で体を温めた後は、地元・室戸高校の選手に走者として協力してもらい、実戦を意識した投内連携、牽制練習などに時間を割いた。
その中でも橘田恵監督は捕手から野手への指示の出し方や、投手と野手の牽制のタイミングの合わせ方など、細かい部分をひとつひとつ確認。午後から行われた室戸高校との強化試合でも随所に練習を実戦で活かそうとする場面が見られた。
試合は侍ジャパン女子代表が初回、4番・指名打者の緒方佑華捕手(折尾愛真高3年)の右越え適時二塁打で先制すると、逆転された後の5回表には、5番の北山未来外野手(履正社高3年)が「ストレートに狙い球を絞って思いっきり振って」この試合3安打目となる2点適時二塁打を左翼線に放ち逆転。さらに6回表には阿部希内野手(福知山成美高3年)の犠飛で4点目。7回には無死満塁の好機から一気に4点を奪って大勢を決めた。
守っても侍ジャパン女子代表は先発左腕の小田嶋真美(横浜隼人高3年)が制球に苦しみながらも要所で三振を奪って3回を2失点でしのいだ。また、2番手の田中志緒梨投手(埼玉栄高3年)は5回裏一死一・三塁のピンチで、午前中の練習通りに牽制で一塁走者を誘い出してアウト。さらに守備陣もその直後、二遊間へのライナーを蛭田菜月二塁手(埼玉栄高3年)が体を伸ばして好捕するなど、集中力の高さが光った。そして3番手の杉本みな(蒲田女子高3年)、4番手の姫野真由(花咲徳栄高3年)も危なげない投球。4回以降は相手に本塁を踏ませず侍ジャパン女子代表が8対2で快勝を飾った。
試合終了直後、20名の選手達に「ナイスゲーム!」と声をかけた橘田恵監督は試合を振り返り、「室戸高校の投手が良く、序盤は打ちあぐねてしまったが、接戦を経験できたことは良かった。午前中に練習した牽制でアウトがとれたことも大きな収穫だった」と収穫を語っている。
なお、侍ジャパン女子代表の高知合宿2日目は初日と同じく室戸市の室戸マリン球場で練習が行われた後、再び室戸高校との強化試合を通じてプレーの完成度を高めていく予定。大会初代アジア女王獲得へ向かって、U-18年代によるヤングマドンナたちはしなやかに、かつ力強くチーム力を高めていく。