「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)に出場する侍ジャパンU-18代表が8月25日、千葉県内の千葉工大グラウンドで練習試合を行った。毎回の21安打と攻撃陣が活発で17対4と圧倒し、対外試合の初戦を飾った。
ついに、この瞬間が訪れた。6対2で迎えた5回裏無死一塁、打席に四番・清宮幸太郎(早実)を迎え、マウンドには4回から2番手として救援していた左腕・佐々木颯(1年・足立学園)。清宮は「狙っていた」という1ボールからの2球目のスライダーをたたくと、打球は右翼ネットを越え、場外へと消えた。高校通算108号。主な高校生で歴代1位とされる神港学園・山本大貴(元JR西日本)の107本を抜き、清宮が単独トップに立った。今大会は使用バットが金属から木製となるが、規格外の飛距離は変わらなかった。
「打った瞬間、行ったと。よく飛んでいったので、自分らしいホームランでした」
実戦初戦で主将自ら"一発回答"を出したわけであるが、小枝守監督によると、合流から3日間で、こんなやりとりがあった。
「練習初日はボールが上がらなくて、金属の名残があったんです。木製と金属ではバットの返し(ヘッドの使い方)が違う。正しい力のバランスで、振るように言いました。清宮は聞く耳を持っています。(私以外の)先生方のアドバイスも聞いた上で、自らで選択して吸収していくタイプ。108本?並じゃ打てない。非凡なものがある」。
清宮は西東京大会準決勝(対八王子)でタイ記録の107号を放ったものの、東海大菅生との決勝で敗れ、甲子園出場を逃している。2年ぶりの侍ジャパン代表で、再び巡ってきたチャンスを逃さないあたり、さすが大物だ。心理的にもだいぶ、楽になったようである。
「いろんな人に言われて、チームメートからも言われて……。タイ記録になっていろいろ取り上げられましたが、そんなタイにはこだわりがなくて、やるからには抜きたいと思っていた。プレッシャーになる前に打てて良かったです」。
これが偽りのない本音だ。個人記録はひと段落し、侍ジャパンをけん引する主将として、目の前の勝負、目標の「世界一」に集中できる。
清宮幸太郎(早実)と安田尚憲(履正社)
この日は小枝監督が打線のもう一人の「軸」と語る五番・安田尚憲(履正社)が2本塁打をマーク。「練習から状態は良かった。実戦でも打てたので、自信を持ってやっていける」と充実の表情を見せた。ホテルで同部屋という清宮の108号については「歴史的瞬間に立ち会えてよかった」と、仲間の記録更新を自分のことのように喜んでいた。
主砲コンビが打線全体の相乗効果になっていると、小枝監督は分析する。「彼ら2人に引っ張られるように、各人が鋭いスイングを心掛けている。自分で崩れて、打たされるようなことがないようにしてほしい」。
一方、投手陣については「大事なのはゲーム感覚。探りながら投げているのが見受けられるので、素を出してほしい」と、注文を出した。とはいえ「今回のチームは明るい。キャプテンを決めてからギアアップした」と、手応えを口にする指揮官。
主将・清宮は試合中、声が途切れることはない。名実ともに、侍ジャパンの〝顔〟としてリーダーシップを発揮している。
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ