2012年の第26回大会以来、2大会ぶりの「アジアナンバーワン」を10月2日から台湾で開催される「第28回BFAアジア選手権」でミッションとする侍ジャパン社会人代表。その最終合宿最終日となる9月29日には、大会前最後の強化試合となる東京ガスとの一戦が、東京都大田区の東京ガス大森グランドで行われた。
佐藤旭主将(東芝)の「絶対に勝ちましょう」の掛け声を合図に一気にテンションを高めた侍ジャパン社会人代表は、一昨日の千葉ロッテ2軍戦に続き序盤から打線が爆発する。
1回表、2番・北村祥治(トヨタ自動車)が四球で出塁すると、3番の藤岡裕大(トヨタ自動車)は左中間を深々と破る適時二塁打。3回表には、この回先頭の8番・細山田武史(トヨタ自動車)がライトへ二塁打を放つと、続く若林晃弘(JX-ENEOS)がセンターへタイムリーと、強打でつなぐ積極的な姿勢でたちまち2点のリードを奪った。
その後、中盤はチャンスであと一本が出ない展開となった侍ジャパン社会人代表。だが、2対2の同点とされた7回表、その突破口を本大会で勝ち抜くに必須となるバントで切り拓く。まず藤岡が一二塁間を真っ二つに破って出塁すると、強化試合これまでヒットがなかった主砲・笹川晃平(東京ガス)にも初ヒットが出て無死一二塁。そしてこの場面で打席に立った主将の佐藤は初球をきっちりバントで転がす流石の仕事で一死二・三塁とすると、6番・大城卓三(NTT西日本)がセンターへ強化試合3本目となる豪快な3ランを叩き込んで勝ち越しに成功した。
一方の投手陣は先発・阿部良亮(日本通運)が3イニングを投げて1失点。2番手の鈴木健矢(JX-ENEOS)も2イニングで1失点と、傷を最少失点で切り抜けると、6回裏は平尾奎太(Honda鈴鹿)。7回裏は谷川昌希(九州三菱自動車)が3三振を奪って無失点。8回裏もベテラン・佐竹功年(トヨタ自動車)も2三振を奪う貫禄のピッチング、9回裏は渡邉啓太(NTT東日本)が0点で締め、2試合で登録8投手を全員起用した侍ジャパン社会人代表が東京ガスに5対2で勝利。強化試合連勝を収めた。
強化試合後は、タイブレークが導入される大会へスムーズに臨むため、無死一・二塁からのタイブレークマッチを東京ガスの協力を得て、表裏を入れ替える形で2度実施した。
侍ジャパン社会人代表が表となった1回目は田中が犠打で送ると、神里和毅(日本生命)がタイムリーを放って2得点。その裏は、強化試合から引き続いて渡邉啓がマウンドに上がり、相手バントを捕手の山内佑規(東京ガス)が三封。次打者の右飛と二盗から二死二・三塁では外野手が前進守備をとるなど、試合状況の対応を確認しながら無失点で終えた。
2回目のタイブレークマッチではマウンドに田嶋大樹(JR東日本)が登板。二塁走者を牽制アウトにすると、続く2者から連続三振を奪ってこの回も0点でしのぎ、犠打と敬遠での一死満塁から、大城がレフトへ犠飛を打ち上げてのサヨナラ勝ちにつなげた。
こうして全ての直前合宿メニューを終えた石井章夫監督は、大会構想について「打線はヒットが出ているので、あとは良い投手を相手にした時にどうやって得点に結び付けていくのか。これからコーチ陣と戦略を練っていきたい。投手陣は1試合を流したが、ブルペンを見る限り、心配していません」とコメント。
また、強化試合で好調の大城は「初球から自分のスイングができているのが好調の要因」と話し、「(本来のポジションである)キャッチャーでもファーストでも、石井監督にやれと言われたポジションでチームの勝利に貢献したい」と語った。
さらに強化試合2安打を放った5番・菅野剛士(日立製作所)は「合宿前からバッティングの調子が良いので、この調子を台湾でも持続させたい」と手ごたえを話し、日立製作所のチームメイトである1番・田中も「チームの一人ひとりが日本の代表として責任感と自覚を持って戦っているので、とても活気がありますし気持ちが一つになっていると感じます」とチームにまとまりが生まれていることを教えてくれた。
最後に田嶋は「この合宿では試合勘を取り戻すことと、新しいキャッチャーに慣れることを課題にしていましたが、今日はストライク先行で自分のピッチングができたので良い感じで合宿を終われたと思います」と自信を見せた。
「どの選手もコンディションという面では順調なので、良い形で台湾に入れると思います。そして、アジアナンバーワンを目指し、一戦一戦を戦っていきたい」と改めて優勝を誓った石井監督に率いられる侍ジャパン社会人代表は、9月30日に決戦の地・台湾へ移動。現地で調整を続け、10月2日13時(日本時間)から新荘球場で行われるオープニングラウンドグループB初戦・香港戦へ備えることになる。