9月3日に宮崎で開幕する「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場する侍ジャパンU-18代表が8月26日、立大と練習試合(7回制)を行い3対1で勝利し、対外試合初戦を飾った。その後は2イニングのタイブレーク(無死一、二塁の継続打順)を練習し、本番への準備が進んでいる。
投手はスロー調整中の金足農・吉田輝星、DHで出場した木更津総合・野尻幸輝以外の7投手が1イニングずつ登板。4番手で今大会唯一2年生である星稜・奥川恭伸が1失点した以外は、6投手が持ち味を発揮。内野手登録の大阪桐蔭・根尾昂は、この日は救援待機で、6番手で6回を三者凡退。また、甲子園優勝投手の大阪桐蔭・柿木蓮は7回に三者連続空振り三振と、圧巻の投球を見せている。打線は1点を追う5回裏に主将の大阪桐蔭・中川卓也が逆転適時打。なおも、敵失で1点を追加し、そのまま2点リードを逃げ切っている。
ついにチームの「骨格」が決まった。2日間の練習を見た上で、永田裕治監督は昨晩のミーティングで、副将に大阪桐蔭・根尾、浦和学院・蛭間拓哉、日大三・日置航の3人を指名。絶対的なチームリーダーである主将・中川をバックアップする形ができあがった。
根尾は大阪桐蔭でも常に中川の横で、副将として、親身に相談に乗ってきた同僚だ。「他のチームの主将(経験者)もいて、頼りになりますが、一番、近くで見てきたのは自分。サポートしていきたい」。蛭間と日置は自チームでもキャプテンを務めてきたキャリアがある。日置は「今まで以上に自覚と責任が増す。しっかりとチームを引っ張っていきたい」と気持ちを引き締めた。蛭間は前日の結団式の段階から「中川を全力で支える」と宣言しており、昨晩の〝正式決定〟に気合がみなぎる。
「中川もプレーに集中しないといけないときがある。自分がキャプテンのつもりで引っ張っていきます。荷物運び、雑用も自分が率先してやります。3年間、浦和学院で教わってきたことをすべて出したい」
立大との練習試合で、さらに心強い援軍2人が加わった。まずは、永田監督が「奈良間の声は良い!!」と絶賛。二塁手で先発した常葉大菊川・奈良間大己が甲高い声、響く声、野太い声と、状況によって切り替えるかけ声で、守備のリズムを作り上げていた。本人は、〝声のギアチェンジ〟については「意識していません」と否定してきたが「自分の特長は元気。チームに良い影響を与えられたらいいです」と、今後も雰囲気を作り上げていきたいという。
今大会は18人の限られたメンバーで守備中、ベンチには野手がほとんどいない。そこで「声だし要員」を買って出たのが、柿木だった。自身はこの試合は7番手と、ブルペンで準備を始めるまでの時間は、三塁ベンチで声を張り上げた。「初戦ということもあり、硬くなる。声を出すことによって和む。それが、勝利につながったのだと思います」。前日は小泉航平の音頭によりバッテリーミーティングが開催され、投手陣は柿木、吉田、明徳義塾・市川悠太の3人でけん引していくことを確認した。
永田監督は集合日の25日「何があっても驚かない」をチームの合言葉としたが、副将・蛭間によるともう一つ、スローガンがあった。
「明るく元気に!!」
大会に入れば、良いことばかりが続くとは限らない。逆境のときこそ、18人全員の声をつなぐことにより、チームの窮地を脱することができる。声の効果について、元気印・奈良間は胸を張ってこう言った。
「雰囲気が良くなることはもちろんですが、勝てるチームの条件だと思います」
報徳学園を率いていた当時から「チームの和」を大事にしてきた永田監督も「初日の夜も中川のほうから選手ミーティングをしたい、と言ってきた。昨晩のバッテリーを含めて、ディスカッションができている。良いムードになってきた」と、手応え十分である。
明日は神宮で大学日本代表との壮行試合が行われる。すでにチケットは完売しており、大観衆の中で、いかに「声」を浸透できるか。アジア選手連覇へ向けた試金石となる一戦だ。
第12回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2018年9月3日~9月10日
グループA
9月3日(月)18:00 日本 26 - 0 香港
9月4日(火)18:00 スリランカ 0 - 15 日本
9月5日(水)18:00 日本 1 - 3 韓国
スーパーラウンド
9月7日(金)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
9月8日(土)18:00 日本 (中止) 中国
3位決定戦
9月10日(月)13:00 日本 14 - 1 中国
開催地
日本(宮崎)
出場する国と地域
グループA
日本、香港、韓国、スリランカ
グループB
中国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、インドネシア