7月23日に開幕する東京オリンピックの野球競技には日本を含む6か国が出場。メダル獲得を争う出場国のうち、最後はドミニカ共和国代表を紹介する。
世界最終予選を制し最後の1枠を掴んだドミニカ共和国
MLBに多くのスター選手を輩出し、2013年のWBCでは優勝を果たすなどタレントの宝庫として知られているドミニカ共和国。だが、国際大会では苦戦する歴史が続いてきた。
オリンピックは、正式競技になってからは1992年のバルセロナ大会以来2回目の出場だ。当時はアマチュア選手しか出場が認められていなかった。日本における学生野球や社会人野球のようなプロ以外の受け皿がないドミニカ共和国は、出場こそ果たしたものの日本に0対17のコールド負けを喫するなど6位という結果に終わっている。
後にプロ選手の国際大会出場が解禁されるようになるが、有力選手がアメリカを中心に国外でプレーしていることや、シーズンオフにウィンターリーグが開催されていることもWBC以外で結果を残せなかった原因の一つに挙げられるだろう。
ただ、東京オリンピックでの野球競技復活が決まり、代表を統括するための新たな組織を立ち上げてオリンピック出場に向けて体制を整えてきた。
2019年秋に行われたプレミア12では予選ラウンド敗退、オリンピック出場に向けた2度目のチャンスとなる今年6月のアメリカ大陸予選でもアメリカに敗れて出場権を獲得できなかったが、直後にメキシコで行われた世界最終予選でベネズエラとの一発勝負の決勝戦を制し最後の1枠を掴んだ。
WBC以外のドミニカ共和国代表の戦力的なイメージは少ししにくいかもしれないが、2015年秋に行われたプレミア12では1次ラウンドで日本と直接対戦している。
日本は2対0の僅差でリードしていた7回に、小川泰弘(ヤクルト)がロニー・ロドリゲス(現日本ハム)に同点2ランを被弾。8回に中田翔(日本ハム)のタイムリーで再び勝ち越してそのまま逃げ切った苦しい試合だった。
MLBで2度の本塁打王を獲得したホセ・バティスタ(元ブルージェイズ)
今回のドミニカ共和国代表のメンバーには予選を戦ったビッグネームも選出された。MLBで2度の本塁打王を獲得するなど通算344本塁打を記録しているホセ・バティスタ(元ブルージェイズ)やヤンキースなどで活躍しオールスター経験を持つメルキー・カブレラ(元ヤンキース)だ。さらに巨人で活躍しているC.C.メルセデスやエンジェル・サンチェスに加え、ラウル・バルデス(元中日)、ホアン・フランシスコ(元巨人)といったNPB経験者も名を連ねており、日本にとっても手ごわいチーム編成だ。
国技である野球でオリンピック出場を果たしたドミニカ共和国代表に対する国民の関心は高い。29年ぶりの出場となるオリンピックでは、その注目度に応える結果を残すことが期待されている。