山下輝、徳山壮磨ら11名の侍ジャパン経験者が指名を受ける/プロ野球ドラフト会議2021総括
2021年10月15日
10月11日、新人選手選択会議『プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』が東京都内で行われ新人選手77名が指名され交渉権が確定した(※)。その中にはかつて侍ジャパンを経験した11選手も指名を受けた。今回は彼らの侍ジャパン時代の活躍を振り返る。
※その後に行われた「育成選手選択会議」には中日を除く11球団が参加、育成選手51名が指名された。
2017年のU-18代表組からは5人がドラフト指名
2017年にカナダで行われ3位となった第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ(以下、W杯)のメンバーでは5人が指名を受けた。
もっとも高い評価を受けたのが山下輝(法政大)だ。外れ1位でヤクルトと広島の2球団が競合し抽選の結果、ヤクルトが交渉権を獲得した。
山下は188センチ100キロの大型左腕。木更津総合のエースとして甲子園出場に導き、W杯では2試合に登板。予選ラウンドのキューバ戦では先発し5回3分の1を投げ3安打2失点7奪三振と好投し7対2の勝利に貢献した。スーパーラウンドのカナダ戦では2番手として登板し、2回3分の1を投げて1失点という内容で後続の投手に繋いだ。大学1年時に左肘を痛めてトミージョン手術をするなど大学では紆余曲折もあったが、最速152キロを投げるまでに成長を遂げて高評価を勝ち取った。
徳山壮磨(早稲田大)はDeNAに2位で指名された。大阪桐蔭のエースとしてセンバツ優勝を果たして、夏も甲子園で2勝。文句なしの実績で代表に選出され、W杯3試合の先発を任された。開幕戦のメキシコ戦で7回2安打1失点、オランダ戦でも5回3安打1失点と好投し2勝。カナダ戦では3回途中2失点で降板となったが3位入賞に大きく貢献した。早稲田大でも1年春から登板し侍ジャパン大学代表候補にも選出されるなど実績を積んで、上位指名を掴んだ。
福岡大大濠でバッテリーを組んでいた三浦銀二(法政大)と古賀悠斗(中央大)もそれぞれ、DeNAに4位、西武に3位で指名された。ともにセンバツで滋賀学園との延長再試合を制すなど活躍して4強入り。夏は福岡大会決勝で敗れて甲子園出場はならなかったが、ともに代表選出された。
W杯では三浦が予選ラウンドの南アフリカ戦で5回3安打無失点、3位決定戦のカナダ戦で7回3安打無失点12奪三振の好投で勝利投手となった。古賀は、中村奨成(広島)との併用だったが、キューバ戦、オランダ戦、オーストラリア戦では先発出場して勝利に貢献。スーパーラウンドでは先発したカナダ戦と韓国戦で敗れ、悔しい思いもしたが貴重な経験を積んだ。大学ではともに下級生時代からチームの主力として活躍しリーグ優勝にも貢献。そして今秋にプロ入りの目標を果たした。
丸山和郁(明治大)はヤクルトから2位指名を受けた。前橋育英で外野手・投手双方で活躍し甲子園に3度出場。W杯では9試合に出場し打率.250。「あまり思い出したくないです」と苦笑いして振り返るほどの悔しさを味わった。丸山が木製バットに苦労する中で、同級生の安田尚憲(ロッテ)らの打球の角度に圧倒された。
ここで力不足を感じたことで、大学進学をしてからも常に高い意識で取り組み、2年時には大学代表に選出。日米大学野球に出場し全5試合に出場。ここでも11打数2安打と打撃では苦しんだが、貴重な経験を生かして打撃は年々向上し、今春は東京六大学リーグで打率.357を記録してベストナインを獲得。俊足を生かした走塁や守備はかねてから高い評価を受けていただけに、走攻守三拍子揃った選手に成長を遂げてプロの世界に進むことになった。
2018年に宮崎県で行われた第12回 BFA U18アジア選手権のメンバーからは山田龍聖(JR東日本)が巨人から2位指名を受けた。高岡商で3度の甲子園出場を果たし(2年春は登板無し)、3年夏は2勝を挙げた後にこの大会で春夏連覇を果たす大阪桐蔭と対戦。ここで敗れはしたものの8回3失点11奪三振と好投し、代表にも選出。アジア選手権ではスリランカ戦で2番手として2回無安打4奪三振と好投し勝利投手となった。プロや大学に進む選手が多い中で社会人に進み、ドラフト解禁となる3年目の今年になって最速153キロを投じるなど急成長を遂げて上位指名を掴んだ。
2018年にパナマで行われ4位となった第4回WBSC U-15ワールドカップに出場したメンバーでは池田陵真(大阪桐蔭)がオリックスから5位指名、畔柳亨丞(中京大中京)が日本ハムから5位指名を受けた。
池田は全国津々浦々から集まった選手たちを主将としてまとめ上げて、自身も中軸を担うチームの柱だった。大阪桐蔭でも同じ役割を担いチームを牽引し、春夏連続で甲子園出場を果たした。
畔柳は精鋭揃いのU-15代表の中でも当時で既に最速143キロの力強いストレートを投げており、W杯では5回3分の2を投げて10奪三振を記録した。高校でも凄みを増して現在は最速152キロ。今春のセンバツ甲子園でも2完封を含む3勝を挙げて4強入りに大きく貢献をした。
彼ら以外にも強豪大学に進むなど有望な選手はまだまだたくさんいるが、ひと足先にプロの世界で勝負することになった。
2018年にアメリカで行われた日米大学野球とオランダで行われたハーレムベースボールウィークに出場した上川畑大悟(NTT東日本)は日本ハムからドラフト9位指名を受けた。当時(日本大4年時)は高い守備力と走力を買われての選出で、打撃は両大会合わせて16打数1安打に終わった。それでも社会人野球の3年間で打撃も磨き、昨年の指名漏れを乗り越え、晴れてドラフト指名となった。
2019年に日本各地で行われて優勝を果たした第42回日米大学野球選手権大会のメンバーでは前述の丸山に加え、佐藤隼輔(筑波大)が西武から2位指名を受けた。全5試合にリリーフで登板し6イニングに登板して自責点無して優勝に大きく貢献した。その後、故障などはあったものの本格派左腕としての高い評価は揺るがなかった。
阪神に6位指名を受けた豊田寛(日立製作所)は2015年に大阪府と兵庫県で行われた第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップの準優勝メンバーだ。東海大相模の4番打者として小笠原慎之介(中日)らとともに3年夏の甲子園で全国制覇を達成。W杯でも5番打者を任されていたが、開幕3戦目で死球を受けて左膝を骨折。以降は一塁ベースコーチとしてチームを支えた。国際武道大、日立製作所でも着実に力をつけて、24歳でついにドラフト指名に至った。
この2年間は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でトップチームの東京オリンピック以外は侍ジャパンの国際大会出場は無かったが、彼らがプロ野球の世界で活躍し、今度はトップチームのメンバーとして再び侍ジャパンのユニフォームに袖を通す時を心待ちにしたい。