6月19日、神奈川県平塚市のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで野球日本代表「侍ジャパン」大学代表の選考合宿2日目が行われた。全国の大学から選ばれた精鋭48名(※)が7月8日から15日にオランダで開催される「第30回 ハーレムベースボールウィーク」に出場する24人の枠を目指し、この日は紅白戦でアピールした。
※真野凛風(同志社大)が初日より不参加。
また、夜には「侍ジャパン野球健康診断」(※)を実施。合宿に参加している全選手が受診した。
※選手の肩や肘などの故障に悩む選手が多数いる現状を踏まえ、NPBエンタープライズがアマチュア野球の代表組織である一般財団法人全日本野球協会(BFJ)に協賛し行われており、先日はU-12代表の最終トライアウトでも実施し、今後も日本代表の各世代の合宿などで実施を予定している。
夏晴れの下、午前6イニング、午後6イニングの紅白戦2試合が行われた。世代トップレベルの投手たちが2イニングずつを全力で投げることに加え、春季リーグ以来久々の実戦となる野手もおり、投手戦が中心で試合が進んだ。
まず先発としてマウンドに上がった矢澤宏太(日本体育大)は「力みまくりでストレートが上ずってしまいました」と苦笑いするように先頭打者をいきなり四球で歩かせたが、その後は後続を無安打に抑えて貫禄を見せた。また、同じく先発の渡辺翔太(九州産業大)も2回無安打4奪三振、松崎公亮(武蔵大)が 2回無安打2奪三振1四球と好投した。
スタンドをどよめかせたのは篠木健太郎(法政大)だ。5回からマウンドに上がると、いきなり球場計測で自己最速となる157キロを計測するなどストレートで押していった。
しかし、続く6回はそのストレートが狙い打たれ、奈良間大己(立正大)や杉澤龍(東北福祉大)のタイムリーで3点を失った。豪速球を投げても一筋縄でいかないところに、この合宿のレベルの高さを感じさせた。
同じく3番手の身長195センチ右腕・赤塚健利(中京学院大)からは、蓑尾海斗(明治大)のタイムリーと有馬諒(関西大)の犠牲フライで2点が入った。
午後からの紅白戦は矢澤が白組の指名打者として出場。4回に松本凌人(名城大)からタイムリーを放った。さらに進藤勇也(上武大)も続いて、この回2点を挙げた。松本も不運な当たりに泣かされながらもサイドハンドから力強い球を投じてアピールした。5回には林琢真(駒澤大)が伊藤茉央(東京農業大北海道オホーツク)からタイムリーを放ってこの日2安打目。確実性の高い打撃を存分に発揮した。
最終6回には杉浦有祐(同志社大)が上田大河(大阪商業大)からタイムリーを放った。
こうして要所では得点も入ったが、午後の紅白戦でも投手陣の好投が目立ち、昨秋の明治神宮野球大会優勝に貢献した清水一眞(中央学院大)、全日本大学野球選手権優勝に貢献した青山美夏人(亜細亜大)が2回をパーフェクトに抑えた。
紅白戦後には1日目に行われる予定だったが、雨天予報のために順延した50m走の測定(光電管を使用)を実施。この測定では、矢澤が5秒98で参加した全野手の中でトップとなるタイムを叩き出した。また、林が100分の1秒差となる5秒99で2位、その後は松浦佑星(日本体育大/6秒06)友杉篤輝(天理大/6秒10)蛭間拓哉(早稲田大/6秒17)と続いた。
こうして各選手が持ち味を発揮しアピールに成功。最終日となる3日目も紅白戦が行われ、13時半からは代表24選手が発表される予定となっている。
監督・選手コメント
大久保哲也監督
「縦の変化球が良い投手を注目して観ていたのですが、数選手がイメージ通りの投球をしていました。(今大会から7イニング制が実施されるため)例年より投手は多く選ぼうと思っています。あっという間に試合が決まってしまうので(早めに継投するなど)1試合に3人から4人くらいの投手起用をイメージしています」
矢澤宏太(日本体育大)
「ストレートは力んでしまいましたが、変化球でなんとか抑えることができ捕手も良くリードをしてくれました。満足はしていません。久々に打席に立って良い投手の球を打てたので良かったです。50m走は合宿に来る前から(冬の松山合宿に続く)1位を狙っていたので嬉しいです」
篠木健太郎(法政大)
「持ち味のストレートはアピールできたのかなと思いますが、2イニング目の3失点が非常に悔しいです。ストレートに張られた中でも投げたのですが、ああいう結果になってしまいました。(初球から157キロを計測し)観客の方も反応してくれたので、とても投げやすかったです」
杉澤龍(東北福祉大)
「(篠木からのタイムリー)ストレートが速い投手でしたが、詰まりながらも外野の前に落とせて良かったです。まだまだアピール不足だと思っています。打撃では三振をしないようにし、足でも盗塁を狙うなど走攻守三拍子でアピールしたいです」