11月5日、「侍ジャパンシリーズ2022」の北海道日本ハム戦が東京ドームで行われ、侍ジャパンは3本塁打が飛び出すなどして5対4と勝利。4万人を超える観衆の中で、侍ジャパントップチームの監督として初陣となった栗山英樹監督に白星をプレゼントした。
試合は初回から動いた。1回裏、日本ハム先発の上沢直之から先頭の近本光司(阪神)がライト前安打で出塁すると、すかさず初球から盗塁、さらに悪送球を誘って、あっという間に無死三塁のチャンスを作る。ここで2番に入った近藤健介(日本ハム)がきっちりレフトへの犠牲フライを放って、先制に成功。栗山監督は「“思いきりやってくれ”と言われても難しい中で、ああやって攻める気持ちを見せてくれたことは大きかったです」と近本の姿勢や近藤の技術を称えた。
さらに続く3番の牧秀悟(DeNA)が甘く入ったカットボールを見逃さず振り抜くと打球はレフトスタンドに飛び込むソロ本塁打となり、この回2点を挙げた。
先発の石川柊太(ソフトバンク)は「日本代表として初めての登板で緊張しました」としながらも140キロ台後半のストレートと120キロ台後半のパワーカーブを中心とした投球で3回までを1安打に抑えた。だが、4回は3失点を喫して逆転を許し「反省したいです」と悔やんだ。一方で、WBC使用球については「思っていたより違和感なく投げられ、変化球でもカウントが取れたのは収穫でした」と振り返った。
逆転を許した侍ジャパンだったが4回裏にすぐさま反撃。2番手の加藤貴之から5番の岡本和真(巨人)が四球を選ぶと、6番の森友哉(西武)が甘く入った変化球をライトスタンドに運ぶ2ランを放って逆転に成功した。
さらに6回裏には、今年のペナントレースで56本塁打を放った村上宗隆(ヤクルト)が「追い込まれていましたが、うまく打てました」と、鈴木健矢から高い放物線を描くソロ本塁打をライトスタンドへ放ってダメ押しとなった。
村上について栗山監督は「WBCではいろんなことが起こるので、今のうちに経験できることはしてもらいたいと思っていました」と、慣れない指名打者で先発起用した意図を試合後に明かしたが、どんな状況でも高い能力を発揮できることをあらためて知らしめた形となった。
投手陣は5回から登板した髙橋宏斗(中日)が3安打を許しながらも3イニングを無失点に抑えて相手に流れを渡さず。
8回に登板した森浦大輔(広島)は3連打を打たれて1点を返され、なおも無死一、二塁とピンチが続いたが、ここで上川畑大悟のバントがファースト前の小フライとなると、この日一塁手で先発していた牧が足から飛び込んでダイレクトキャッチ。これを二塁、一塁へと転送してトリプルプレーが完成。好プレーでピンチを一気に脱した。
9回は大勢(巨人)が1点差のプレッシャーを感じさせないほど思いきって腕を振った。この日最速157キロのストレートで押し、フォークも駆使しながら相手を圧倒する投球を見せ、一人の走者も許さずに試合を締めた。
6日は14時から巨人と東京ドームで対戦。予告先発は侍ジャパンが與座海人(西武)、巨人が井上温大と発表されている。また、9日・10日はオーストラリア代表と札幌ドームでナイターを行う予定となっている。
栗山監督は「エンドランなどもっと動いていきたい」とも話しており、さらにアグレッシブな戦いに期待したい。
監督・選手コメント
栗山英樹監督
「中心となる打者がよく打ってくれました。勝ちきれたということよりも、負けてはいけない中で勝つことができてホッとしています。効果的な本塁打や盗塁もありましたが、課題がたくさん見つかりました。ボールが滑る、緊張感もあるという中でどうコントロールしていくかということもありますし、いろんなことをしっかり分析していきたいです」
村上宗隆(ヤクルト)
「緊張しましたが勝てたことが本当に大きいです。誰でも打てる打順、誰もが着られるユニホームではないので誇りに思いながらプレーしました。回の先頭だったので塁に出ることを意識した結果が本塁打になりました。どんなポジションでも、どんな打順でも打てるんだという準備をこれからもして、チームを勝たせられる選手になっていければと思います」
牧秀悟(DeNA)
「少し緊張しましたが、いい形で打てて良かったです。チーム最初のホームランを打てて素直に嬉しかったです。自分でもビックリでした。多くのファンの中で良い経験ができました。(一塁守備について)栗山監督から一塁手でやって欲しいと言われましたし、去年以来ですが、しっかりできて良かったです」
森友哉(西武)
「打ったのはスライダー。感触も良かったです。点を取られた次の回だったので逆転できて良かったです」
髙橋宏斗(中日)
「緊張しましたが、森さんが上手く引っ張ってくれたおかげで無失点に抑えることができました。多くのファンの皆さんの前で投げられて良かったです」