台湾プロ野球を運営するCPBLは11月9日、「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」の代表メンバー26人を発表した。
MAX157キロを誇る古林睿煬はアジア大会にも出場した
一番の注目は22歳の右腕・曾峻岳(富邦)だ。日本球界から熱視線を浴びる存在となっている曾はMAX157キロの速球にスライダー、フォークなどを持つ救援投手。今季は54試合に登板し、2勝2敗9ホールド18セーブ、防御率1.22、被打率.161、三振率10.45という圧巻の成績を収めた。
今年は1月末にWBC合宿がスタートし、長いシーズンを終えた疲労は当然あり、辞退も頭をよぎったというが、NPBでのプレー機会をつかみたいという強い思いが、出場の大きなモチベーションになっている。
今大会がアピールの場となるのは、唯一のNPB組である王彦程(東北楽天)も同様だ。育成契約の王は、8月以降は安定した投球を見せたものの自由契約に。今大会は先発を担うとされており、今後も日本でのプレーを希望しているだけに意気込みは十分だろう。
王を含め先発候補は4、5人おり、そのうちエース格がMAX157キロを誇る剛腕で、アジア大会代表の古林睿煬(統一)だ。この他、新人王候補で台湾シリーズでも先発した陳克羿(楽天)、オーバーエイジ枠の江國豪(富邦)、二軍で防御率1位と最多奪三振を記録した陳柏清(台鋼)がいる。抑えは上述の曾と、元ダイヤモンドバックス傘下でオーバーエイジ枠の林凱威(味全)が有力。今季サイドハンドに転向しブレイクを果たした変則左腕の王志煊(楽天)、好素材の19歳左腕・林詔恩(統一)にも期待したい。
野手は、今季のCPBLで最多安打、3位の16本塁打、2位の80打点をマークし、台湾シリーズでも初戦で2本塁打を放った味全の若き4番劉基鴻に注目だ。この他、岳政華(中信)や邱智呈(統一)の打撃、林孝程(味全)の俊足、林靖凱(統一)や張政禹(味全)の内野守備にも注目で、捕手の蔣少宏は味全の快進撃を支えた捕手だ。
主将を務めるのは前回の2017年大会にも出場し、郭天信(味全)とともに今年のWBCにも出場した陳傑憲(統一)。岡山県共生高校では呉念庭(西武)の1学年下だった陳は29歳。巧みなバットコントロールを持ち、WBCでも打率.357と活躍、今季は前期優勝に貢献、打率.315はリーグ3位、出塁率.413はトップ、4年連続でベストナイン(外野手)に選出されるなど活躍を続けている。
3月のWBCにも出場した陳傑憲が主将を務める
代表を率いるのは台湾人野手初のメジャーリーガーで、現在は富邦で二軍監督を務めている陳金鋒。アテネオリンピックでは上原浩治(当時巨人)から、北京オリンピック予選を兼ねたアジア選手権ではダルビッシュ有(当時日本ハム)から本塁打を放ち「日本キラー」としても知られた。また、NPB経験者の許銘傑コーチ(元西武、オリックス)が投手コーチ、蕭一傑コーチ(元阪神、ソフトバンク)がブルペンコーチを務める。
出場資格を持つ選手の層が限られている中、10月にアジア競技大会、12月にBFAアジア選手権と、兵役短縮に関わる国際大会が前後に開催され、さらにはコンディション不良による辞退者も出ており、厳しい戦いとなる可能性もある。
ただ、選手たちの士気は高い。明るい陳主将に引っ張られた若手が東京ドームで大暴れすることを期待したい。