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試合レポート

「攻撃型2番」向山基生の6打点や加藤三範の5回無安打投球などでパキスタンとの初戦を大勝で制す

2023年12月4日

 12月4日、「第30回 BFA アジア選手権」(12月10日まで台湾・台北、台中)のオープニングラウンド グループBが開幕。侍ジャパン社会人代表は台北ドームでパキスタンと戦い、14対0の7回コールド勝ちで初戦を飾った。

 試合前のミーティングで川口朋保監督は「社会人野球の魅力を伝えましょう。ベストを尽くして自分を信じてやりましょう」と選手たちに声をかけた。序盤に硬さこそあったものの「選手たちが持ち味を出してくれました」(川口監督)と、近年着実に力をつけているパキスタン相手に得点を積み重ねた。

 初回は18歳の身長196センチの大型右腕であるムシャラフ・カーンに三者凡退に抑えられた。だが2回、4番に抜てきされた先頭の逢澤崚介(トヨタ自動車)がレフト前に運んでチームに勢いを与える。すると四球や2つのボークでチャンスを広げ、主将である中村迅(NTT東日本)のセカンドゴロの間に逢澤がホームを踏み先制点を挙げた。
 続く3回には、川口監督が「日本選手権のかかったJABA大会、都市対抗と日本選手権の予選・本戦のデータを取って、最もOPS(出塁率+長打率)が高かったので」と、攻撃型の2番打者として起用した向山基生(NTT東日本)が、追い込まれながらもライト前に運ぶタイムリーを放って2点を追加。ここからは完全にペースを掴んだ。

 4回には中川拓紀(Honda鈴鹿)のタイムリーと向山の2点タイムリーで3点を追加。5回は逢澤の二塁打からチャンスを作ると、猪原隆雅(ミキハウス)のタイムリー、押し出し、矢野幸耶(三菱重工East)のタイムリー、向山のこの日6打点目となる2点タイムリー、丸山壮史(ENEOS)のタイムリー、代打・大西蓮(JR東日本東北)のタイムリーで一挙8点を挙げた。
 投げてはチーム開幕投手に起用された加藤三範(ENEOS)がドームに声を響かせながらの気迫あふれる投球で、5回を味方失策の走者のみの出塁に抑える申し分ない投球を見せて、パキスタンに反撃の糸口を与えなかった。

 パキスタンも、先発として140キロ台前半から中盤のストレートを投じたムシャラフ・カーンだけでなく、4番手に登板したアマーン・カーンも18歳の身長196センチ右腕で、140キロ台中盤のストレートで中村や向山から三振を奪い、打線も6回・7回で合計3安打を放つなど粘りを見せた。
 それでも侍ジャパン社会人代表は、6回は工藤稜太(信越硬式野球クラブ)、7回は片山楽生(NTT東日本)が無失点に抑え、大会規定による7回10点差以上のコールドゲームが成立。試合後は、地元のチャイニーズ・タイペイ戦ではないにもかかわらず集まった多くのファンたちから大きな拍手が送られる中、両者は健闘を称えあった。

 オープニングラウンド第2戦はタイと日本時間5日19時30分から対戦。チャイニーズ・タイペイや韓国の進出が予想されるスーパーラウンドに向けて、良い試合内容を続けていきたいところだ。

監督・選手コメント

川口朋保監督

「加藤の持ち味である気持ちの入った全力投球が、チームに勢いをつけてくれました。パキスタンの投手(ムシャラフ・カーンとアマーン・カーン、2番手で登板したムハンマド・アスラム)はびっくりしましたね。ああいうキレの良い投手がパキスタンにいることが、野球に携わる者として嬉しかったです。社会人野球で通用してもおかしくない投手した。向山が打って繋げてくれることが鍵だと思っていたので、良い働きをしてくれました。まずは最初の3試合で、選手たちには実戦感覚を取り戻してくれればと思っています」

加藤三範(ENEOS)

「初戦ということで緊張もありましたが、イニングの1人目の打者から必ずアウトを取ることを意識しました。捕手の辻本さんと一緒にアウトを1個ずつ積み重ねることができました。思っていた以上に声が響いていましたが気にせずに投げました。長打がある打線だったので、そこは気をつけました。今日だけでなく今大会通して上手くできたと振り返れるようにしていきたいです」

向山基生(NTT東日本)

「繋ぐというより長打を絡めて走者を返すイメージで打ちました。パキスタンの投手が140キロを超えていたので、自分の間合いで打て、追い込まれてからも力むことなく打つことができました。3年後のアジア競技大会(愛知県開催)を見据えたメンバーだと思うので、自分もアピールして引っ張っていけたらと思います」

逢澤崚介(トヨタ自動車)

「(4番起用に応える2安打)打順が何番でも、変な欲を出さずに自分のスイングをしようと打席に立ったので、1打席目から自分らしい打撃ができました。相手投手のストレートは球速以上に感じましたね。(アジア競技大会ではメンバーに選出されず)社会人野球をやっている以上はこのユニホームを着たいので、悔しさを晴らそうと思っています。3年後のアジア競技大会は、今プレーしている愛知県で行われる大会なので、主軸としてプレーしたいと考えてやっています」

第30回 BFA アジア選手権

大会概要出場選手

大会期間

2023年12月3日~12月10日

オープニングラウンド(グループB)
12月4日(月)19:30 日本 14 - 0 パキスタン
12月5日(火)19:30 タイ 0 - 16 日本
12月6日(水)19:30 日本 9 - 1 フィリピン
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)

スーパーラウンド
12月8日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 1 日本
12月9日(土)13:30 日本 5 - 2 韓国
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)

決勝
12月10日(日)19:30 日本 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ

開催地

台湾(台北・台中)

出場する国と地域

グループA
チャイニーズ・タイペイ、韓国、香港、パレスチナ
グループB
日本、フィリピン、パキスタン、タイ

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