9月28日、「第31回 BFA アジア選手権」(9月22日から中国・平潭)の決勝戦が行われ、侍ジャパン社会人代表は平潭公園でチャイニーズ・タイペイと対戦。11対0と投打で圧倒し、2大会連続21度目の優勝を果たした。







前日の韓国戦で今大会初黒星を喫したが、川口朋保監督は「社会人野球の魅力を世界に伝えるためにも、自信を持って、全力で楽しんでプレーして欲しい」と試合前のミーティングで選手を鼓舞した。
試合は1回表の攻撃から侍ジャパン打線がチャイニーズ・タイペイ投手陣に襲い掛かる。先頭の熊田任洋(トヨタ自動車)が四球で出塁し、添田真海(日本通運)がセンター前に運ぶと、網谷圭将(ヤマハ)が左中間を真っ二つに破るタイムリーツーベースを放ち2点を先制。上位打線が早速機能すると、4番・逢澤崚介(トヨタ自動車)が「しっかり自分のスイングができました」とライト前ヒットでつなぎ、6番・矢野幸耶(三菱重工East)の一二塁間を破るライトへのタイムリーで、シンシナティ・レッズ傘下に所属する相手先発のリン・シェンエンを降板に追い込む。さらに変わった投手の制球の乱れも逃さず、押し出し四球でも加点し初回だけで打者一巡し一挙4得点。
2回には、先頭の添田が右中間フェンス直撃のツーベースを放つと、逢澤の犠飛で5点目を奪い、その後も水谷祥平(JR東海)のタイムリーや古川智也(三菱自動車岡崎)の犠飛で7対0と突き放す。
投げてはオープニングラウンドの中国戦で6回無失点の近藤壱来(JR四国)が粘りの投球をみせる。「長打をケアしてランナーをできるだけ進めないように心がけた」と立ち上がりに2本の安打を許したが無失点でしのぐと、5回まで毎回走者を背負いながらもホームは踏ませずスコアボードに0を刻む。
打線は4回に古川のタイムリー、6回には2死無走者から矢野が四球、水谷がセンター前ヒットを放ち好機を作ると、暴投間に追加点を挙げ9対0と相手に流れを渡さなかった。







近藤は6回もマウンドに上がり、2つの空振り三振を奪う気迫の投球でこの試合初めての三者凡退で抑え降板。6回を投げ9奪三振、無失点の力投をみせ、今大会2試合12イニングを投げ三塁を踏ませぬ圧巻の投球をみせた。
7回の攻撃では2死二、三塁から逢澤がダメ押しとなるライト前への2点タイムリーを放ち11対0と試合を決定づける。その裏からは2番手で渕上佳輝(トヨタ自動車)が登板すると、2イニングをパーフェクトに抑え9回につなげた。
9回は全幅の信頼を得る嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)に交代すると、「点差関係なくストレートで押し切ることを意識して気合を入れて投げました」と圧巻の3者連続三振で試合を締め、ベンチからも選手が飛び出し、マウンドには歓喜の輪ができた。嘉陽は前回大会に続き2大会連続の胴上げ投手。侍ジャパンは連覇を果たしこの大会21度目の優勝を手にし、主将としてチームをまとめた逢澤は「川口監督になってから代表で優勝を逃していなかったですし、前回とは違ってキャプテンを任されて、勝つことができたのはうれしいよりもほっとした気持ちが大きいです」と安堵の表情を浮かべ喜びを噛みしめた。
監督・選手コメント
川口朋保監督
「前日の敗戦からうまく切り替えて、頭の整理をして、しっかりと考えてプレーに徹してくれていたのでさすがだなと思いました。(近藤壱来投手の好投)ストライクゾーンでも勝負できる能力の高さを示してくれました。本当に打線の方がしっかりと援護してくれたので、いつも苦しい場面で投げる渕上佳輝、嘉陽宗一郎も少し楽な気持ちで投げられていたのかなと思います。控えで準備してくれた選手、日本にいる時から手伝っていただいたたくさんのスタッフ含め、みんなで勝ち取った優勝です。頑張ってくれた選手には本当に感謝したいです。」
近藤壱来(JR四国)
「決勝での先発は2日前に言われました。プレッシャーは感じていましたが、平常心かつアドレナリンを出しながら良い練習ができていました。(相手打線は)良いバッターが多くて、甘く入ったらちゃんと打たれるし、良いところに投げてもついてくる嫌な打線でした。捕手の辻本勇樹さんとコミュニケーションを取りながら後半になるに連れてどんどん良いピッチングができました」
網谷圭将(ヤマハ)
「(試合前には)『シンプルに自分のスイングをする』というこの1個をやるっていうところだけを考えて、とにかく自分の良さを出すことに集中しました。(初回に決勝点となるタイムリー)3番を任されていて起爆剤にならないといけないところを打っているので、とにかく自分の長所である積極的に仕掛けて、スイングをしていくということをぶらさずにやった結果です」
矢野幸耶(三菱重工East)
「(チーム最年長として)難しいことを考えずに、1番年下の気持ちでどんどん声をかけたり、周りを楽しませたりできたことが良かったです。(初回に追加点となるタイムリー)やっぱり2点より3点ですし、その重みを誰よりも分かっていますし、追い込まれていましたけど、食らいついてコンタクトできるようにと思ってバットを出しにいきました。(色々な選手と積極的にコミュニケーションを取っていた)いつでも上手くなりたいと思っていますし、若手の選手もすごく良い選手ばかりなので、2週間しかないこの期間の中で少しでも吸収したいと思って過ごしていました」
添田真海(日本通運)
「前日は韓国に敗れましたが、今日は今日、明日は明日くらいの気持ちで深く考えすぎずにプレーできました。(初回にはチャンスを広げるヒット)打ったのはフォークです。1番の熊田任洋の打席をみて、変化球が多い印象だったので真っすぐとフォークに絞って打席に入りました。今回の代表は全員が勝ちたい気持ちがあるからこそ、一体感が生まれて良いプレーができたと思います」
第31回 BFA アジア選手権
大会期間
2025年9月22日~9月28日
オープニングラウンド(グループA)
9月22日(月)10:30 フィリピン 1 - 18 日本
9月23日(火)19:30 日本 17 - 2 パキスタン
9月24日(水)19:30 日本 13 - 0 中国
※開始時刻は日本時間(中国:-1時間)
スーパーラウンド
9月26日(金)19:30 日本 3 - 2 チャイニーズ・タイペイ
9月27日(土)19:30 日本 0 - 1 韓国
※開始時刻は日本時間(中国:-1時間)
決勝
9月28日(日)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 11 日本
開催地
中国(平潭)
出場する国と地域
グループA
日本、中国、フィリピン、パキスタン
グループB
チャイニーズ・タイペイ、韓国、香港、パレスチナ