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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「別の国の現場から」

2026年3月11日

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 これまで約25年にわたり、ネパールを中心に、学校や地域を訪ねながら野球を通じた交流を続けてきた。ネパールでは、石や砂が混じる未整地の場所をそのまま使いながら、限られた環境の中でスポーツに取り組んでいる。野球が日常的に行われているとは言い難く、大会前など限られた時期に練習が行われるケースも少なくない。そのような環境の中でも野球に関わり続けようとする人たちの姿を、これまで現場で見てきた。こうした活動を続ける中で築かれてきた人と人とのつながりが、今回のスリランカ訪問へとつながった。

 スリランカを訪れるのは、2019年の西アジア大会、東京五輪一次予選以来、今回が2回目となる。前回は大会運営を中心とした滞在で、球場と宿泊先を往復する日々だった。これに対し、今回は国際審判員のスジーワ・ウィジャヤナーヤカ氏の協力のもと、ホームステイをしながら、学校や地域の人々と日常をともにする時間を持つことができた。その結果、野球をきっかけに人が集まり、自然と会話が生まれていく様子が見られ、この国においても野球が人と人をつなぐ存在であることが感じられた。

 また今回の訪問は、サイクロンによる被害を受けた直後のタイミングでもあり、復興支援の意味合いも込めたものだった。訪問の約2週間前、スリランカは大きな被害を受け、12月21日から開催予定だったスリランカベースボールカーニバルU12は、来年2月への延期が決定された。さらに、教育省の判断により、学校の定期テストも中止となり、全国規模のスポーツ大会も中止や延期となるなど、子どもたちの日常にも影響が及んでいた。特に被害の大きかった北部地域では、復興に時間を要するとされ、大会への参加自体が難しい状況にあった。そのような中、生活の再建を優先せざるを得ない状況でありながらも、子どもたちが野球の時間を心待ちにしていることを、スリランカ野球連盟の関係者は語っていた。そこで今回は、カーニバルを楽しみにしていた子どもたちが多かったことを踏まえ、大会参加予定だった学校をスリランカ代表主将らと訪問し、代替的な取り組みとしてベースボールクリニックを実施した。そこで目にした光景は、これまでネパールで見てきた場面と重なるものだった。

 かつて日本から寄付された野球道具は、今も丁寧に使われていた。赤土のグラウンドでは、グローブが何度も補修され、決して良い状態とは言えないものも少なくない。それでも、U12からU16までの子どもたちが一緒になり、年上の選手が年下の子に道具を回しながら練習を続けていた。この様子から、道具は個人のものではなく、皆で使うものだという意識が、ごく自然に共有されているように見えた。また、練習の最後には、全員でボールの数を確認し、見つかるまで探す姿もあった。ボールがなくなれば、次の練習ができなくなる。その現実を子どもたちは理解しており、それを行動として表していた。

 さらに今回の訪問では、ANAMI Japanese Language Schoolを訪れ、日本語を学ぶ学生や教員とも交流する機会を得た。学生たちの中には、野球や日本との関わりをきっかけに、日本やスポーツに関わる仕事に関心を持つようになったと語る者もいた。競技としての野球だけでなく、交流や経験を通じて将来の選択肢を考えるようになる姿からは、スポーツが人の進路や意識に静かに影響を与えている一面がうかがえた。

 また、今回の滞在中には、スジーワ・ウィジャヤナーヤカ氏から、ネパールへの思いを聞く機会があった。2016年にネパールの首都カトマンズで審判講習会を実施した際、十分な環境が整っているとは言えない中でも、現地の指導者や若者たちが真剣に学び、野球を続けようとしていた姿が、今も印象に残っているという。

 スジーワ氏は次のように語る。
「成果や規模では測れないが、人とのつながりを大切にしながら積み重ねてきた時間そのものに価値がある。仕組みが整えば、必ず普及する。情勢によって変わることもあるが、諦めずに挑戦し続ける。その歩みが、これからのネパールはもちろん、アジアの野球を支えていくはずだ」

 そして、2026年3月には、ワールド・ベースボール・クラシックが開幕する。世界の注目が集まる大会が控える中で、その土台には、こうした地域や学校で続けられてきた日々の積み重ねがある。華やかな舞台と、静かに続けられている現場は切り離されたものではなく、同じ野球界を支えている。その先に、さらに野球界が広がり、深まっていくことを願っている。

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