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"世界の野球"ヒマラヤを北に臨む国ネパールの野球 第23回「代表強化合宿」

2017年2月9日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 2月25日から始まる「第13回BFA西アジア野球大会」まで1ヶ月を切った。ネパール代表選手たちは大会に向け日々練習に励んでいる。日本では、2月1日からプロ野球のキャンプが始まったが、それと時を同じくして、ネパールでも代表チームの強化合宿が行われている。
 ネパールの国際大会出場は、今回で3回目となるが、これまでのネパール代表はネパール野球の原点であるポカラの単独チームであった。今回は5チームからの選抜チームということもあり、合同での練習をする場が設けられた。ネパール野球でこのような強化合宿が行われたのは、初めてのことである。

 そんな中、代表合宿をサポートするため、日本から2名のコーチがネパールにやって来た。一人は西尾匠(にしお たくみ)。彼は大阪経済法科大学の学生で、駒大苫小牧高校野球部出身の投手である。もう一人は徳中優俊(とくなか まさとし)。彼はかつて主将のイッソー・タパが在籍していた06BULLS出身の投手である。
 両名とも何度もネパールを訪れたことがあり、選手たちとは既知の間柄である。また、私もヘッドコーチとしてネパール代表チームに加わり、大会に参加する。先乗りした2名のコーチやネパール側の首脳陣とは、強化合宿の進め方や大会での戦略等、綿密に打ち合わせを行っているが、ネパール代表選手を良く知る両名は、私にとってもネパール代表にとっても大変心強い存在である。

 強化合宿で、2名のコーチと主将のイッソー・タパは、野球の名門校や独立リーグでプレーした経験を生かし、野球の技術的な面のみではなく、足腰の鍛錬などの基礎体力作りといった面での指導も行っている。代表選手たちは、3名の指導の下、今までに経験したことがないであろう練習方法も取り入れ、日々の練習に取り組んでいる。

 ただ、国家代表チームとはいえ、練習環境が整っているわけではない。西尾コーチも「大きな小学校のグラウンドを借りて練習をすることもあるが、それでもグラウンドが狭いので、特にバッティング練習が十分できない。ネパール野球最大の課題であるグラウンドの問題の影響がここでも出ている。」と話している。

 十分な練習は難しいかもしれないが、それでも、選手たちは懸命に練習している。主将のイッソー・タパは「代表選手のみんなは、一生懸命練習している。大会では良い結果を出し、ネパール野球の新たな歴史を作りたい。」と大会に向けた意気込みを語っている。西アジア野球大会では、厳しい戦いが予想されるが、ネパールもできる限りの準備をしている。強化合宿の成果がイスラマバードで花開くことを期待している。

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