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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「PRESIDENTIAL CUP」

2018年5月8日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 前回のコラムで紹介したとおり、先日、インドのグワハーティーにあるインディラ・ガンジー陸上競技場で「PRESIDENTIAL CUP」(Premier International Baseball Championship 2018)が開催され、ネパールも出場した。この大会には主催国のインドのほか、ネパール、アフガニスタン、バングラデシュ、イラク、スリランカの6カ国が参加すると大会直前にインドから聞いていたが、実際には、インド、ネパール、バングラデシュの3カ国のみの参加で、インドからは「インド」と「インドA」の2チームの参加となった。この大会については主催者からの情報がなかなか伝わって来ず、状況の分からない状態が続いていた。ネパールに参加の招待があったのも大会の約2ヶ月前であった。大会開催まであまり時間が無かったため対応ができず、参加を見送った国も多かったのであろう。このような国際大会を開催するのには少なくとも半年ぐらい前から準備を始めないと難しいと感じる。とはいうものの、何はともあれ、大会が開催されたことは、アジアの野球発展にも繋がる大変喜ばしいことである。

 さて、大会が始まり、ネパールは初戦、インドと対戦した。この試合は、ネパール打線が沈黙し、7回コールド負けとなった。しかし、翌2戦目のバングラデシュ戦では初回からネパール打線が爆発し、5回コールド勝ち。また、第3戦のインドA戦では、同点で迎えた9回表にネパールが一挙5点を上げて勝利し、2勝1敗で決勝戦へ駒を進めた。そして最終日、インドとの決勝戦には負けたものの、ネパールは準優勝という成績を収めた。

 試合後の閉会式では、ベストナインが発表され、ネパールからは捕手のサグン・キチャジュ選手が唯一選ばれた。サグン・キチャジュ選手については本コラムでも何度か取り上げており、また、2016年に放送されたNHK-BS1の番組「世界はTokyoをめざす」でも紹介されている、日本にも馴染み深い選手である。彼は、昨年の西アジア野球大会でも代表選手に選ばれていたが、年齢の問題で大会への参加が果たせず、悔しい思いをした。今回、彼は念願の国際大会初出場を果たすとともに、その実力が認められ、嬉しい受賞となった。

 また大会後、選手たちは「いろいろとミスもあったけど、準優勝できて嬉しい。もっと練習して次は優勝を狙いたい」と準優勝を喜ぶ一方で、グラウンドの事にも言及し「インドのグラウンドは素晴らしかった。ネパールにも良いグラウンドがあれば、もっとバッティング練習もできるし、インド、スリランカ、パキスタンといった強豪国との差も縮めることができると思う」と語った。

 ところで、これまでネパールが国際大会に出場する際には、私を含め、日本人がコーチや役員としてチームに加わってもいた。しかし、今回はそういった事が無く、ネパールが自力で国際大会に出場し、準優勝という栄冠を勝ち取った。まだまだ課題はあるものの、ネパール野球は確実に成長しているし、これからも自信を持って進んでいってもらいたい。

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