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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「第3回世界野球ソフトボール連盟総会」

2019年12月10日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 プレミア12での日本優勝の興奮も冷めやらぬ中、去る11月20日と21日の2日間に渡り、大阪府堺市で第3回世界野球ソフトボール連盟(WBSC)総会が開催された。総会には、97の国と地域から総勢330名が参加し、ネパールからはネパール野球ソフトボール協会(NBSA)のディパック・ネウパネ事務局長、ネパール連邦議会のクリシュナ・ダハル議員らが参加した。今回、彼らは8月に再運行が始まったばかりのネパール航空の直行便(第56回「ネパールへの直行便」参照))で来日した。そして、私やイッソー・タパもネパール代表団の一員として総会に参加した。

 WBSCの総会は2年ごとに世界のどこかで開催されており、前回はアフリカ・ボツワナ共和国での開催であった。今回の堺市での開催は、今年、百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録を控えるとともに市制施行130年を迎える堺市が同市をアピールするために誘致して実現したものである。そもそも、ネパール野球の活動は1999年に堺市のプール学院大学(現・桃山学院教育大学)の海外研修がきっかけとなって始まった活動である。活動開始当初は、ネパールでは野球が全く知られておらず、野球人口ゼロのところからの始まりであった。それから20年後の節目となる本年、世界の野球関係者が一堂に集まる会議が堺市で開催され、ネパール代表団の一人としてそれに参加することには感慨深いものがある。また、今回の総会には私の後輩である桃山学院教育大学の女子硬式野球部員らがボランティアとして参加していたのも嬉しかった。

 総会では、会議だけでなく様々なセミナーやワークショップも行われていた。その中には、堺市の特産や伝統工芸を紹介していたり、茶道の体験ができるコーナーもあったり、各国代表が日本文化を知る良い機会ともなっていた。

 総会の2日目には全体会議が行われ、各部門からの活動報告、会計報告、表彰などが行われた。また、新規加盟に対する採決も行われた。その結果、新たに7つの国と地域の加盟が承認され、南アジアからも7月の第14回BFA西アジア野球大会に出場しネパールとも対戦したバングラデシュが加盟を承認された。南アジア地域の仲間が増えたことはネパールにとっても喜ばしいことである。

 ネパール代表団のうち、ディパック・ネウパネ氏とイッソー・タパ氏はこれまでアジア野球連盟の総会や大会にも何度となく参加しているので、アジアを中心とした各国の野球連盟の役員らとも顔なじみとなっており、良好な関係を築いている。また、総会の中では、「ベースボール5」という新競技も紹介されていた。これはゴムボールを素手で打って素手で捕る5人制の野球のような競技で、これまで野球やソフトボールを取り入れることが難しかった地域での野球振興のための新たな手段としてWBSCが普及に務めているものである。このように各国が協力した様々な取り組みの中で、ネパールもその一員として世界の野球発展に貢献していきたい。

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