文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)
今年も2月に入り、日本ではプロ野球の春季キャンプも始まり球春到来を迎えた。また、海外に目を転じれば、昨年11月にアラブ首長国連邦のドバイで「第1回Baseball United Arab Classic」が開催され、ネパール代表チームも出場した。この大会を主催したのはBaseball Unitedで、これは2023年に設立された中東・南アジアで初めて誕生したプロ野球リーグである。今年の5月には、西アジア野球大会が初めてイランでの開催が予定されている。コロナ禍も明け様々な国で野球熱が高まっており、スポーツを通じた世界との交流は年々広がりを見せている。
その中でネパールでは、去る12月27日と28日の2日間に渡り、首都カトマンズに隣接するラリトプールで「第3回NBSA Laligurans Cup 2024」が開催された。この大会は試合や大会の機会に恵まれない子どもたちにその機会を提供し野球を続ける目標となることを目指して、ネパール野球ソフトボール協会(NBSA)とともに2021年から定期的に開催している大会である。
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今回の大会には、クラブチームや学校のチームなど全国から計6チームが参加し、選手や役員以外にも観客を含め百数十名の人々が集まった。今大会も3回目を迎えるが、継続的な開催をすることで大会運営も円滑になってきており、開会式でプラカードを手にした入場行進が行われるなど進化している。また、子どもたちにも大会が徐々に浸透しつつある。
大会後、NBSAのディパック・ネウパネ会長からは「第3回 NBSA Laligurans Cup 2024は、単なる野球大会ではなく、チームワーク、献身、そして不屈のスポーツマンシップの祭典でした。この大会を思い出深いものにしてくれた選手、ファン、関係者の皆さんに感謝します。これからもこの大会を発展させていきましょう。」とのコメントが寄せられた。
ところで、今回の大会は前回のコラム 「カラダを動かす楽しさを伝えよう!」(2024年11月25日付)で紹介したスポーツ体験会と同様に「ネパール野球25周年日本ネパールスポーツ交流プログラム2024-2025」の活動の一環でもあり、このプログラムは日本国政府が推進するスポーツ国際交流・協力事業の「Sports for Tomorrow」(SFT)の「SFTアクション+(プラス)」の事業にも採択されている。また、来る2月24日には西日本最大のシティマラソン大会である「大阪マラソン2025」が開催されるが、今年の大会には上述のディパック・ネウパネ会長などNBSAの役員ら3名も来日して大会に出場する。彼らは3万人以上が参加する大規模スポーツイベントの運営を学ぶとともに、プログラムのテーマでもある「カラダを動かすことの楽しさ」を日本で体験し、母国のスポーツの発展に向けて体験したことを伝えていくという重要な役割を担っている。私自身も彼らとともに「NPO法人日本アジア球友団ラリグラス」のチャリティーランナーとして出場することになっているが、昨年9月にはネパール最大級のスポーツイベント「カトマンズ・マラソン」にも出場した。今回、NBSA役員が大阪の地を走ることで両国を相互に走り合うという形となり、スポーツが日本とネパールの友好を深める一つの手段にもなっている。
そんな折、去る2月3日に元阪神タイガース監督の吉田義男氏が逝去された。吉田氏はネパール野球の活動初期にご指導いただき、それ以降大変お世話になっていた方である。活動20周年の際にはお祝いの言葉もいただき、ネパール野球の事も気に掛けていただいていた。この場を借りて吉田氏のご冥福をお祈りするとともに、吉田氏の気持ちに応えるためにも今後も活動に尽力していきたい。
- 2025年2月19日「スポーツの役割」
- 2024年11月25日「カラダを動かす楽しさを伝えよう!」
- 2024年9月2日「ネパール野球25周年日本ネパールスポーツ交流プログラム2024-2025」
- 2024年4月12日「学校スポーツ連盟との協定」
- 2024年1月15日「1st National Baseball5 Championship 2024」
- 2023年11月28日「目指せ!体験から広がる笑顔の輪」
- 2023年10月2日「福島県×ネパール シャクナゲ交流」
- 2023年8月30日「ネパール最古参選手」
- 2023年7月14日「ネパール野球ソフトボール協会の新体制発足」
- 2023年6月14日「在日ネパール人による野球体験会」
- 2023年3月27日「WORLD BASEBALL CLASSIC™ 2023」
- 2023年3月1日「ONE WORLD」
- 2022年12月28日「アジア野球連盟審判講習会」
- 2022年10月7日「在日ネパール人との連携」
- 2022年7月20日「第4回世界野球ソフトボール連盟総会」
- 2022年4月15日「主体的な活動」
- 2022年2月14日「ピンチはチャンス」
- 2021年12月22日「ネパール・ベースボール・フェスティバル」
- 2021年11月9日「行動」
- 2021年8月30日「世界への普及を目指して」
- 2021年7月15日「キャッチボールクラシックオンライン国際交流大会プレ大会2021」
- 2021年4月26日「原点に戻る」
- 2021年3月22日「協働」
- 2020年12月25日「迫られる変革」
- 2020年10月1日「WEB野球教室」
- 2020年7月20日「変わるもの、変わらないもの」
- 2020年5月14日「世界がひとつになって逆境を乗り越える」
- 2020年3月2日「ネパール観光年2020」
- 2019年12月25日「ワールドマスターズゲームズ2021関西」
- 2019年12月10日「第3回世界野球ソフトボール連盟総会」
- 2019年11月8日「ネパールへの直行便」
- 2019年9月19日「第14回BFA西アジア野球大会2019」
- 2019年7月2日「政府機関とのつながり」
- 2019年5月22日「第2回ネパール全国野球大会2019」
- 2019年5月4日「北海道ベースボールリーグ」
- 2019年4月15日「国際大会へ、ネパールを応援する人々」
- 2019年3月18日「侍ジャパンシリーズ2019 日本対メキシコ」
- 2019年3月1日「アジア野球連盟総会」
- 2019年2月13日「国際交流活動との出会い」
- 2019年1月9日「野球を通じた国際理解」
- 2018年11月5日「グラウンド開所式」
- 2018年10月26日「ネパールのソフトボール」
- 2018年9月5日「第28回世界少年野球大会」
- 2018年8月3日「楽天イーグルスとの対戦」
- 2018年7月31日「ネパールでのグラウンド建設」
- 2018年7月2日「東京オリンピックへの道のり」
- 2018年5月8日「PRESIDENTIAL CUP」
- 2018年4月16日「新たなネパール代表チームの選考」
- 2018年4月2日「日本の大学生との野球交流」
- 2018年2月5日「パキスタン野球連盟カワール・シャー会長を偲ぶ」
- 2017年12月27日「ネパール野球ソフトボール協会の奮闘」
- 2017年12月6日「ネパール野球ソフトボール協会の来日」
- 2017年11月29日「南アジア交流野球教室」
- 2017年10月31日「第2回世界野球ソフトボール連盟総会」
- 2017年10月10日「ネパール代表選手の日本での活動」
- 2017年9月22日「ネパール代表選手、ゼロロクブルズで学ぶ」
- 2017年8月21日「北海道での挑戦始まる」
- 2017年7月25日「スポーツ庁長官感謝状」
- 2017年6月23日「スポーツで広げる友好の輪」
- 2017年6月7日「北海道での挑戦」
- 2017年4月18日「第13回BFA西アジア野球大会2017 vol.2」
- 2017年4月4日「第13回BFA西アジア野球大会2017 vol.1」
- 2017年2月14日「世界最下位からの挑戦」
- 2017年2月9日「代表強化合宿」
- 2017年2月3日「ネパール人コーチの来日」
- 2017年1月10日「ネパール代表チーム」
- 2016年12月28日「もうひとつのWBC」
- 2016年12月16日「ネパールU15野球大会」
- 2016年11月25日「NHKの新番組『世界はTokyoをめざす』」
- 2016年10月7日「ネパール野球とオリンピック」
- 2016年10月4日「ネパールの雨季」
- 2016年8月22日「東北楽天イーグルスのネパール支援」
- 2016年6月13日「日本に住むネパール人への野球普及」
- 2016年5月19日「被災地の野球事務所に見た信念」
- 2016年5月2日「ネパール復興支援野球大会」
- 2016年4月4日「野球途上国 共通の課題」
- 2016年3月17日「ネパールから日本へ」
- 2016年3月14日「さらなる野球普及へ」
- 2016年2月10日【西アジアの野球ネパール編】〜野球普及への葛藤と模索〜
- 2016年2月9日【西アジアの野球ネパール編】〜野球を拡める課題と苦労〜
- 2016年2月2日「動き出した時間」
- 2016年1月7日「復興支援野球大会の延期」
- 2015年10月15日 「野球指導員、ネパールでの活動」
- 2015年8月21日 「ネパール野球の有望株」
- 2015年6月2日 「希望から絶望へ」
- 2015年4月20日 「ネパール野球の現状」
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