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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「在日ネパール人とのスポーツによる共創」

2025年9月10日

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 8月、大阪・夢洲で開催中の大阪・関西万博にて、在日ネパール人とともに共創をテーマとした催しを行った。会場は多くの人々でにぎわい、伝統舞踊や民族衣装に彩られる文化プログラムは、来場者の目を引き付けていた。私たちが紹介したのは、ネパールで取り組まれている野球の歩みと現状である。野球はまだ発展途上であり、練習や試合の機会も限られている。来場者からは「ネパールに野球があるのか?」と驚きの声が相次ぎ、海外の野球に触れる機会の少なさもあって、多くの人が「面白そうだ」「もっと知りたい」と興味を示した。野球をきっかけに会話が広がり、ネパールという国そのものへの関心にもつながったことは、大きな収穫といえる。

 この反応は、同時に近年日本各地でネパール人の姿を目にすることが増え、身近に感じられるようになったという来場者の実感とも重なっていた。かつて遠い国と考えられていたネパールが、いまや地域社会の一部として存在感を持ち始めている。だからこそ「ネパールにも野球がある」という情報が、新鮮な驚きとともに強い関心を呼び起こしたのだろう。

 在日ネパール人の中には、「大阪でネパールの野球を紹介できるのはうれしい。祖国の文化やスポーツを知ってもらう機会になる」と話す若者もいた。また、「自分たちが暮らす地域で、ネパール野球のことを伝えられるのは誇りだ」という声も聞かれた。こうした声は、スポーツや文化を通じて祖国とのつながりを感じる在外ネパール人の思いを示していた。

 会場を最も盛り上げたのは、ネパールダンスの披露だ。踊りの輪は自然に広がり、来場者が次々と加わって活気にあふれた。ネパールではダンスは日常に深く根付いた文化であり、祭りや祝いの場では老若男女を問わず誰もが体を揺らす。「踊れない人はいないのではないか」と思えるほどポピュラーで、体を動かす楽しさを誰もが自然に共有する瞬間がそこにあった。ある参加者は「ダンスを通じてみんなと一緒に楽しめるのがうれしい」と笑顔を見せ、別の若者は「日本の友達にもネパールの文化を伝えられた」と語った。ダンスを通じて場が一体感を持ち、言葉を超えた交流が生まれた様子は、スポーツの持つ力とも重なって見えた。

「カラダを動かす楽しさを伝えよう」という活動のコンセプトは、この場で改めて実感された。今回は野球そのものを体験してもらう機会はなかったが、ダンスがその役割を果たし、人々の心と体をつなげた。スポーツとダンスは一見異なるものに見えるが、身体を媒介として交流を生み出す点では共通している。人が集まり、リズムや動きを共有し、笑顔を交わす。その根底にある「楽しさ」が人々を結びつける。ネパール野球が社会に根付いていくための鍵も、まさにその「楽しさ」にあると感じさせられた。

 在外ネパール人にとっても、この催しは祖国とのつながりを確かめる時間になった。日本で暮らす若者が「ネパールにも野球がある」と話す姿は印象的であった。野球がまだ発展途上であることを受け止めつつ、「これから一緒に育てていける」という誇りとして語る表情には、単なるスポーツを超えた意味が宿っていた。大阪での出会いが、やがてカトマンズのグラウンドへとつながり、国際交流へと発展していく未来を想像すると、身体を動かす楽しさの輪はますます広がっていくように思える。

 ネパールの野球は、専用球場も無く、練習できる場所や道具も限られている。その中で、地域のグラウンドや学校の校庭など、利用できる場所を工夫しながらプレーしている。海外で注目される機会は、選手や指導者にとって励みとなり、経験や知識を還元することで、ネパール野球の発展につながる可能性がある。

 今回の経験は、ネパール野球にとって新しい仲間や関心を呼び込む契機となった。スポーツと文化が交わり、人々を結びつける場をこれからも積み重ねていく。その積み重ねの先に、ネパールの地で野球がより多くの人々に親しまれ、国際的な交流の一翼を担う未来が開けていくはずだ。

ヒマラヤを北に臨む国 ネパールの野球
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