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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「静かに積み上がる未来」

2025年12月11日

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 10月中旬、バンコクで開かれた世界野球ソフトボール連盟(WBSC)総会には、世界各地から代表者が集まり、白球の未来を語り合う熱気に包まれていた。ネパールからは、ネパール野球ソフトボール協会のディパック・ネウパネ会長とプラディープ・シャー事務局長が参加。今回の総会では新たに10カ国が加盟し、アジアではヨルダンと北朝鮮が仲間入りした。野球という競技が静かに、しかし着実に世界へ広がり続けていることを象徴する出来事だった。

 ネパールで野球普及が始まって四半世紀。道具も環境も整わないゼロからの出発だった取り組みは、いまや国際会議で多くの関係者と向き合い、未来を語り合うところまで歩みを進めている。会場のあちこちでは各国代表者との対話が続き、「baseball」という共通の言語が国境を軽々と越えていく瞬間に何度も出会った。

 総会の終盤には追悼映像が流れ、その中にはネパールの野球を長く見守り続けてきた元阪神タイガース監督・吉田義男氏の姿もあった。ネパールの歩みに寄り添い続けた存在の大きさを静かに思い出させる時間となった。

 この国際会議から約1か月後の11月中旬、ネパールから新たな交流の一団が日本を訪れた。本来9月に予定されていた来日は、国内情勢の悪化によって延期されていたが、ようやく実現にこぎつけた。ディパック・ネウパネ会長らは関西を中心に視察を行い、大阪市内では少年野球チームの練習を訪問。地域に根差した指導、楽しさを大切にした空気づくり、親子や地域が自然に支える文化に触れ、多くの学びを持ち帰った。

 その後、一行は奈良県生駒市の近畿大学 生駒総合グラウンドで開かれた、全日本野球協会主催の「アンパイアスクール」へ。プロ・アマ審判員による講習を見学し、二人制審判の動きや判断の考え方を学んだ。ディパック会長は「ネパールでは審判経験者が少なく、二人制は非常に有効だ」と語っていたが、この学びは現状を踏まえた大きな前進だった。

 さらに、アンパイアスクールの翌日には全日本野球協会の山中正竹会長を表敬訪問し、短い時間ながらも意義深い意見交換が行われた。

 こうして交流が続く一方で、ネパール野球は厳しい現実にも直面している。2011年の国際大会初出場以来、世界ランキングに名を連ねてきたが、近年は国内情勢や予算面の制約で国際大会への参加が叶わず、最新ランキングからネパールの名前は消えてしまった。小国が抱える制約は、競技の継続や発展において決して小さくない。

 それでも、関西のグラウンドで交わされた視線の奥にあったのは、停滞ではなく「前に進もうとする意志」だった。ランキングから名前が消えた事実は重い。しかし、それは終わりではなく、むしろ再スタートの合図でもある。普及活動を続けながら、育成年代の強化、指導者の育成、審判の基盤整備を進めていく。そうした積み重ねの先に、ネパールが再び国際舞台へ戻る道は必ず拓かれていくだろう。そしてその歩みを、これからも静かに見つめ、寄り添っていきたい。

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