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試合レポート

嘉陽宗一郎と渕上佳輝の完封リレーや丸山壮史の決勝打でチャイニーズ・タイペイとの延長戦を制す

2023年12月8日

 12月8日、「第30回 BFA アジア選手権」(12月10日まで台湾・台北、台中)のスーパーラウンドが台北ドームで始まり、侍ジャパン社会人代表は地元のチャイニーズ・タイペイと対戦。0対0のまま延長タイブレークに持ち込まれた投手戦を1対0で競り勝ち、決勝進出に前進した。

 満を持して今大会初登板となった嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)が先発のマウンドへ。今夏の都市対抗野球で3勝を挙げ橋戸賞(最優秀選手賞)に輝いた社会人ナンバーワン投手が、トッププロ選手も擁する相手打線に真っ向から立ち向かった。
 3回から6回は毎回走者を許し、うち3回は先頭打者ということもあって「体力を使いました」と嘉陽は振り返りながらも、140キロ台中盤のストレートとカットボールやフォークなどのキレの良い変化球を織り交ぜてピンチを脱出。投球数が100球を超えた7回と8回は三者凡退に抑えて味方の援護を待った。
 だが、打線は8回まで三者凡退は1度だけではあったが、MLB経験のある曾仁和(台湾・楽天)、アジアプロ野球チャンピオンシップでも好投した林詔恩(統一)、最速157キロのストレートを連発した18歳の孫易磊(日本ハム)の前に得点を奪えず。
 9回は、ともにこの回からマウンドに上がった王政浩(合作金庫)と渕上佳輝(トヨタ自動車)が無失点に抑え、試合は均衡破れずタイブレーク制(継続打順で無死一、二塁から再開)の延長戦に持ち込まれた。

 10回表、侍ジャパン社会人代表は1番の矢野幸耶(三菱重工East)からの攻撃だったが川口朋保監督は「3回のチャンスを(バントをして)2回にしたくなかったので」と強攻策を選択。だが、矢野と向山基生(NTT東日本)は王の150キロ前後のストレートを中心とした投球の前に凡退し2死一、二塁に。ここで無得点に終われば敗色濃厚の雰囲気になってもおかしくなかったが、「この試合、チャンスで打てていなかったので、意地でも打ちたいという強い思いで打席に立ちました」と振り返る丸山壮史(ENEOS)が、三遊間を破るレフト前安打を放つと、二塁走者の中川拓紀(Honda鈴鹿)が俊足を飛ばして本塁に生還。虎の子の1点をもぎ取った。

 1点をもらった渕上はストレートを中心に押していく投球でバントをさせず2死を奪うが、続く打者にストレートの四球を出してしまう。それでも、ここでマウンドに集まった仲間たちから「エンターテイナーだな」、川口監督から「面白くしてくれるな」とリラックスさせてくれる言葉をかけられると、捕手・南木寿也(JR北海道硬式野球クラブ)と強気の勝負を決心。思いきり腕を振ったストレートに対し拿莫伊漾(味全)も初球から振り抜くが打球は失速し、左翼手・猪原隆雅(ミキハウス)のグラブに収まり試合終了。

 僅差の試合を勝ち切り、全勝のまま韓国(日本時間9日13時30分開始予定)とのスーパーラウンド最終戦に臨むこととなった。韓国に敗れるとスコア次第で得失点率により決勝進出を逃す可能性が残るものの、優位かつ勢いに乗った状況で戦えることは大きい。日替わりでヒーローが生まれているように、全員で全勝で決勝進出を目指す。

監督・選手コメント

川口朋保監督

「しびれる試合でした。嘉陽はピンチでも向かっていく彼本来の投球をしてくれました。相手は粘り強く良い投手が揃っていたのですが、私の采配でなかなか得点に結びつかず反省しています。選手たちがのびのびと最後までピンチの場面でも笑顔で戦ってくれました」

嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)

「良い打者の多い打線でしたが、自分のやることを変えず、ストレートで勝負できて良かったです。(初登板でも)これまで経験もしてきているので1球目から良いボールを投げることができました。9回も行くつもりではいましたが、他にも良い投手がいるので託しました。(渕上に声をかけ続けて)最後は声が枯れました(笑)」

渕上佳輝(トヨタ自動車)

「しびれる場面で行ってもらうと以前から言われていました。いつもトヨタで嘉陽さんの後ろを投げているので、ある程度自分の間で投げることができましたし、割り切ってストライクゾーンで勝負できました」

南木寿也(JR北海道硬式野球クラブ)

※初先発で捕手として完封に導く
「どこか一番良いところでスタメンがあるのではないかと準備していました。嘉陽さんと渕上さんの力も借りながら勝つことができて良かったです。ロースコアになると予想していたが、高い集中力でやりきれました。2人の捕手も試合中に感じた打者の特徴を伝えてくれて捕手陣で勝つことができました」

第30回 BFA アジア選手権

大会概要出場選手

大会期間

2023年12月3日~12月10日

オープニングラウンド(グループB)
12月4日(月)19:30 日本 14 - 0 パキスタン
12月5日(火)19:30 タイ 0 - 16 日本
12月6日(水)19:30 日本 9 - 1 フィリピン
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)

スーパーラウンド
12月8日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 1 日本
12月9日(土)13:30 日本 5 - 2 韓国
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)

決勝
12月10日(日)19:30 日本 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ

開催地

台湾(台北・台中)

出場する国と地域

グループA
チャイニーズ・タイペイ、韓国、香港、パレスチナ
グループB
日本、フィリピン、パキスタン、タイ

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