4月17日、韓国・ソウルで16日まで開催されていた「第2回 Baseball5 アジアカップ2024」で初優勝を果たした侍ジャパンBaseball5代表チームが帰国。優勝会見で喜びを語るとともに、今後の競技発展に向けても強い意欲を示した。
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
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
JA職員、女子野球現役選手、元プロ野球選手、会社員、大学生など様々な人材が集まり、初めて代表チームに侍ジャパンが冠されて出場した大会での優勝は大きな意義を持つ。
山中正竹団長(全日本野球協会会長)は「一致団結し、技術も去年より数段向上していた。そうした成果を発揮しての金メダル獲得でした」と選手・監督たちを称えた。特にチャイニーズ・タイペイとの決勝戦は「スピード・戦略・技術でBaseball5の魅力を伝えてくれたと思います」と競技の発展に繋がるとの見解を示した。
男女混成の5人制5イニング、3セット制の2セット先取で行われる競技方式で、侍ジャパンBaseball5代表チームはグループラウンドから攻守が噛み合った。タイ、中国、香港を相手に1セットも失うこと無く60得点5失点と圧倒した。
準々決勝でもシンガポール、準決勝でも韓国を相手に2セット連取して決勝戦に進んだ。だが、優勝を争う相手はWBSC世界ランキングで格上となる2位のチャイニーズ・タイペイ(日本は6位)。第1セットは主導権を握られた。大会前から「若い選手が多く、打球速度や連携はアジアでは頭抜けている」と若松健太監督が警戒していたように、力強い打撃と固い守備の前に2対3で先取された。
第2セットでもそれは変わらなかったが、粘り強く守り無失点で凌ぎ、3回裏に1点、4回裏に3点を奪うと、相手の反撃を5回表の1点のみに抑え、優勝の行方は最終セットに持ち込まれた。
そして迎えた第3セットは絶好調だった三上駿(ジャンク5)、「第1セットは僕のせいで負けたと思いました」と奮起した元巨人の辻東倫(GIANTS)の連打で幸先良く始まると、その後は最優秀女子選手賞にも選ばれた六角彩子(5STARs)、島拓也(ジャンク5)、數田彩乃(5STARs)とスタメン全員が安打を記録し4得点。堅守も崩れることなく無失点で抑え、悲願の初優勝を果たした。

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今回の優勝の要因について若松監督は「選考会・練習を経て、選手間のコミュニケーションや年齢のバランスがとても良かったです」と、技術以外の要素も大きかったと振り返った。
また、六角は「日本ってみんなが楽しそうにプレーしているね」と複数の他チームの関係者から言われたことが嬉しかったと振り返り、「Baseball5の楽しさを様々な人と共有できました。普及・強化に引き続き力を入れ、私自身も成長していきたいです」と殊勝に語った。
優勝会見の出席者それぞれが「ここがゴールではない」「通過点」と話したように、次なる目標は10月に香港で開催される「第2回 WBSC Baseball5 ワールドカップ2024」での優勝だ。
2022年にメキシコで行われた第1回大会では、この競技の発祥国であるキューバに敗れ準優勝。それだけに、若松監督は「キューバに勝つために、あと6ヶ月しかない。他チームもレベルが上がっているので、動画で情報を拾うなどして準備をしていきたいです」と決意を新たにした。さらに主将の島は、攻守で確実性を上げることに加え「戦術的な部分でまだまだ発展する競技なので、様々なことを試しながら日本オリジナルの戦い方ができるようになればと思います」と抱負を語った。
さらなる競技の普及や発展、そしてワールドカップでの優勝を目指し、各選手・スタッフは今回のアジア制覇を糧に、さらなる高みを目指す。