8月1日(日本時間2日)、「カーネクスト presents 第9回WBSC女子野球ワールドカップ ファイナルステージ」(カナダ・サンダーベイ)の5日目が行われ、侍ジャパン女子代表はアメリカと対戦。延長タイブレークの末に3対4で敗戦を喫した。
これまでともに4戦無敗で、8月3日(日本時間4日)の決勝戦でも戦うことが試合前から決まっていたアメリカに対し、侍ジャパン女子代表は主力の三浦伊織(阪神タイガースWomen)や川端友紀(九州ハニーズ)がベンチスタート。先発のマウンドには、3大会連続でMVPを獲得中の里綾実(埼玉西武ライオンズ・レディース)が上がった。
里は今大会初登板だが「いつでも投げられる準備はしていたので、変わったことは特にありませんでした」と振り返るようにベテランらしい落ち着いた投球を見せ、バックも左翼手・長田朱也香(読売ジャイアンツ)と遊撃手・岩見香枝(埼玉西武ライオンズ・レディース)の好連係で走者を刺すなどして支えた。また、「6年ぶりに対戦したので、どれだけ情報を引き出せるかと思い、打者の反応も見ながら投げました」(里)と、決勝戦も見据えながらの投球でアウトを重ねていく。
しかし4回、岩見の失策と、センター前にポトリと落ちる安打を浴びて2死一、三塁のピンチを招く。ここで里は「踏み込んで打ってきていたので、どこかでインコースを使おうと思ったのですが、そのタイミングを間違えてしまいました」とやや高めに浮いた変化球を見逃して貰えず3ラン本塁打を被弾。先制を許した。一方で、追加点は許さず、5回3失点にまとめた。
打線が反撃を開始したのは5回。相手投手の勢いあるストレートに苦戦していたが、岩見の安打と相手投手の暴投により二塁まで進むと、続く出口彩香(埼玉西武ライオンズ・レディース)が「まずは1点だと思い、繋ごうと思いました」と振り返るように、しぶとくセンター前へ運び岩見が生還。1点を返す。
さらに6回には代打・川端の安打と四球でチャンスを作ると、今大会好調の白石美優(大阪体育大)が「ストライクゾーンをしっかりしばけるように振りました」と力強いスイングでセンターへ二塁打を放ち2者が生還し同点。ベンチ・スタンドは大いに盛り上がり、白石も塁上で何度も拳を握った。
勝ち越しこそさせてもらえなかったものの、3連投の土屋愉菜(環太平洋大)、開幕戦の先発以来の登板となった森若菜(阪神タイガース Women)が1イニングずつを無失点で踏ん張り、試合は無死一、二塁から始まる延長タイブレークに持ち込まれた。
表の守備では犠打と四球で満塁のピンチを招くが、森は空振り三振で2死まで奪った。だが、三塁線を痛烈に破る当たりがファウルとなり安堵したのも束の間、次の球の投球モーション中にボーク(塁上に走者がいる中での投球の停止)を取られ、決勝点を許した。
抗議もしたが受け入れられず気落ちしてもおかしくない状況ではあったが、森は次打者から空振り三振を奪って最少失点で凌いだ。しかしその裏、4番の楢岡美和(九州ハニーズ)が犠打を決めたものの、中村柚葉(読売ジャイアンツ)がファーストファウルフライ、白石が粘りながらも空振り三振を喫し試合終了。W杯で続いていた連勝が39で止まり、オープニングラウンド2位での決勝進出が決まった。
それでも中島梨紗監督は「最後にタイブレークで勝ち切れなかったことは本当に悔しいのですが、決勝戦に生かすしかありません。選手たちもポジティブですし、今日で良かったと思います」と前を向いた。選手たちも同じ思いで、出口も「悔しいですが本当の勝負は明後日なので、相手の特徴を掴めた良い試合でした」とプラスに捉えた。
運命の決勝戦は1日の予備日を挟んだ日本時間8月4日の午前4時から。かつてないほどの実力を持ったアメリカに対し、今日の敗戦を無駄にせず大会7連覇を狙う。
監督・選手コメント
中島梨紗監督
「3点を本塁打という形で取られてしまい、相手に流れが行ってしまったところを、次の回で1点返し、その次の回で追いつけたことは良かったと思います。逆転しきれていれば最高でしたが、ナイスゲームをお客さんに見せたられたと思います。また、捕手の英とも話して、いろんなことを試して収穫を得る試合にすると臨んだので、相手の反応も見ることができて良かったです。決勝戦は、1発がある相手に対して、どう防ぐかがポイントになってくると思います。ゴロやライナーでのヒットはOKで、無駄な四死球やホームランを防ぐことをバッテリーで徹底していきたいです」
出口彩香(埼玉西武ライオンズ・レディース)
「みんな悔しさはあると思いますが、次こそと切り替えているので一丸となって戦いたいです。相手打者は積極的に力強く振ってくるので、守備力や勝負どころの打撃や選球眼、ヒットが出なくてもランナーがかき回していくことが大事になると思います。アメリカはこれまで対戦した際よりも打力が高い印象はありますが、思ったよりヒットが出ず(被安打4本)、日本の方が多く打てていた(7安打)ので、自信を持って戦いたいです」
里綾実(埼玉西武ライオンズ・レディース)
「最悪な失点でしたが、(決勝ではなく)今日で良かったと思います。そこからみんなで繋いで3点を取れて、すごく助かりました。打線の繋がりは日本の方があるので、そこは強気に、決勝戦で悔いを晴らしたいです。(これまでのアメリカとの違い)全員がしっかり振れるということだと思います。タイミングをズラせてもヒットにされるなどパワーを感じました。(投手陣としての手応え)“海外勢相手にもこれくらいできるんだな”と手応えを感じていると思うので最後の1試合は自分たちの力を最大限に発揮して、もっともっと強い日本の女子野球を見せられたらと思います。今日は日本もアメリカも全員が本気になって戦えたので、決勝戦でも最高の試合をしたいです」
白石美優(大阪体育大)
「相手先発投手は今まで対戦した投手で一番速かったです。(同点打の場面は)とにかく後ろに回して繋ぐ打撃を意識しました。2打席目が詰まった当たりになったので、振り切ることを意識しました。すごく嬉しくてヨッシャーという気持ちでした。(最後の三振は)すごく緊張した打席だったので、この経験や今日学んだことを決勝戦で生かしていきたいです。先制点を取ることが大事だと思うので、初回から繋ぐ打撃を意識していきたいです。このメンバーで試合をするのも最後。悔いの残らないようにやりきりたいです」
カーネクスト presents 第9回WBSC女子野球ワールドカップ ファイナルステージ
大会期間
2024年7月28日~8月4日
7月29日(月)3:00 チャイニーズ・タイペイ 4 - 9 日本
7月30日(火)8:00 カナダ 6 - 7 日本
7月31日(水)4:00 日本 11 - 0 ベネズエラ
8月1日(木)0:00 日本 10 - 0 メキシコ
8月2日(金)0:00 日本 3 - 4 アメリカ
※開始時刻は日本時間(カナダ:時差-13時間)
決勝
8月4日(日)4:00 アメリカ 6 - 11 日本
※開始時刻は日本時間(カナダ:時差-13時間)
開催地
カナダ(サンダーベイ)
出場する国と地域
日本、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、アメリカ、メキシコ、カナダ