8月11日、「第6回 WBSC U-15 ワールドカップ」(コロンビア・バランキージャで8 月 16 日から25 日)で初優勝を目指す侍ジャパンU-15代表の直前合宿2日目が千葉県のNTT東日本グラウンドで行われた。初の実戦(7イニング制)の相手は今春の選抜高等学校野球大会4強の中央学院高。4月の侍ジャパンU-18代表候補選手強化合宿にも招集された颯佐心汰ら多くの3年生がスタメンを占めるフルメンバーの選手構成の相手に対し、互角の試合を展開した。
2019年に軟式球児たちで結成された侍ジャパンU-15代表が第10回 BFA U15アジア選手権を前に拓大紅陵の軟式野球部と対戦したことはあったが、硬式でのU-15代表と高校の交流戦は初めて。前日の記者会見で井端弘和監督は「高野連のご厚意で初めての試みが実現できて感謝しています。初戦(対ドミニカ共和国)が大事になってくるので、強豪校と戦いチーム力を高めたいです」と語っていたが、その狙い通りの試合展開となった。
甲子園でも3試合すべてに先発した臼井夕馬のスリークォーターから投じられる140キロ前後のストレートなどに初回は無安打に抑えられたが、2回に中嶋蒼空(佐倉リトルシニア)がチーム初安打となる右中間への二塁打を放つと、3回に打線が繋がる。
先頭の今井幹太朗(東京城南ボーイズ)がセンター前安打で出塁すると、代走の大宮翔(東北楽天リトルシニア)がその後二塁まで進む。このチャンスに「最も良い打者なので」と井端監督から4番を託された川上慧(明石ボーイズ)がライト前安打を放つと大宮が俊足を飛ばして生還。先制点を挙げる。
投手陣も身長189センチの大型左腕・川本晴大(東京城南ボーイズ)と最速144キロ右腕・林将輝(日高リトルシニア)が初回の颯佐に打たれた1安打のみの無失点に抑え、4回まで1対0とリードを奪った。
だが中盤以降は相手の底力の高さを前に苦戦。中央学院高の2番手としてマウンドに上がった身長186センチの大型右腕・蔵並龍之介に3回6三振を奪われるなど追加点を挙げられずにいると、5回からマウンドに上がった太田蓮(京都リトルシニア)がいきなり飯山成夢に三塁打を打たれ、小澤遼大の犠飛で同点に追いつかれた。
それでも太田がその後は無失点に抑え、最終回は戸倉光揮(狭山西武ボーイズ)が三者凡退に抑え1対1で7回を終えた。
そして当初から予定されていた延長タイブレーク(無死一、二塁から再開)でも、前の回は無失点に抑えられた颯佐に対し、中島齊志(飯塚ボーイズ)の左中間を破る三塁打で2点を奪った。その裏には、中央学院の意地の前に戸倉が森田倫揮と佐藤佑人にタイムリーを浴びて逆転サヨナラ負けを喫したものの、格上の相手対し3対4という好ゲームを展開した。
試合を終えて井端監督は「スタメンを見てびっくりしましたし、まさか甲子園通りの継投で来てくださるとは思いませんでした」と中央学院高の姿勢に感謝し、「対応して結果を残せた選手もいるので、そこは自信にしたいです」「速さだけでなくキレもある1ランク2ランク上の投手と対戦でき、強豪国の投手に近い球を打つことができて良かったです」と手応えや収穫を語った。守備でも本職が遊撃手の選手が多い中で、三塁手を務めた丹羽裕聖(愛知尾州ボーイズ)や一塁手を務めた小久保颯弥(愛知名港ボーイズ)の名前を挙げながら「各々がしっかり準備してきてくれて、守備は非常に満足しています」と井端監督は高く評価した。
そして「明日以降もっともっと状態を上げていきたいです。もっとチームワークを高めて向こうに行かないといけません」と気を引き締めた。
直前合宿最終日となる12日は、NTT東日本グラウンドで10時から昨年の甲子園に春夏連続で出場し、今春の千葉大会を優勝した専大松戸と対戦。格上の強豪校との連戦で、チーム力をさらに高めていく。
監督・選手コメント
中央学院高・相馬幸樹監督
「本当に野球界にとって大きなことで、その初戦を務めることができ嬉しく思いました。侍ジャパンの重みに対してリスペクトを持って本気で臨みました。代表選手たちの才能や対応力には目を見張るものがあり、高校卒業後もプレーを続ける選手たちはもっとやらないといけないと感じたはずです。また、試合後のグラウンド整備で選手たちが会話している姿も見て素晴らしいなと感じました。とてもありがたい機会をいただきました」
川本晴大(東京城南ボーイズ)
「(2回無失点)初めてのマウンドで緊張しましたが、だんだんと自分の持ち味であるストレートで空振りやファウルを奪う投球ができました。これまでやってきたことがどれだけ通用するのかを考えて投げました。初めて対戦する海外の打者のパワーに負けず、ねじ伏せる投球をしていきたいです」
林将輝(日高リトルシニア)
「(2回無失点)投球練習からストレートが良かったので、押すことができました。侍ジャパンのユニホームはかっこいいです。責任と自覚も持ってプレーしています。ドジャースの山本由伸投手が憧れです。W杯では1点も取られない完璧な投球をしたいです」
川上慧(明石ボーイズ)
「(先制打)ランナーをかえせるように打ちました。上手く対応できました。新鮮な気持ちがありながらも、責任に押し潰されないようにプレーをしたいです。他の選手からもたくさんのことを見習っていきたいです。初めての世界一を目指して全力で戦います」
中島齊志(飯塚ボーイズ)
「(タイブレークでの三塁打)まずは1点を取りに行こうと打席に入りました。2ストライクと追い込まれていて、アウトコース勝負だと思っていたので、上手く逆方向に打てました。甲子園4強の相手に不安や緊張もありましたが一致団結して戦うことができました。出塁率にこだわって初の世界一に貢献したいです」
第6回 WBSC U-15 ワールドカップ
大会期間
2024年8月16日~8月25日
オープニングラウンド(グループA)
8月17日(土)9:00 日本 12 - 9 ドミニカ共和国
8月18日(日)5:00 イタリア 3 - 8 日本
8月19日(月)9:00 コロンビア 3 - 14 日本
8月20日(火)5:00 日本 14 - 0 グアム
8月21日(水)0:30 日本 4 - 2 プエルトリコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
スーパーラウンド
8月23日(金)5:00 日本 5 - 6 チャイニーズ・タイペイ
8月24日(土)5:00 日本 6 - 1 メキシコ
8月25日(日)5:00 日本 7 - 2 ニカラグア
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
決勝
8月26日(月)9:00 日本 7 - 6 プエルトリコ
※開始時刻は日本時間(コロンビア:時差-14時間)
開催地
コロンビア(バランキージャ)
出場する国と地域
グループA
日本、ドミニカ共和国、プエルトリコ、コロンビア、イタリア、グアム
グループB
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オランダ、ニカラグア、南アフリカ