11月16日、「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」のオープニングラウンドが行われ、大会3戦目となった侍ジャパンは、同じく無敗のチャイニーズ・タイペイと台北ドームで対戦。チケットが完売となったこの試合は、地元であるチャイニーズ・タイペイの地鳴りのような応援が響く中での戦いとなったが、3対1で競り勝った。
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
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
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詰めかけた4万人のほとんどが相手チームの応援という異様な空気の中で始まった試合だったが、侍ジャパンが序盤から主導権を握った。
1回表、先頭の桑原将志(DeNA)が相手失策で出塁すると、小園海斗(広島)がフルカウントから四球を選びチャンスが拡大。その後、辰己涼介(楽天)はファーストゴロに倒れるが、併殺は免れ1死一、三塁となった。ここで前日に2ランを放っていた4番・森下翔太(阪神)がライトへ犠牲フライを放ち、桑原が生還。無安打で貴重な先制点を奪った。
また、3回には、四球で出た坂倉将吾(広島)を辰己がレフトオーバーの二塁打で返し追加点。チームにとってはこの日初安打、辰己にとっては大会初安打と、良い流れを作った。
さらに4回には、今大会初先発の源田壮亮(西武)がライトスタンドへ運ぶソロ本塁打。前の打席は空振り三振に倒れ「ストレートで押してくる印象だったので、それを仕留めよう、打ち損じないようにしようと打席に立ちました」という狙いすました一振りは貴重な3点目となった。
投げては「緊張よりも楽しみの方が勝っています」と前日に話していた才木浩人(阪神)が初回と2回こそ安打を許すものの「場慣れできました」と尻上がりに調子を上げる。150キロを超えるストレートと140キロ台のフォークなどの変化球が冴え渡り、3回から5回は無安打に抑えた。
だが6回以降は相手に流れが傾く。6回の攻撃は連続四球からチャンスをもらうも、紅林弘太郎(オリックス)がスリーバント失敗、坂倉がショートゴロ、桑原が空振り三振に倒れ追加点を奪えず。
その裏、才木が四球と陳傑憲のレフト前安打で2死一、二塁のピンチを招くと、ここで井端弘和監督は才木に代え鈴木昭汰(ロッテ)に投入。一方、チャイニーズ・タイペイも4番の潘傑楷に代え、右の強打者である吉力吉撈・鞏冠を代打に送った。
場内はスタンドが揺れるほどの熱狂だったが、鈴木と坂倉のバッテリーは冷静だった。鈴木が「一発が怖かったので、相手打者の中に入る球より外に逃げる球の方が良いと思って投げました」と振り返ったように3球続けてツーシームを選択。狙い通りに引っかけさせて、ショートゴロでピンチを脱出。スタンドを一瞬にして静まりかえらせた。
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
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7回には北山亘基(日本ハム)が戴培峰にライトスタンドへ一直線の本塁打を打たれて2点差に迫られたものの、後続は抑えて最少失点にとどめると、8回は連続三振を含む三者凡退に抑える。
そして9回は前日に続いて大勢(巨人)が登板。この日もまったく危なげなく三者凡退に抑えて、侍ジャパンが逃げ切った。
これで3連勝となった侍ジャパンの次戦は、1勝2敗のキューバと日本時間17日19時から台北市立天母棒球場で対戦。悪天候の予報が出ているが井端監督は「条件は相手も一緒なのでしっかりとした野球ができればと思います」と落ち着いて話し、予告先発の早川隆久(楽天)については「状態が良いので期待しています」と自信を持って送り出す。4連勝で1試合残してのスーパーラウンド進出確定を狙う。
監督・選手コメント
井端弘和監督
「苦しい試合展開予想の中で先制点が取れ、投手陣が踏ん張ってくれたことが大きかったです。(2試合無安打ながら3番起用を続けた辰己がタイムリー)ここに来る前の状態は良かったですし、オーストラリア戦も内容は悪くなかったので、ヒット1本が出れば変わると思っていました。明日も期待しています。(才木は)初めてこういう空気で投げたと思うので、良い経験になったと思います。(5回以降は得点が取れず)取れる時にもう1点というのはありますが、それも国際試合。ああいうところで点が取れるようになるといいですね。(紅林のバント失敗)気にする必要はない。次に生かしてくれたら。すべてが上手くいくわけではない中で勝てたのは良かったですね。もう1点2点取れたら投手の負担が軽くなるので、きちっとしていきたいです」
源田壮亮(西武)
「(相手の応援)前回のプレミア12でもすごかったので楽しみにしていました。(ソロ本塁打)本当にたまたまですが、展開的にも良いところで打てました。満員でアウェー感はありましたが盛り上がっていて楽しくプレーできました。(チームの雰囲気)とても明るく前向きで、その気持ちで試合に臨めていると思います」
才木浩人(阪神)
「先制点を取ってもらい、最初から飛ばして投げました。ランナー残しての降板は悔しかったですが、ゼロに抑えることができて良かったです。初回から応援がすごくて緊張もあり、自分のリズムであまり投げられませんでしたが、場慣れもあって3回、4回くらいからは自分のリズムで投げることができました」
辰己涼介(楽天)
「台湾でもこんなに野球人気があるんだと知ることができました。圧倒されましたし、その中で野球ができて嬉しかったです。タイムリーは自分の打撃ができました。3番を打たせて欲しいと言ったので、井端監督の顔に泥を塗るようなことはしません。台湾をしっかり楽しんで、スーパーラウンドでしっかり大暴れできるような調整ができたらいいなと思っています」
ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12
試合日程
オープニングラウンド(グループB)
2024年11月13日(水)19:00 日本 9 - 3 オーストラリア
2024年11月15日(金)19:00 日本 6 - 3 韓国
2024年11月16日(土)19:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 3 日本
2024年11月17日(日)19:00 日本 7 - 6 キューバ
2024年11月18日(月)19:00 ドミニカ共和国 3 - 11 日本
スーパーラウンド
2024年11月21日(木)19:00 日本 9 - 1 アメリカ
2024年11月22日(金)19:00 日本 9 - 6 ベネズエラ
2024年11月23日(土)19:00 日本 9 - 6 チャイニーズ・タイペイ
決勝
2024年11月24日(日)19:00 日本 0 - 4 チャイニーズ・タイペイ
開催球場
オープニングラウンド(グループB)
バンテリンドーム ナゴヤ、台北ドーム、天母スタジアム
スーパーラウンド・決勝・3位決定戦
東京ドーム
出場チーム
グループA
メキシコ、アメリカ、ベネズエラ、オランダ、パナマ、プエルトリコ
グループB
日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、キューバ、ドミニカ共和国、オーストラリア