2015年ペナントレースもいよいよ開幕
明日から開幕する2015年プロ野球。侍ジャパントップチームの選手として、欧州代表戦を戦った選手たちも、それぞれの所属球団に戻り熾烈なペナントレースに挑む。秋のプレミア12の日本代表選出にむけて、代表入りをかけた戦いの場にもなる今シーズンがいよいよ始まる。
1勝1敗の中で見えた攻守の課題
3月10日、11日に東京ドームで行われた「ひかりTV 4K GLOBAL BASEBALL MATCH 2015 侍ジャパン 対 欧州代表」。第1戦は4対3で侍ジャパンが鮮やかな逆転勝ちを収めたが、第2戦は相手に主導権を握られ、2対6で敗れた。
今回、侍ジャパン初招集となった雄平(東京ヤクルト)、又吉克樹(中日)らに加え、筒香嘉智(横浜DeNA)、山田哲人(東京ヤクルト)、坂本勇人(読売巨人)といった若い選手たちのハツラツとしたプレーに収穫もあったが、同時に攻守に課題が出た2試合でもあった。
打線は2試合で計16安打6得点。なかなか“線”として繋がらず、エンジンのかかりも遅かった。相手投手のデータが少ない中、「今回の2試合はほとんど打撃の指示を出さなかった」と説明した小久保裕紀監督だったが、秋の『プレミア12』へ向けては「動く球であったり、知らない球種が来たりした時は、どうしてもボールを長く見ないといけない。そうなると、やはりセンターから逆方向へという打撃になる。チーム方針としてそういう支持を出すことも頭に入れないといけない」と、選手個々の能力だけでなく、チーム全体としての意思統一が必要だと話した。
また、守備面での課題も挙げた。「チームとして動いて行かないといけない部分で動けなかった」と小久保監督。黒星を喫した第2戦の3回裏の守りの場面を振り返り、「先発の松葉(貴大、オリックス)が苦しんでいたが、3ランを打たれる前にセカンドランナーのリードが非常に大きかった。その時にチームとしてピックオフ(牽制)を入れられなかったというのは監督の責任。ピッチャーが苦しんでいる時に、何とか助けてやろうという発想が、バッテリーを含めた野手にもなかった。次に集まった時には、そういう部分を徹底して行かないといけない」とピシャリ。負けられない国際大会、短期決戦での緻密なチームプレーの重要性を説いた。
再び「世界一」に輝くために
もちろん侍ジャパンの選手たちも、今回の1勝1敗という成績には到底満足していない。第2戦の敗戦後、主将の嶋基宏(東北楽天)は、自らの“戦う姿勢”について眼光鋭く語った。「昨年秋の日米野球で勝ち越すことができて、このまま行けばこの2試合も勝てるんじゃないかと、正直、僕自身にも隙があったと思います。今日負けたことによって、世界で戦うことは簡単なことじゃないということを僕自身も感じましたし、試合が終わった後のミーティングの顔を見る限り、選手一人一人がそういう顔をしていた。今日負けたことで、秋に待っている『プレミア12』へ向けて、気を引き締めて臨めるのではないかと感じています」。
王貞治監督の下で一致団結した2006年の第1回WBC、原辰徳監督に率いられた2009年の第2回WBCと2大会連続で世界の頂点で立った侍ジャパンだったが、山本浩二監督が指揮した2013年の第3回WBCでは準決勝で敗退。正式種目としては五輪では過去一度も頂点に立っておらず、2012年ロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会は、野球競技が開催種目から外れた。かつての熱狂、そして「世界一」の記憶はずいぶんと薄れてしまった感がある。その意味でも、今年11月に初開催となる『プレミア12』(11月8日~21日、日台共催)への期待は高い。侍ジャパンが再び世界一の称号を得るための絶好の舞台となる。
「課題は、チームとして短期間に機能させないといけないという現実。打つ、打たないだけの部分ではなく、守りの連係やチームとしての動きの部分を、もう少し確認しないといけない」。
3月11日、小久保監督は自らの拳を握り直した。今後はペナントレースの中で選手の選考が主な仕事となる。そして早速、「左投手」と「右打ちの外野手」を新たな強化ポイントに挙げた。負けたからこそ気付いたことがある。実りある秋の収穫へ向け、小久保ジャパンの挑戦は続く。