9月3日(土)に韓国で開幕する「第7回WBSC女子野球ワールドカップ 2016 」。今大会で大会5連覇をかける侍ジャパン女子代表候補選手28名が、6月25日(土)、新潟県新潟市南区の新潟市白根野球場において2日間にわたる強化合宿をスタートさせた。
午前9時、選手が会場にすると、今回協力の新潟市のスタッフと、開志学園高校女子硬式野球部、さらには集まっていた一般のお客さんからも歓声があがった。さらに歓迎セレモニーでは、会場がある新潟市南区の渡辺稔区長が「皆さんの到着を心待ちにしていました。けがのないように、そしてワールドカップ優勝に向けて頑張って下さい」とあいさつすると共に、激励品として、南区の名産品であるトマトやキュウリ、枝豆などの食料品や、同区で大凧合戦が開催されることもあってミニチュアの凧をチームに贈呈。今回、はじめて新潟県で開催される侍ジャパン女子代表合宿に対する関心と期待の高さをうかがわせた。
これを受け、大倉孝一監督も「皆さんの温かいお気持ちを全て頂き、日本海からの心地よい海風で、凧を韓国に舞い上げてきます。ワールドカップ5連覇のいいご報告ができるようにしたいです」と当意即妙なお礼のあいさつ。会場は終始和やかな雰囲気に包まれた。
セレモニー後にはいよいよ練習開始。各自ストレッチの後は大倉監督や、前回大会までチームの大会4連覇を投手陣のリーダーとして支え、今合宿から侍ジャパン女子代表のコーチ陣に加わった中島 梨紗コーチ(日本女子プロ野球機構・埼玉アストライアコーチ)らが中心となり、ゲーム的な要素を取り入れてのアップ。
途中、今合宿のサポートメンバーに入る開志学園高校女子硬式野球部も何名かを呼びよせ、最下位は罰ゲームもある4班に分けてリレー形式ダッシュでは、今合宿から日本女子プロ野球機構所属選手5選手が加わって、改めてワールドカップ出場メンバー選出へのサバイバルに臨む選手たちからも笑顔が垣間見られた。
その後行われたキャッチボールが終わると、内野陣による投内連携とケースバッティング。投内連携では、サインプレーの確認に重点が置かれ、不明点が出ると、その度に、投手陣、捕手陣、内野陣が集まり、サインを確認。また、投手陣が次々とマウンドに上がってのケースバッティングでは「一死一塁」「二死一、二塁」などさまざまなシチュエーションにおいて、打者、守備、走者の3つがそれぞれ考えながら動く練習が行われた。
午後からは群馬県の中学硬式野球チーム・前橋リトルシニアと8イニング制の練習試合を開催。この試合では投手陣の奮闘が目についた。
まず大倉監督が「軸になってほしい」と期待を込める先発・田中 露朝(尚美学園大2年)は、3回途中を1失点とまずまずの出来。前回大会では最終合宿でメンバー20名入りを逃した悔しさをその右腕に込めた。
前回大会MVP
新潟合宿から追加召集の
里綾実(兵庫ディオーネ)
田中 露朝の後を受けた荒木 未来(アサヒトラスト)、笹沼 奈菜(平成国際大3年)の両左腕も、ランナーを出しながら無失点。6回からはルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズで活躍中の吉田 えりがマウンドへ。伝家の宝刀・ナックルを織り交ぜながら、右打者のインサイドに鋭く食い込むシュートを武器に2回1失点に抑えた。また、最後に登板した黒崎 夏奈(侍)を含め、この日登板した5投手を4投手をけん引した寺部 歩美(兵庫ディオーネ)のインサイドワークにも光るものがあった。
一方、打者陣で光っていたのは、1番の六角 彩子(侍)。第1打席で粘って四球を選ぶと、第2打席でレフトへヒット。第3打席でも死球で出塁し、リードオフマンとしての存在感を示した。
また、6回裏の得点シーンでは「ヒットが出なくても得点につなげる」侍ジャパン女子代表が目指す形が見られた。二死二塁から四球、川端 友紀(埼玉アストライア)のヒットでつないで満塁へチャンスを広げ、御山 真悠(平成国際大3年)の押し出し四球で得点。試合は1対2で敗れたものの、攻守において収穫がある一戦となった。
試合後は代表候補選手たちによる野球教室が行われ、開志学園高校女子硬式野球部や地元リトルリーグの選手たちが、代表選手に指導を仰いだ。
こうして充実の中、初日を終えた新潟合宿。大倉監督は「地域に根差して活動するチームと一緒にコミュニケーションを取ることに、代表チームの活動の意義を感じます」と女子野球普及の意味合いも含めた合宿の意義を振り返りつつ、「第7回WBSC女子野球ワールドカップ 2016 」20名への選考基準をこのように明示した。
「1人1人の能力があるのは分かっている。あとは、さまざまな環境・状況でそれに適応・順応していけるかどうか。ピッチャーの場合、乱れるリスクがあると、世界大会ではなかなかだせない。野手の場合はまず守れる。そして攻走の部分では、考えながらプレーしてチームとして機能するかどうかです」
また、ここまでの代表チームの完成への手ごたえは「まだ30点。それは僕自身の求めるプレーの要求が高くなっているからかもしれない。5連覇へのプレッシャーというより、このチーム、このメンバーをどう勝たせるか。そっちの方がプレッシャー」と茶目っ気たっぷりの笑顔を見せつつ「今回のチームには若い選手がたくさん居るんだけど、元気だったり、ハツラツさだったり、勢いがなかなか出てこない。そういうものがチームを上げていくと思うので、もっと遠慮せずにやってほしい」とさらなる代表候補選手たちの奮起をうながした。
2日目・最終日となる6月26日(日)は、午前中から同球場で地元新潟県の中学硬式野球チーム・新潟ヤング(ヤングリーグ)との試合を実施し、その後チームミーティングを行った後、合宿を終了する予定。「選考合宿」ではなく「強化合宿」と名付けた意味を体現する侍ジャパン女子代表候補28名は、大会5連覇はもちろん、女子野球のさらなる発展のため、新潟の地で翼を広げ全力疾走する。
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)
大会期間
2016年9月3日~11日
オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド
スーパーラウンド
9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国
決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ
会場
韓国釜山広域市キジャン郡
侍ジャパン女子代表候補 マドンナジャパン座談会
【第1回】マドンナジャパンの注目3選手の素顔
【第2回】3選手がそれぞれに感じる女子野球界の変化を語る>
【第3回】マドンナを目指す全国の野球女子たちに伝えたいこと