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
9月3日に韓国・釜山で開幕する「第7回WBSC女子野球ワールドカップ」。5連覇へ向けて、ラストスパートに入った侍ジャパン女子代表。8月29日、厚い雲の切れ間から青空が見える蒸し暑い気候のなか、大会へ向けた最終合宿が、神奈川県内のグラウンドで始まった。
「残された時間は限られている。無駄な日は1日もない。だから、練習はもちろんホテルで過ごしている時間も有効に使って、出し惜しみをしないようにやっていこう。試合だけ上手くやろう思ったら、必ず後手を踏んでしまう。ワールドカップは今日から始まるんだ!」
合宿のスタートは、大倉孝一監督の「どうしても伝えたかった」メッセージから始まった。頂点を勝ち取るために、一気に高まったチームの一体感。その空気を維持したまま、軽いウォーミングアップの後、15時から侍ジャパン女子代表は平成国際大との強化試合に臨む。
そして1回表から猛攻を仕掛けたのは侍ジャパン女子代表。「打って打ってというよりは粘って粘ってというタイプなので、ワールドカップでは出塁率を意識してプレーしたいです。バッティングの方も、元々、夏に調子が上がってくるので、良い感じに仕上がってきていると思います」と自信をにじませる先頭打者の六角彩子(侍)がセンター前にはじき返して出塁すると、2番の厚ヶ瀬美姫(兵庫ディオーネ)は三塁前に送りバント。続く3番・三浦伊織(京都フローラ)のセンター前ヒットで1、3塁とチャンスを拡大する。
ここで左打席に入ったのは4番の川端友紀(埼玉アストライア)である。「4番を重くとらえずに自分のバッティングに徹して、チームに貢献したいで。その意味でもヒットを打てば打つほどチームのためになると思うので、ワールドカップでは首位打者を目指したい」と宣言した主砲は、順調な調整ぶりを示す一・二塁間を抜く先制打。さらに、5番の寺部歩美(兵庫ディオーネ)は右中間に適時二塁打。初回から侍ジャパン女子代表はいきなり2点のリードを奪った。
加えて、守備の立ち上がりも素晴らしかった。先発の田中露朝(尚美学園大2年)は1・2回を三者凡退に抑える、まったく危なげのないピッチング。3回はエラーとヒットで二死一・二塁とするが、ワールドカップ本番でも予想される相手打者のセーフティーバントを上手くさばきピンチを切り抜けた。
4回からは左腕の笹沼菜奈(平成国際大3年)が登板。普段のチームメイト相手に2四球を許すものの、2回を無安打に封じ無失点。こちらも前回・宮崎大会でも大車輪の活躍だった実力を改めて見せつける。
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
一方、打線は2回以降、平成国際大の投手陣に苦戦を強いられるも6回表に効果的な形で追加点を奪う。三浦、川端の連打で無死一・三塁とすると、初回にタイムリーを放っている寺部が技ありのスクイズを決め1点を追加。さらに7回表には代打でヒットを打った長池玲美菜(MSH医療専門学校)が相手のエラーで2塁に進むと、厚ヶ瀬が中前へダメ押し打。
最後の6・7回は「海外の選手は腕が長いので、インコースを上手く使っていきたい。チームでは一番年下なんですが、チームの雰囲気はとても良いので、ワールドカップでは楽しんで投げたいと思います」と意気込む3番手の清水美佑(埼玉栄高3年)が力強いストレートと緩いカーブを駆使して打者6人をパーフェクト。ワールドカップ本番を想定した小技も決めた侍ジャパン女子代表は、4対0の快勝で強化試合1戦目を終えた。
これには試合後の大倉監督も手ごたえを感じた様子。
「前回の松山合宿ではギリギリまで所属チームでプレーしていた選手もいたことから精彩を欠いていた部分もありましたが、今日はかなり締まった試合ができたと思います。選手にはこの日に向けて、きちんと調整をしてくるように伝えていましたが75~80点くらいの準備ができていたのではないでしょうか」と最終合宿初日を振り返った。
さらに本大会へ向けては「投打ともに中心選手に実力を発揮してもらわなければならないのは当然なので、7・8・9番に入る選手や、今日投げた3投手にチームのプラスアルファになる活躍を期待したいです」と高い目標を掲げた指揮官。
全ては「連覇は関係ない。今、目の前にある第7回女子野球ワールドカップを獲りに行く」(大倉監督)先にある5連覇に向けて。残り2日間の最終合宿で、侍ジャパン女子代表は寸暇を惜しんで心技体で戦う集団を完成させ、決戦の地・韓国へ旅立つ準備を整える。
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川端 友紀選手(埼玉アストライア)バッティング紹介動画
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)
大会期間
2016年9月3日~11日
オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド
スーパーラウンド
9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国
決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ
会場
韓国釜山広域市キジャン郡
侍ジャパン女子代表候補 マドンナジャパン座談会
【第1回】マドンナジャパンの注目3選手の素顔
【第2回】3選手がそれぞれに感じる女子野球界の変化を語る>
【第3回】マドンナを目指す全国の野球女子たちに伝えたいこと