9月2日から6日間の日程で香港で開催される「第1回 BFA 女子野球アジアカップ」初代女王獲得に向け、侍ジャパン女子代表の直前合宿が8月27日から4日間の日程で神奈川県川崎市内のグラウンドで始まった。
今チームは若手選手の育成と競技力向上、および強化を目的に18歳以下の選手20名で構成。8月10~12日に行われた高知・室戸合宿以来の集合となった初日はミーティングでコミュニケーションを図り、2日目の8月28日に本格的練習を開始した。
この日の練習では選手、指導者、役員など多彩な立場で国際経験を豊富に積んでいるジャパン女子代表・橘田恵監督の国際大会に対応する仕掛けが随所に見うけられた。
まずはウォーミングアップやトレーニングで30分ほど体を動かした後はバッティング練習、キャッチボール、シートノックと予定より早めにスケジュールを消化し、蒲田女子高・駒沢女子高連合チームとの強化試合も早めにプレーボールできる状況に。
しかしここで指揮官は「国際試合では、自分たちの準備ができたからといって試合開始の時間を早めることはできない」と選手たちを諭し、プレーボール予定の11時まで選手たちにはストレッチなどを行わせ、あえて待つ時間を与えた。
また、試合開始直前にはここも国際試合に則して、監督、コーチ、そしてスタメンの選手が一人ずつ名前を呼ばれてグラウンドへ出て行くセレモニーが実施され、万全な本番へのシミュレーションが行われた。
こうして始まった蒲田女子高校と駒沢女子高校の連合チームとの練習試合(7回制)。侍ジャパン女子代表先発のマウンドに上がった左腕・水流麻夏(神戸弘陵学園高校3年)は先頭打者をエラーで出塁させるが動揺することなく、後続をセカンドゴロに打ち取り併殺。良い流れをチームに引き寄せる。
すると1回裏、打線はすぐに呼応し、1番・蛭田菜月(埼玉栄高校3年)がセンター前ヒット。主将の吉井温愛(履正社高校3年)が犠打を成功。その後、一死満塁から5番・金満梨々那(開志学園高校3年)は四球を選んで先制すると、6番・北山未来(履正社高校3年)はライトへ犠牲フライを打ち上げ2点目。続く2回裏も中前打で出塁した9番・安達瑠(京都両洋高校3年)が二盗。そして、吉井の一塁ゴロで相手守備陣の送球が乱れる間に一気にホームを陥れて3点目を奪った。
その後も確実に得点を重ねて行った侍ジャパン女子代表。4回裏はこの回先頭の北山が右中間を破る三塁打を放つと、一死後、8番・阿部希(福知山成美高校3年)がスクイズを成功。5回裏も二死からライトオーバーの三塁打で出塁した3番・渡辺那奈(作新学院高2年)を、4番・緒方佑華(折尾愛真高3年)がセンター前のタイムリーでホームへ迎え入れ、大技・小技を繰り出して点差を5点に広げた。
一方、投手陣は水流が2イニングを打者6人で抑えると、3回は体を沈みこませるようなフォームに特徴がある変則左腕の杉本みな(蒲田女子高校3年)、4回は投球に力強さがある小野あゆみ(埼玉栄高校2年)、そして5回は緩急を巧みに使う左腕の松島瑠菜(履正社高校3年)と3投手が無失点。
6回から登板した大野七海(福知山成美高校3年)はエラーをきっかけに2安打を浴びて1点を失ったが、7回はきっちりと0点に抑え、マドンナジャパンが5対1で勝利を飾った。
それでも強化試合後、橘田監督は「イージーミスがいくつか出て、失点につながってしまいました。アジアカップでは初日に韓国、2日目に台湾と最初の2日間で強敵と対戦するのですが今日のような入り方では心配なので、この合宿できっちりと引き締めていきたいです」と大会の対戦順も見据えた課題を提示。
また、選手の状態に関してしては「投手陣は順調で、特に大野と松島の2人は信頼しています」と話す一方、「野手のなかには部活を引退して体のキレが良くない選手がいた」と明言し、試合後すぐにランメニューを追加。そして、この日の練習最後のミーティングで橘田監督は選手たちに食事の摂り方やコンディショニングに対する注意が喚起した上で「レベルを一つ上げていこう」とさらなる奮起を促した。
明日の合宿3日目も強化試合が予定されている侍ジャパン女子代表。この合宿を通じチームの練度をさらに高めるべく、ヤングマドンナたちはその瞬間を大事に戦っていく。