8月31日、第29回ユニバーシアード競技大会(台湾・台北市)で2大会連続の金メダルを獲得した侍ジャパン大学代表が帰国。優勝記者会見を行い、喜びの声や今後の抱負などを語った。
優勝の要因
失点を最低限に抑え、様々なパターンで得点することに重点を置いてきた大学代表は、今大会7試合全勝、61得点9失点という盤石の戦いで優勝を果たした。
善波達也監督は攻撃陣について「(試合によって)大差あり、僅差ありの戦いでしたが、ホームランが効果的に4本出ましたし、打ち崩せない時は足を絡めたり、様々な得点パターンができました」と振り返った。
また、準決勝・決勝を完封した投手陣に関しては「鈴木英之コーチが投手の状態や相手国の特徴を把握してくれていましたし、小畑尋規(立正大)が好リードをしてくれました」と称えた。
そして、小学生時代以来主将の経験が無かったにもかかわらず、主将に抜擢した竹村春樹内野手(明治大)については「ずっとレギュラーで出ている形ではなかったですが、いろんなところに目配り気配りをしていました」と言い、「ちょっと頼りないところを他の選手がカバーしてくれていて、春樹らしくやんわりとした良いまとめ方をしてくれました」と労った。
模範として称えられた選手たちの行動
7月6日の日米大学野球直前合宿から長い時間をかけて強化していただけに、その高い結束力が互いの向上心を刺激し合った。竹村主将は「試合をする度に強くなることができました」と振り返る。
選手村で生活をし、練習時間も限られる中で選手たちは時間と場所を見つけて素振りや自主トレーニングを日々繰り返した。
この姿勢には日本代表選手団の上野広治総監督から「取り組む姿勢が素晴らしく他競技の参考にもなります」と閉会式の際に称えられたのだという。
2013年に監督に就任し、昨年は選手団団長、そして今年再就任した善波監督は「“1試合ごとに上手くなっていくぞ”という雰囲気が、よい習慣として根付いてきています。それが今回7戦全勝と安定した成績を残すことができたことに繋がったのかなと思います」と、メンバーが変わっても受け継がれているものがあると目を細めた。
また、「何回も小言を言いましたが、それが言いにくくない、言っても後に残らない、家族のようなチームになることができました」と振り返った。
この2カ月間で大学代表の面々がグラウンド内外で見せた行動が、日本らしい隙のない野球に繋がったのは間違いない。だからこそ、今後は選手たちに大学球界、日本球界を引っ張っていく役割も期待される。
今大会で任期を終える善波監督は、そんな思いを込めて選手たちにメッセージを託した。
「このユニフォームに、この金メダルに恥じないプレー・行動を期待していきたいです。トップチームの稲葉篤紀監督が視察に来ていただいた時の選手の目の輝きも印象に残りました。この選手たちはギリギリ2020年の東京五輪に間に合う。ぜひここから1人でも2人でも3人でも、五輪のユニフォームに袖を通し金メダルを穫って欲しいです」
選手コメント
小畑尋規捕手(立正大)
「対戦国ごとにどう対応していくか考える中でリードの引き出しが増えました。善波監督から“一人ひとり1センチでも100%に近づけるように”と言っていただいた言葉が特に印象に残ったので、それを大切にしてチームに持ち帰りたいと思います」
中川圭太内野手(東洋大)
「良い結果を残すことができましたし、自分を成長させてくれた大会でした。日本人投手とは違う軌道の動く球や変化球を投げてくる中で工夫し、バッティングの引き出しが増えました。また、先輩たちからは野球に取り組む姿勢や人間力を学ばせてもらいました。金メダルを獲らせていただいた以上、大学球界を引っ張っていく選手になりたいです」
第29回ユニバーシアード競技大会
大会期間
2017年8月20日~8月29日
予選ラウンド(グループB)
8月20日(日)12:00 ロシア 0 - 19 日本
8月22日(火)12:00 日本 7 - 2 メキシコ
8月23日(水)12:00 日本 11 - 5 アメリカ
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
スーパーラウンド
8月25日(金)12:00 日本 2 - 1 韓国
8月26日(土)19:30 チェコ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
準決勝
8月28日(月)19:30 日本 4 - 0 韓国
決勝戦
8月29日(火)19:30 日本 10 - 0 アメリカ
開催地
台湾(台北)
参加国
グループA
韓国、チャイニーズ・タイペイ、チェコ、フランス
グループB
日本、アメリカ合衆国、メキシコ、ロシア