文=駒田英
三冠王「大王」王柏融、また日本のファンに衝撃を与えるか
注目は何といっても「大王」王柏融
NPB所属の選手以外で、日本ファンの関心を最も集めている選手は「大王」こと王柏融(Lamigoモンキーズ)だろう。王柏融は今春の侍ジャパンとの壮行試合で、「CPBL選抜チャイニーズ・タイペイ」の一員として出場、則本昂大(東北楽天ゴールデンイーグルス)から2点本塁打を放つなど、2試合で5打数4安打3打点と大当たりし、強烈なインパクトを残した。王柏融は今年、調子は昨年ほどではなかったとしながら、2年連続で打率4割をマーク、台湾選手初の三冠王を達成し、2年連続年間MVPに輝いた。
圧倒的な成績を安定して残すその秘密はどこにあるのか、王柏融のバッティングの特徴について、洪一中監督は「インパクトまで無駄な動きがなく、スイングスピードが速いので、じっくりボールを見極められる。だから、ボール球にほとんど手を出さない」と説明した。また、関係者によると、王柏融は基本、直球狙いで待ち、変化球には反射神経で対応しているという。
なお、日本でも再三取り沙汰されている海外球界への移籍だが、CPBLのいわゆる「海外FA権」(移籍には球団の同意が必要)の取得は、最速で来シーズン終了後となる。「ショーケース」として重要となる来シーズンについて問われた王柏融は、「自分にプレッシャーをかけすぎず、健康を維持し、試合に出続けることが重要だ。そうして初めて色々な記録に挑戦できる」と述べた。
王柏融は、10日から12日まで行われた千葉ロッテマリーンズとの練習試合では、洪監督曰く「直球には差し込まれ、変化球を打ち損じる」らしくない姿をみせ、3試合で12打数1安打、唯一のヒットも野手の逆をついた内野安打のみに終わった。Lamigoモンキーズの監督として、王柏融をよく知る洪監督は「ここまで調子の悪い彼の姿は、あまり見たことがない」としながらも、「この3試合のことは忘れ、しっかり調整してほしい」と復調に期待を示した。本人も「シーズン中のスランプと一緒だ。タイミングが狂っている」と不調を認めた上で、「まだ時間はある。しっかり調整したい」と述べた。また、ナショナルチームのユニフォームを着るプレッシャーについては、「そこまで大きくはない。試合で一回いい当たりが出れば、感覚は取り戻せる」と前を向いた。
「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017」後には、スローイング、走塁、打撃面などのレベルアップの為、アメリカで一ヶ月の自主トレを行う計画を明かしている。2年連続のMVPでも奢ることなく、さらなる高みを目指す王柏融。しっかりと調整し、今シーズンの締めくくりとなる本大会で、台湾のファンを熱狂させる活躍をみせてくれることだろう。
甘いマスクで女性ファンも多い陳傑憲
「大王」と切磋琢磨、岡山共生出身の陳傑憲
今大会の代表のうち、今シーズン、王柏融と共にCPBLでベストナインに選出されたのは陳傑憲(統一ライオンズ)だ。173センチと小柄であるため、台湾よりも日本の方がチャンスがあると感じた陳傑憲は、高雄市の強豪高校を1年の途中で退学、岡山県共生高校に留学した。一学年上には、今回代表入りしている呉念庭(埼玉西武ライオンズ)のほか、廖任磊(読売ジャイアンツ)も在籍していた。
高校時代は、広角に打ち分ける左の巧打者として高打率をマーク、2012年にプロ野球志望届を提出したが、指名はなく、台湾に戻りアマチュアの台湾電力に入団した。その後、アマ代表の常連となり、地元台湾で開催された2014年の「第1回 IBAF 21Uワールドカップ」では王柏融、蘇智傑(現・統一ライオンズ)らと共に優勝に貢献した。
昨年6月、統一ライオンズからドラフト2位で指名され入団、37試合に出場、打率345と活躍すると、今春の侍ジャパンとの壮行試合では、2試合目にスタメン出場、4打数3安打と気を吐いた。今シーズンは、序盤から1番遊撃手としてスタメン出場、シーズン終盤まで王柏融と首位打者、最多安打争いを繰り広げ、打率387をマークした。7日に行われた表彰式で陳傑憲は「王柏融と競争できて嬉しかった。欠点を直せるようこれからも頑張っていきたい」と述べた。
海外でのプレーへに対するあこがれはあるも、「今は台湾プロ野球の選手として、本分を尽くすことが最も大切」と語る陳傑憲、大会へのモチベーションは高く、日本のファンの前でハッスルプレーを見せてくれることだろう。
(情報は11月12日時点のもの)
ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017
大会期間
2017年11月16日~11月19日
予選
11月16日(木)19:00 日本 8 - 7 韓国
11月17日(金)19:00 韓国 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
11月18日(土)18:30 チャイニーズ・タイペイ 2 - 8 日本
決勝
11月19日(日)18:00 日本 7 - 0 韓国
開催球場
東京ドーム
出場チーム
チャイニーズ・タイペイ代表、韓国代表、日本代表
侍ジャパン選手紹介
2017年11月6日 先発投手編
2017年11月7日 中継ぎ・抑え投手編
2017年11月8日 捕手編
2017年11月9日 内野手編
2017年11月10日 外野手編