第18回アジア競技大会の金メダル獲得に向けて大分県佐伯市で行なわれている侍ジャパン社会人代表の強化合宿。2日目の22日は佐伯球場で社会人九州選抜とのオープン戦に臨み、侍ジャパン社会人代表が4番・笹川晃平(東京ガス)のツーランなどで11-3と九州選抜に圧勝。本大会に出場する24選手による初実戦は上々の滑り出しとなった。
初回に飛び出した笹川の本塁打は二死一塁から九州選抜先発の右腕・村田健(西部ガス)のツーシームを叩いたもの。「4番は笹川を固定でいく」と明言する石井章夫監督の期待に“一発回答”で応えた打球が、左中間の芝生で弾む。これで勢いづいた侍ジャパン社会人代表は、2回に下位打線がつながり1点を追加。続く3回には制球が定まらない九州選抜3番手の左腕・古市賢助(宮崎梅田学園)を攻め立て5番・喜納淳弥(NTT東日本)の2点適時打、青柳匠(大阪ガス)、岡部通織(JX-ENEOS)の連続犠飛でさらに4点を追加した。5回にも相手バッテリーの制球難を見逃さず4点を加え、序盤5回までに試合の大勢を決めている。
打線の中でも石井監督が「起爆剤に」と期待した新戦力が機能した点も心強い。2回の1点は森下翔平(日立製作所)の適時打で、3回には3番・近本光司(大阪ガス)の代表初安打に触発されたかのように、5番・喜納が前述の2点打を放った。これには石井監督も「試した選手が結果を出してくれた。近本も3番に順応してくれたので、もう少し実戦で見てみたいですね」と手応え十分の様子。
投手陣は岡野祐一郎(東芝)、富山凌雅(トヨタ自動車)、荒西祐大(Honda熊本)、高橋拓巳(日本生命)の4投手でリレーし3失点。先発した岡野は3回を投げ3安打を浴びるも要所を締めて無失点と持ち前の安定感を見せつけたが、投手を担当する杉浦正則コーチは「追い込んでから打ち取るのに時間がかかっていた」と課題を挙げる。3回1失点だった2番手の富山、2回2失点の荒西についても「力みから来るバランスがまだまだ本来の状態ではない」と指摘。最後を締めた高橋に対しては自チームの教え子ということもあり「空振りが取れるかどうかがひとつのバロメーター。そういう意味では決して本来のボールじゃない」と、さらに手厳しい。しかし「打たれて覚えることもあるし、我々も打たれた時にどうなるかを知る必要があるので。今は実戦から離れている時期。試合を重ねれば状態も戻ってくるはず」と、現状を前向きに捉えている。
「状況はどうであれ、勝利がチームを強くしてくれる。次のステップに踏み出すことができたと感じています」と石井監督は語った。何はともあれ船出の1勝。明日も予定されている九州選抜とのオープン戦で、さらに成長した姿を見せてくれるに違いない。
また、この日は社会人代表が試合の補助員を務めた地元の佐伯豊南高校野球部員とともにシートノックを受けた。高校生からは「侍ジャパンの選手たちと一緒に練習できて、練習前よりも上手くなった気がします」「緊張したけど楽しかった」というコメントも寄せられている。今回の合宿で掲げる「侍ジャパンの地域貢献」も、着々と進行しているようだ。
選手コメント
笹川晃平外野手(東京ガス)
「(初回の先制2ランについて)打ったのはツーシーム。代表で心がけている『失敗を恐れず積極性を持ってプレーすること』が出せたと思います。日本代表ですから、4番打者には一発で流れを変えられること力が求められます。そういう意味では初回の一発で試合の流れを作ることができたので、今日の結果については満足しています。自分が4番を打ちたいし、このチームでは自分が4番を打たないといけないと思っているので、今日の結果に満足することなく、さらにチームに貢献できるよう頑張ります」
第18回 アジア競技大会
大会期間
2018年8月26日~9月1日
予選ラウンド(グループA)
8月26日(日)11:00 日本 15 - 0 パキスタン
8月27日(月)16:00 日本 17 - 2 中国
8月28日(火)11:00 タイ 0 - 24 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
スーパーラウンド
8月30日(木)14:00 日本 1 - 5 韓国
8月31日(金)20:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 5 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
決勝
9月1日(土)18:00 韓国 3 - 0 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
開催地
インドネシア(ジャカルタ)