「第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表は1日、HARD OFF ECOスタジアム新潟で強化合宿3日目に臨んだ。
橘田恵監督が30点と辛い点数をつけた前日から一転、この日は収穫いっぱいの2試合になった。
特に、仮想米国と位置付けた男子中学生チーム「新潟ヤング」との試合では日本らしさを随所に発揮して4-1で快勝。前日2試合、この日も午前中に1試合をこなして体力的に厳しい状況の中、気温32度を越える炎天下で高い集中力を保ち続けた。
「打力があり、130キロ以上のボールを投げる左投手ということで、設定をアメリカにしました。でき過ぎで怖いくらい」。相手の6本に対して安打数3本で勝ちきった内容を指揮官は高く評価した。
3日目にして、攻守ともにサインプレーが決まった。まずは守備。先発した谷山莉奈投手(埼玉アストライア)は5安打を許したものの、1回は二塁走者、2回は一塁走者をけん制で刺した。遊撃を守る出口彩香主将(ハナマウイ)との息もピッタリだった。
「うまくいって良かったです。けん制とフィールディングは自分の武器。相手に流れを渡さず、逆に流れを持って来られるように。けん制で狙える場面はそんなにないと思うので、一発で決められるようにしたいです」と谷山。ピンチを最小限で切り抜けると、4回を1失点と好投した。
続く5回にマウンドに上がった田中露朝投手(尚美学園大)も2者連続で一塁走者をけん制で刺した。「けん制はあまり得意ではなかったので、自信になりました」と1回を無安打無失点に抑えて3番手の水流麻夏(レイア)につないだ。
攻撃では、重盗とスクイズで一気に畳み掛けた。1点リードの2回裏。犠打エラーで広げた1死一、三塁の好機に橘田監督はタイムを取って、打者と2人の走者を呼び寄せた。打席に立つ中田友実外野手(愛知ディオーネ)がスクイズを装いながら、一走の田中美羽内野手(アサヒトラスト)がディレードスチールを試み、捕手の二塁送球を見て三走の小島也弥内野手(IPU環太平洋大)がスタートを切る作戦。絶妙のタイミングでスタートを切って本塁を陥れた小島は「何とか塁に出てかき回すことが役割ですから」とうなずいた。
さらに中田が左越え適時三塁打を放つと、2番の出口がスクイズを成功させた。「これまでは足の速い打者を間に挟んでいましたが、今回のように(打線の)後ろに並べても面白いかもしれません。(重盗は)武器になると思いました」と橘田監督は新しい攻撃パターンのイメージを膨らませた。
午前中に行われた全日本女子野球連盟U18強化プログラムチーム(マドンナスターズ)との試合でも、9番の緒方佑華捕手(履正社RECTOVENUS)がスリーバントスクイズを決める場面があった。この先制点を皮切りに、上位打線の適時打と犠飛で2回に3点を奪い、5-1で勝利。「打てない時に、下位打線が粘って(相手投手に球数を)投げさせたり、四球をゲットしたりできていた。それぞれが役割をわかり始めましたね。今日は75点をつけてあげたいです」。2試合続けてお家芸のスモールベースボールが機能しての快勝に、橘田監督の頬も思わず緩んだ。
それでも選手たちに隙はない。2試合終えた後には、サインの意図や場面に応じた動き方を口々に確認し合った。新潟合宿も残り2日、細かいプレーをさらに突き詰めていく。
第8回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会期間
2018年8月22日~8月31日
オープニングラウンド
8月22日(水)23:00 日本 8 - 0 ドミニカ共和国
8月23日(木)23:00 香港 0 - 23 日本
8月25日(土)7:00 日本 2 - 1 カナダ
8月26日(日)7:00 キューバ 1 - 4 日本
8月27日(月)7:00 日本 5 - 1 オーストラリア
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
スーパーラウンド
8月29日(水)7:00 日本 3 - 0 アメリカ
8月30日(木)2:00 日本 2 - 1 チャイニーズ・タイペイ
8月30日(木)22:00 日本 10 - 0 ベネズエラ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
決勝
2018年9月1日(土)7:00 日本 6 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
開催地
アメリカ(フロリダ)
出場する国と地域
グループA
アメリカ、ベネズエラ、チャイニーズ・タイペイ、韓国、オランダ、プエルトリコ
グループB
日本、カナダ、オーストラリア、キューバ、香港、ドミニカ共和国