12月19日、第9回 WBSC 女子野球ワールドカップ(2021年3月1日~9日/メキシコ・ティファナ)に向けた侍ジャパン女子代表の選考合宿が始まり、43選手が参加。わずか20人のロースター入りに向けて各選手が寒空の下、溌剌とプレーした。
午前中のアップやシートノックから活気あふれる練習が行われ、打撃練習を経て、午後からは5イニング制の紅白戦が2試合行われた。
中島梨紗監督が「勝ちにこだわって紅白戦をしました」と振り返るように、それぞれの攻撃時にベンチを移動してサインを出し、盗塁や犠打のサインも積極的に出して試合を動かしていった。今年は新型コロナ禍があって例年より実戦経験が少なかったことに加え、前日集合した選手たちに対して「技術に大きな差はない。技術が上手いだけでなく良い選手になることが大切」と語りかけたように、チームの勝利に貢献できる20選手を選出する意向を初日からはっきりと打ち出した。
その中で個人に目を向けると川端友紀(エイジェック)が勝負強い打撃、里綾実(埼玉西武ライオンズ・レディース)がキレと緩急の良い投球を見せるなど経験豊富な選手が力を発揮。一方で、俊足が光る清水優花(尚美学園大学)や長打力が武器の泉由希菜(元埼玉アストライア)ら伸び盛りの選手たちも紅白戦で大いに存在感を見せた。特に泉は1試合目の最終回に、日本女子球界最速投手の森若菜(エイジェック)から中堅手の頭上を越えるサヨナラ二塁打を放つなど今年の女子プロ野球首位打者に輝いた打撃でアピールに成功した。
練習初日を終えて中島監督が「選手たちがこの日に向けてしっかりと準備をしてきてくれました」と話したように、選手たちの代表選出に懸ける思いがコンディショニングやプレーに現れ、寒さも吹き飛ばすほどの熱気に終始包まれていた。
選手コメント
里綾実(埼玉西武ライオンズ・レディース)
「今日は少し浮いてしまった球もありましたが、イメージ通りに投げることができました。昨日のミーティングでも“女子野球を世の中の当たり前に”という言葉が出ましたが、そのためにもお手本になるように、憧れられるように行動していきたいです」
川端友紀(エイジェック)
「良い緊張感の中でプレーができました。(適時打を放ち)なんとか結果を出せうるようにと食らいついて行きました。中島監督から“どんどん引っ張って欲しい”と伝えられたので、積極的に動いていきたいです」
加藤優(GOODJOB)
「(7年ぶりに代表合宿参加し)あの時とは技術や体も違うので自信を持って、場に飲まれることなくプレーできました。日本代表は中学生の頃から抱く一番の夢。たくさん積んできた経験を生かして、打撃などで良い流れを呼び込んでチームに貢献していきたいです」
泉由希菜(元埼玉アストライア)
「(サヨナラ打は)森選手の持ち味であるストレートを狙って真っ向勝負という気持ちで悔いのないように振り抜きました。代表はずっと目標にしていたので(候補選手選出は)夢みたいです。今年になって安定した打撃ができるようになりましたし、持ち味である長打力でも存在感を存分に出していきたいです」