8月31日、「第5回 WBSC U-15 ワールドカップ」(9月4日まで/メキシコ・エルモシージョ)のオープニングラウンドが行われ、侍ジャパンU-15代表は第3戦でコロンビアと対戦し、7対4の逆転勝ちを収めた。
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
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
快勝と呼べる危なげのない展開だった過去2戦と異なり、第3戦は劣勢に立たされた。
先発の小原健跳(高松庵治ヤングストーンズ)は、2つの四死球で走者を許したものの、4回を無安打無失点に抑える快投を披露。しなやかな腕の振りで投じるクロスファイヤーで、コロンビアの右打者たちの懐を果敢に攻め抜いた。
小原の好投に応えるように、3回に日本打線が機能した。先頭の蝦名翔人(青森山田リトルシニア)の四球を皮切りに、藤田一波(取手リトルシニア)が失策で出塁、坂本慎太郎(取手リトルシニア)が安打を放ち、無死満塁のチャンスを作った。1死後、金本貫汰(関メディベースボール学院ヤング)の併殺崩れの間に三走の蝦名が生還。過去2試合同様、日本が先制した。
このまま主導権を握るかに思われたが、5回に小原からマウンドを引き継いだ高橋輝羽(東練馬リトルシニア)がリズムに乗れなかった。
先頭に死球を与えると、続く打者のバントを処理した花嶋大和(千葉西リトルシニア)が一塁へ悪送球。女房役が傷口を広げてしまい、その後も内野安打、2つの失策で3失点。これに止まらず、無死一、三塁から3番手として登板した辻琉沙(滋賀野洲ボーイズ)がボークで失点する場面もあり、計4失点でコロンビアに逆転を許した。
今大会初めてビハインドを背負った日本は、6回に先頭の金本がセンターオーバーの三塁打を放つと、続く矢野塁(高松庵治ヤングストーンズ)がすかさずレフト前に適時打を弾き返し、2点差に詰め寄った。
7回は1四球1失策で得点圏に走者を進め、金本を打席に迎えた。強振した打球は力なく三塁後方に上がったが、飛んだコースがよくレフト前に落ち、無死満塁とチャンスを広げた。
続く矢野の打球が遊撃の失策を誘い、1点差とすると、花嶋が放った大飛球がレフトフェンス最上部に当たる走者一掃の3点二塁打となり、日本が逆転に成功。4回の守りで失点につながるミスをした花嶋が、バットで名誉挽回した。
さらに、2死三塁から相手の失策が絡み、この回5点を奪った。

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
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最終回のマウンドを任されたのは佐藤龍月(東京城南ボーイズ)。左腕から繰り出す力強い直球でコロンビアの打者2人を力の無い二塁ゴロに仕留め、最後は空振り三振を奪取。勝利の瞬間は左手でグラブを叩き、雄叫びを上げた。
4失点した5回に3失策を喫したものの、その前後は無失策。2点差に詰め寄った直後の6回裏には、蝦名、今井蓮(大阪八尾ボーイズ)の二遊間コンビが、鮮やかな6-4-3の併殺を完成させるなど、守備力の高さは随所に見せた。
劣勢を跳ね返した経験、この1勝が生む勢いは、明日以降のスーパーラウンドにも好影響を及ぼすのではないだろうか。
グループBを1位で通過した日本の次戦は、9月1日(木)11時半(日本時間)から、スーパーラウンド第1戦をグループC1位のアメリカと対戦する。
監督・選手コメント
鹿取義隆監督
「相手投手がよかったので簡単には打てないと思っていました。満塁のチャンスもあったので、チャンスが作れるということは希望はあると思っていましたが、前半はあと1本が出なかった。投手が変われば(流れも)変わるんじゃないかと。そこでよく繋いで勝ちました。非常にベンチでも盛り上がっていて、(逆転を許しても)塞ぎ込んでいなかったし、そこがいいチームだと思います」
花嶋大和(千葉西リトルシニア)
「2つエラーをしていて、どう仲間に顔向けしたらいいのかと考えていたのですが、先頭打者が四球で出塁してみんな繋いでいたので、ここで自分が打たなければと思っていました。レフトフライかなと思ったのですが、後ろに下がっていたのでいけるかなと思いました。エラーをしてチームに迷惑をかけていたので、次回以降はそこをしっかり直していきます」
矢野塁(高松庵治ヤングストーンズ)
「絶対1点が欲しかったので、思いっきり初球から振ろうと思っていました。普段のチームのときから声をすごく大事にしていて、自分の声で投手や打者が楽になったらいいなと思い出し続けています。(スーパーラウンド以降は)今日以上に苦戦する試合もあると思うので、声と積極性を持ち味に勝っていきたいです」
金本貫汰(関メディベースボール学院ヤング)
「前の試合でヒットが出なかったのですが、2本ヒットが出てよかったです。逆転された直後の先頭打者なので、僕が出たらまた流れがこちらに来ると思ったので、いつもよりも気持ちを入れて打席に立ちました。負けている時に打つのが4番の仕事だと思うので、4番を任せてもらっているからにはチームを勇気付ける1本を打ちたいと打席に入ったので、今日の2安打はよかったです」
第5回 WBSC U-15 ワールドカップ
大会期間
2022年8月26日~9月4日
オープニングラウンド
8月28日(日)11:30 日本 4 - 0 パナマ
8月29日(月)11:30 日本 10 - 0 フランス
8月31日(水)11:30 コロンビア 4 - 7 日本
スーパーラウンド
9月1日(木)11:30 日本 12 - 6 アメリカ
9月2日(金)11:30 日本 4 - 6 チャイニーズ・タイペイ
9月3日(土)11:30 日本 0 - 7 キューバ
9月4日(日)7:00 日本 9 - 1 プエルトリコ
3位決定戦
9月5日(月)3:00 チャイニーズ・タイペイ 7 - 0 日本
開催地
メキシコ(エルモシージョ)
出場する国と地域
グループA
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、キューバ、チェコ
グループB
パナマ、日本、コロンビア、フランス
グループC
アメリカ、南アフリカ、ベネズエラ、プエルトリコ、グアム