10月22日、「第4回 WBSC U-23ワールドカップ」(開催地・台湾)のスーパーラウンドの最終戦となる第3戦が台北市の天母野球場で行われ、侍ジャパンU-23代表はメキシコに4対2で勝利し、決勝進出を決めた。
オープニングラウンド同組との対戦も持ち越したスーパーラウンドでの成績が3勝1敗で並ぶメキシコとの一戦。第1試合で同じく1敗の韓国が勝利していたため「勝った方が決勝進出」という分かりやすい図式で始まった。
先発のマウンドに上がったのは高卒2年目の右腕・片山楽生(NTT東日本)。前回、先発を任されたチャイニーズ・タイペイ戦では3回まで被安打1本ながら、序盤に自滅から2失点を喫して敗戦投手となっていた。
だが、この日は「上手くやろうとしすぎずに、本来の相手に立ち向かっていく投球を心がけました」と力強く腕を振り、初回を三者凡退に抑えるなど順調な立ち上がりを見せた。これでリズムに乗ると、2回も140キロ台中盤のキレの良いストレートを中心とした投球で三者凡退に抑えた。
そして良い流れは打線にも波及。先頭の大西蓮(JR東日本東北)が詰まりながらもセンター前に運ぶと、その後二塁まで進み打席にはこの試合前までに打率.158と苦しんでいた齋田海斗(TDK)。「何も貢献できていなかったので本当に苦しかったです」と苦悩を振り返るが、それを振り払うかのごとくセンター前に運んで、大西が三塁を回って生還。貴重な先制点を奪取する。
さらに3回には1番の中川拓紀(Honda鈴鹿)が逆方向レフトへの二塁打で出塁すると、調子を上げている2番の平野友都(西部ガス)がレフト前安打で繋ぎ、さらに死球もあって無死満塁とチャンスが拡大。ここで今大会初めて4番に起用された相羽寛太(ヤマハ)のライト前タイムリー、中村迅(NTT東日本)の犠牲フライ、齋田のこの日2本目となるセンター前タイムリーで3点を追加し4対0とリードを広げた。
片山は3回以降に死球や四球を1個ずつ出すが、後続を冷静に抑えて、5回無安打6奪三振という完璧に近い投球を見せて、雪辱を果たした。
6回からマウンドに上がった澤柳亮太郎(ロキテクノ富山)は、「メチャクチャ緊張してしまいました」と苦しい投球が続いた。いきなり三塁打を打たれると、2四球で満塁のピンチを招く。さらにここで押し出し四球を与え1点を返された。それでも140キロ台中盤のストレートで押していく投球スタイルを貫き、最後の打者をレフトフライに抑えるなどしてピンチを脱出した。
だが最終回もピンチを招く。四球と連打で1点を返され、塁上には同点の走者、本塁打を打たれれば逆転を許すという局面にまで追い詰められた。それでも「“大丈夫だ!”と声をかけをくれたみんなのおかげです」と振り返ったように、味方の声援を背にストレートを中心に押していく投球を貫き、最後の打者をサードフライに打ち取って試合終了。
これでスーパーラウンドの最終戦績が韓国とともに4勝1敗となって上位2カ国に与えられる決勝戦進出の権利を勝ち取った(両国の当該対戦成績によって日本がスーパーラウンド首位に立った)。
ついに迎えた決勝戦は、日本時間23日20時開始を予定している(※時間変更の可能性あり)。プロアマ混成チームで臨んだ第1回大会(2016年/メキシコ開催)以来の栄冠に、社会人野球の若き精鋭たちが積極的な攻めの姿勢で挑む。
監督・選手コメント
石井章夫監督
「片山が素晴らしい立ち上がりから試合を作ってくれました。投手陣全体を通して言えることですが、力のある球で打者に向かっていき強気で勝負してくれています。(継投について)まずは片山で打者一巡までと考えていて、4・5回は調子を見ていましたが疲れも見えていたので6回から代えました。タイムリー2本の齋田はもともとすごく能力が高いので、それを試合でどう出すのかを試行錯誤していましたが、積極的な打撃をしてくれました。みんなが課題を持って取り組む中で結果を出してくれています。決勝戦も彼らがするべきことを思考して戦ってくれると思います」
片山楽生(NTT東日本)
「前回の先発ではチームを負けさせてしまったので今日は気合いが入っていました。抑えで登板した南アフリカ戦からフォームの修正が合っていたので不安なく臨めました。ストレートで終始相手を差せていたので組み立てを意識していました。決勝戦もできる準備をしっかりして全員で世界一を獲りたいです」
齋田海斗(TDK)
「監督やスタッフ、選手のみんなが支えてくれたおかげで挫けずにやってこられました。祝福されて泣きそうでした。石井監督とはいろいろな話をしてきました。今日もわざわざ拾ってきた小さな木の実を打って、不規則に動く球に対応できるよう練習させてもらいました。結果で恩返しをと意気に感じました。決勝戦も気負いなく自分たちの野球をしていきたいです」
平野友都(西部ガス)
「調子は関係なく、1打席ごとに”打ってやろう”という気持ちで打席に立っています。初めての国際大会を楽しんでいるし、打撃に自信が出て余裕を持って迷いなく振りにいくことができています。決勝戦も“攻めて攻めて攻めまくる”これまで通りの野球をしたいです」
第4回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2022年10月13日~10月23日
オープニングラウンド
10月14日(金)18:00 ドイツ 0 - 6 日本
10月15日(土)15:30 ベネズエラ 2 - 5 日本
10月16日(日)20:00 日本 1 - 3 チャイニーズ・タイペイ
10月17日(月)15:30 日本 4 - 1 コロンビア
10月18日(火)15:30 南アフリカ 0 - 9 日本
スーパーラウンド
10月20日(木)15:30 日本 2 - 1 オーストラリア
10月21日(金)15:30 韓国 1 - 2 日本
10月22日(土)14:00 日本 4 - 2 メキシコ
決勝
10月23日(日)20:00 日本 3 - 0 韓国
※開始時刻は日本時間(台北:時差-1時間)
開催地
台湾(台北)
出場する国と地域
グループA
日本、チャイニーズ・タイペイ、コロンビア、ドイツ、南アフリカ、ベネズエラ
グループB
オーストラリア、キューバ、メキシコ、オランダ、プエルトリコ、韓国