12月2日、第44回 日米大学野球選手権大会(2023年7月開催予定)に向けた侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿が、愛媛県松山市の松山坊っちゃんスタジアムで始まった。
今年も3日間にわたって行われるこの合宿には全国各地から44選手が集結。当初の予定では1日目は練習と各種測定の予定だったが、天気予報で3日目が天候不良となる可能性が懸念されたため、初日から6イニング制の紅白戦が行われた。
予定変更、移動当日の登板であったにもかかわらず投手陣の好投が目立った。
先発投手はともに6月の選考合宿に招集されながらも代表入りを逃した蒔田稔(明治大)と松本凌人(名城大)の両3年生右腕。両者ともに“来年こそは!”という思いが強く伝わる投球を見せる。
蒔田はキレの良いストレートや変化球を低めに集める投球で2イニング打者6人に対して1人の走者も出すことなく、安定した投球を見せた。松本もサイドハンドから力強いストレートとキレ良く曲がるカットボールなどを次々と投げ込んで1人の走者も許さず。三者連続を含む4奪三振で大学トップレベルの打者たちを圧倒した。
2番手で登板したのは、ともに左腕だ。夏にソフトバンク3軍を相手に6回2安打無失点10奪三振の好投を見せた3年生の滝田一希(星槎道都大)と、秋の明治神宮大会初戦の国際武道大戦で7回無安打9奪三振の快投を見せた2年生の徳山一翔(環太平洋大)。それぞれ渡部聖弥(大阪商業大)と今泉颯太(法政大)に安打を打たれたものの、被安打はこれだけと後続を冷静に抑え、伸び盛りであることを大きくアピールした。
一方で打線も5回・6回と活発になり、今年の大学代表の守護神だった3年生右腕・上田大河(大阪商業大)を相手に攻勢を仕掛けた。5回は印出太一(早稲田大)の1安打のみだったものの、6回は宗山塁(明治大)、松浦佑星(日本体育大)、川久保瞭太(同志社大)、生島光貴(筑波大)の4連打で2点を奪い、その後も渡部がこの日チーム最多となる2安打目を、今度は俊足を生かした内野安打で記録した。
最後にインパクトを残したのは3年生右腕の谷脇弘起(立命館大)。寒空の下で自己最速の151キロに迫る149キロを記録したストレートに加え、鋭く曲がる縦のスライダーと変化の大きい斜めのスライダーも有効に活用。進藤勇也(上武大)、廣瀬隆太(慶應義塾大)、辻本倫太郎(仙台大)といった今年の代表選手たち3人から三振を奪うなど1安打無失点4奪三振と力投した。
大学代表監督としての指揮2年目が始まった大久保哲也監督は練習終了後の取材に応じ「急な予定変更にもかかわらず6人が皆、期待できるなという印象でした」と投手陣に目を細めた。
2日目となる12月3日は、午前と午後で7イニング制の紅白戦を行う予定となっている。大学トップレベルの選手たちがどんなアピール合戦を見せてくれるのか楽しみだ。
監督・選手コメント
大久保哲也監督
「(主将は日替わりで1日目は辻本を任命)コーチ陣とも話して、元気のある辻本から行こうと決めました。(アップからよく声を出しており)スタッフも“狙い通りだ”と言っていたくらいのことをしてくれました。(日米大学野球に向けて)投手陣に関しては縦に落ちる球に加えて、カーブを投げられる投手もこれまで活躍していますから1つのポイントになってくると思います」
辻本倫太郎(仙台大)
「春に大学代表を経験させてもらったので、みんながやりやすい環境を作ることを意識しました。各チームの中心選手ばかりでしたので、やりやすかったです。明日からも元気よくやれるようにしていきたいです。この冬は全部のレベルアップを目指しているので、この合宿では様々な選手の良いところを吸収していきたいです」
蒔田稔(明治大)
「6月の選考合宿では代表に選ばれた選手と明らかな差を感じました。特に変化球の精度が高くて、落ちる球も130後半から140キロ前後で落としていたので、そこは見習いました。6月に比べたら今日は持ち味である低めのストレートの質や変化球を投げることができました。来年は絶対に代表に入りたい気持ちでいっぱいです」
谷脇弘起(立命館大)
「キャッチボールから今まで見たことのないような球を投げている人がいたので、1つでも多く吸収したいと感じました。選抜チームというもの自体初めてでしたが、スライダーで空振りを取れましたし、ストレートも質の良いものが投げられました。全国トップレベルの選手たちから三振が4個取れたので自信になりました」