12月3日、第44回 日米大学野球選手権大会(2023年7月開催予定)に向けた侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿の2日目が、愛媛県松山市の松山坊っちゃんスタジアムで行われた。
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1日目は6イニングで紅白戦が行われたが、この日は午前と午後で7イニングずつの合計14イニングで行われ、前日と合わせてすべての投手が2イニングずつ登板した。
この日も目立ったのは投手陣の充実ぶりだ。左右にかかわらず、ほとんどの投手が140キロ台後半の球速のストレートを投じ、寒空の下ながら2日間通じて6人の投手が最速150キロを超えた(昨年は0人)。
その中でも最高球速を叩き出したのが、午前の部の7回表・裏を投げた冨士隼斗(平成国際大)だ。2人目の打者の初球で自己最速に並ぶ155キロを計測。表の攻撃を1三振含む三者凡退に抑え、裏の攻撃も先頭打者を空振り三振に抑えた。
だがここで立ちはだかったのが、今年の大学代表に選出されていた3年生スラッガー・廣瀬隆太(慶應義塾大)だ。「ものすごいストレートを投げていたので、思いきり振りました」と151キロのストレートを左中間スタンド上段に叩き込んだ。大学トップレベルの選手たちも唖然とするほどの豪快な一撃だった。
冨士はその後四球を出すなどしたが、味方の好守備もあって最少の1点で留めた。
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さらには前日の谷脇弘起(立命館大)に続き、真野凛風(同志社大)、金丸夢斗(関西大)といった関西学生野球連盟所属投手たちの好投も目立った。
真野は140キロ台後半のストレートと横に鋭く変化するスライダーを武器に1安打無失点2奪三振、金丸は2安打を打たれながらも後続を落ち着いて抑え三振を3個奪った。
また午後の部も来年のドラフト候補に挙がる細野晴希(東洋大)、常廣羽也斗(青山学院大)ら各投手が好投し、1対0と終始締まった展開になった。
一方で野手陣も投手陣がこれだけの出来であったにもかかわらず、前述の廣瀬以外もバットがよく振れていた。
午前の部の2回表には、前のイニングで完璧に近い投球を見せていた後藤凌寿(東北福祉大)に襲い掛かり、先頭の下山昴大(中央学院大)から宗山塁(明治大)、松浦佑星(日本体育大)、川久保瞭太(同志社大)までで4連打を浴びせた。その後も渡部聖弥(大阪商業大)のタイムリーなどがあり一挙5得点と積極的な打撃が目立った。
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これでこの合宿で予定していた紅白戦をすべて消化することができ、最終日の3日目はシートノックとフリーバッティング、50メートル走測定が行われる予定となっている。
監督・選手コメント
大久保哲也監督
「昨日もそうでしたが予想以上に投手陣が良かったです。どの投手も左右関係なく145キロから後半が常識のようになっています。特に左投手はカーブのキレも球速も球筋も良い投手がいました。廣瀬くんは相手が冨士くんということで気合い入ったんでしょう。この広いスタジアムの左中間に放り込みましたから。冨士くんのスピードボールも魅力です。盗塁が途中まで少なかったのですがコーチが“積極的に”と言ってからは果敢に狙う姿勢が出てきて良かったです」
冨士隼斗(平成国際大)
「ストレートが一番自信のある球なので、レベルの高い打者にどれだけ通用するのか試しました。ホームランは打たれてしまいましたが、空振りをいくつも取れたので良かったです。ホームランになった球はど真ん中だったので、あれを内や外に投げられるようにしていきたいです」
廣瀬隆太(慶應義塾大)
「冨士くんのストレートは全然見えていなかったですが、振ったら球が速い分、反発があって入りました。今季見てきた中で一番速かったですね。普段一緒にプレーできない選手たちなのでいろんな選手とコミュニケーションを取っています。長打力に自信はありますが、守備や走塁も磨いていきたいです」
真野凛風(同志社大)
「秋のリーグ戦は良くなかったのですが、今日は自分の持ち味が三振に繋がりました。ずっと緊張はしていましたが“代表に入るんだ!”という気持ちで臨みました。スライダーは上から投げて、リリースでしっかり切って、横に曲げるイメージで投げています。プロを目指しているので、見本となるような投手になっていきたいです」
細野晴希(東洋大)
「実戦から離れていた不安はありましたが無失点に抑えられたので良かったです。コントロールもそんなにまとまっていないと思いましたし、ストレートの走りも全然でした。それでも今日は、バッテリーを組んだ進藤勇也(上武大)がインコースを使った配球をしてくれて、すごく勉強になりました」
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