7月1日、「第44回 日米大学野球選手権大会」(日本時間7月8日から13日)に出場する侍ジャパン大学代表の直前合宿3日目が神奈川県平塚市のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで行われた。
正午から今年初の対外試合となるENEOSとの練習試合が予定されていたが、午前中は雨が降りしきり、大雨といえる雨量の時間帯もあった。しかし、正午前あたりから雨は止み、同スタジアムの抜群の水はけやグラウンド整備もあって、14時から試合を行うことができた。
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先発のマウンドに上がったのは、大学選手権優勝に貢献した下村海翔(青山学院大)。初回から四球と安打でピンチを招くが、ドラフト上位候補に挙がるENEOSの度会隆輝をセンターフライに抑えてピンチを脱すると、2回は三者凡退に抑えて打線にリズムを与えた。
その裏、死球と上田希由翔(明治大)のライト前安打でチャンスを作ると、廣瀬隆太(慶應義塾大)が右中間を破る二塁打を放って二者が生還し2点の先制に成功。さらに佐々木泰(青山学院大)がバットを折りながらもレフト前に運んで繋ぐと、辻本倫太郎(仙台大)のタイムリーで追加点を挙げ、この回3点を奪った。
下村は3回にも安打と2四球で走者を出して満塁のピンチを招くが、「受け身になってピンチを招いてしまったので、打たれたら仕方ない」と切り替え、カットボールで度会のインコースを果敢に突きファーストゴロでピンチを脱出。「イメージ通りに抑えることができました」と笑顔を見せた。
こうして試合序盤を自分たちのペースで進めると、試合後半には昨秋・今春と続けて50メートル走測定で候補選手中1位になるなど一気に頭角を現している宮崎一樹(山梨学院大)が躍動した。6回に代打で登場し逆方向ライトへ2点タイムリーとなる三塁打を放つと、守備では左中間の当たりに対して俊足を生かして捕球し、9回の打席ではバントを1球で決めるなど、あらゆる面で活躍が光った。
一方で大久保哲也監督が試合後に「ENEOSさんはさすがでした。お手本になるチームでした」と振り返ったように、7回の攻撃が淡白な三者凡退で終わると、昨年の都市対抗優勝チームの逆襲を受けた。
前の回から登板していた蒔田稔(明治大)が8回に連続四球でピンチを招くと、2本のタイムリーを浴びて3失点。さらに8回の攻撃も三者凡退で終わると、9回は村田賢一(明治大)が2安打と四球で招いたピンチから、丸山壮史にタイムリー、度会に犠牲フライを打たれ、土壇場で試合に追いつかれて引き分けに終わった。
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その後、日米大学野球選手権でも導入されている延長タイブレーク(無死一、二塁の状態から開始)の練習も行われ、村田はこの回もタイムリーを打たれ1点を失った。だがそこから二者連続三振に抑えると、正捕手候補の進藤勇也(上武大)が三塁走者の隙を見逃さずに牽制で刺し1失点に留めた。
だがその裏は無得点に終わり、大久保監督が試合後に課題に挙げたのは、2ストライクに追い込まれてからのアウトコースの対応だ。ファウルで粘るなどするENEOSに対して、大学代表打線は見逃し三振など対応に苦慮。ストライクゾーンが広いことが予想される日米大学野球選手権では積極的に振っていくことを大久保監督は求めた。
こうして収穫と課題双方が出て初の対外試合は終了。7月2日は11時から東芝と練習試合を行う。
選手コメント
武内夏暉(國學院大)
「(2番手として登板し2回2安打無失点に抑える)全体的に球が抜けていましたが、2イニング目から修正し球威が戻りました。国際試合はストライクゾーンが広いので、コースに投げきることを意識して投げました。海外製の球はツルツルしていて抜けやすいので、手だけではなく体全体でコントロールするよう意識しています」
宮崎一樹(山梨学院大)
「(代打から出場し攻守で活躍)試合途中から入る難しさはありますが、開き直って来た球を振っていきました。持ち味である逆方向への長打を打つことができました。バントは久々でしたが昨日、天井や中島と練習し助言を受けたのが良かったと思います。どんな役割でも活躍できるよう準備しています」