7月12日(日本時間13日)、「第44回 日米大学野球選手権大会」の最終戦がアメリカ・サウスカロライナ州のジョゼフ P. ライリー, Jr. パークで行われ、「勝った方が優勝」という一戦で侍ジャパン大学代表がアメリカ大学代表を6対2で下し2大会連続20回目の優勝を果たした。
2勝2敗で迎えた運命の最終決戦。試合前に主将の中島大輔(青山学院大)が「今日勝って“アメリカで勝った世代”と言われましょう」と声を挙げたように、アメリカ開催では史上2回目(2007年の第36回大会以来)の優勝を、チーム一丸となって目指して試合に入った。
試合はアメリカ大学代表の先制で始まった。今大会初先発となった細野晴希(東洋大)の制球が初回に定まらず、四球と安打、2つの暴投で1点を献上した。
だがすぐさま取り返せるのが今年の強さだ。2回表、4番・西川史礁(青山学院大)が内野安打、5番・渡部聖弥(大阪商業大)の打球が相手投手の失策を誘うと、前日に決勝打を放った廣瀬隆太(慶應義塾大)がレフトへの二塁打を放って同点。さらにその後も四球でチャンスを拡大すると、進藤勇也(上武大)の打球が今度は併殺を焦った相手二塁手の失策を誘い2点を勝ち越した。
すると、細野がここから見違えるような投球を見せる。視察に訪れているNPB球団のスカウトが「プロでもすぐ特殊球として勝負できる」と評すスライダーが面白いように決まり、力強いストレートでもパワーある相手を押し込んでいき、2回から5回までスコアボードにゼロを並べた。
6回はピンチを招いてマウンドを降りたが、ここは前日に2本塁打を打たれ悔しい思いをした武内夏暉(國學院大)が味方失策のみの最少失点に抑えて同点を許さなかった。
それでも1点差になったことで、スタンドのボルテージが上がり頻繁にUSAコールや手拍子が鳴り響く状況となったが、8回に中島と天井一輝(亜細亜大)の内野安打でチャンスを作ると、宮下朝陽(東洋大)のサードゴロ、相手失策、渡部のタイムリーが飛び出して3点をダメ押し。
4点にリードを広げると、8回は下村海翔(青山学院大)、9回は常廣羽也斗(青山学院大)がそれぞれ無失点に抑え試合を締めた。
優勝を決め、常廣を中心とした歓喜の輪で選手たちは喜びを爆発させた。また、スタッフ陣は悲願だった16年ぶり2回目の敵地優勝という快挙に涙を流して喜び、大久保監督は「アメリカで勝てて本当に嬉しい。ありがとう」と声を震わせ選手たちを称えた。
初戦の快勝から一転、連敗で王手をかけられ窮地に立たされた侍ジャパン大学代表だったが、2試合続けての逆転勝利でもぎ取った栄冠は日本の大学野球界に輝かしい新たな歴史を刻んだ。
監督・選手コメント
大久保哲也監督
「勝因はアメリカ大学代表に投手陣が通用したことや打者陣がここ一番で打ってくれたことですね。昨年出場したハーレムベースボールウィークで海外勢相手にどんな配球をすれば良いかを把握できたことも大きかったですね。去年は4位という悔しい思いをしましたし、WBCからの侍ジャパンの流れを繋げたいというプレッシャーが強かったので、思わず涙がこぼれました」
中島大輔(青山学院大)※主将
「これだけのメンバーが揃っている中でまとめるのは難しかったのですが、こういう結果が出て嬉しいです。なかなか自分のプレーができませんでしたが、自分が沈んでいたらチームが終わってしまうと思ったので、どんな時も前を向いて相手に向かっていこうと心がけました。全員で繋いでしぶとく戦うことができました」
細野晴希(東洋大)
「あまり良い投球が続かなかったのですが、あの第2戦のような投球以上に悪くなることはないと思って吹っ切ることができました。初回は酷かったのですが、勇気を出して2回からは軽く投げるようにして良い方向に繋がりました」
武内夏暉(國學院大)
「最高の気分です。昨日の記憶を消して、やり返してやろうと一球一球を大事に投げました。しびれる場面で足が震えましたが、ストレートが今日は良く、パワーあるアメリカ相手にも押すことができ、自信を持って投げることができました」